2018年05月05日

サイアノタイプ - その13(引き伸ばし機)


前回からの続き。

DSC01688.JPG


何をサイアノタイプで表現するのかに応じて時間を三通りに考えれば良いということである。

人物主体で爽やかな感じを浅葱色で出すのであれば一時間〜一時間半で足りるだろう。
以下事例:

Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 35mm negative film <<.  This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype prints (test prints) made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from 35mm negative films <<.  Those were made without conventional contact printing and digital processing.


もう少し藍色を強調するのであれば三時間〜三時間半:

Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.

(ジャスミン茶でトーニングを施した)


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 35mm negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print (jasmine tea toning processed)

(ジャスミン茶でトーニングを施した)


背景のディテールも表したい場合は六時間〜七時間程度(ちょうど睡眠時間):

Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print (jasmine tea toning processed)

(ジャスミン茶でトーニングを施した)


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.

(さらに一枚、一時間短くリプリントしジャスミン茶でトーニングを施したが、一枚目と二枚目=リプリントでグラデーションにさほど違いはないことが判った。つまり、六時間〜七時間程度の範囲で焼き付ける場合、UV LEDを光源とする場合は出来ムラが少ないということだ。UV LEDは光量が安定しているからだろう。従来、太陽光またはUV蛍光灯を光源としてプリントする場合、サイアノタイプに言われていた、同じデジタルネガを用いても一枚目と二枚目=リプリントで出来上がりに違いが生じる問題は、UV LEDを光源とする本例の場合では解消されている。)

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UV LEDを光源とした場合、最初の一時間半までは時間と比例して焼き目がつくが、それを過ぎると緩やかな焼き目となる。これは、六時間〜七時間の睡眠時間中、焼いても焼き過ぎとならないことで判った。

太陽光やUV蛍光灯では光源として安定していない上(UV蛍光灯はUV LEDに比べると光量が安定していない)、短時間で急激に焼き目がつくので、均一な焼き上がりを短い時間の中でコントロールすることが難しいからだ。デジタルネガで印画紙を覆うコンタクトプリンターでは焼き目を直接視認できないのも難点である。UV LEDは光源として光量が安定しているが印画紙に当たる紫外線量が弱いことが幸いして、上述の通り、「長い」時間幅毎に一定した焼き上がりが期待できる。そしてプリントとして出力される情報はオリジナルのネガフィルムだけなのでこれも一定している。出来上がりをコントロールしやすいのである。従来、サイアノタイプは再現性を確保しずらいとされてきたことも(この再現性のない一回性の出来上がりの違いがサイアノタイプらしさでもあったが)、本例では銀塩の印画紙と同じく再現性を期待できることも判った。印画紙として銀塩のものと比較して極端に感度が低いことが幸いして、部屋の明かりをつけた状態で焼き目を都度視認できる点は銀塩の印画紙にない利点でもある。

六時間〜七時間といった睡眠時間を用いなくとも、帰宅時間から逆算して電源が入るように、オンオフタイマーさえ仕掛けておけば、仕事で出かけて帰宅したらちょうど焼き上がっている状態も期待できそうだ。昼間であれば部屋の照明を落とし窓をカーテンを閉じる程度、多少薄明るくても焼き付けに影響しない。気になるようだったら、印画紙面にのみ外光が入らないように布で簡易に衝立するなどすれば良いだろう。

先に報告した、スライド・プロジェクターを利用した引き伸ばし機は光が中央にスポットしやすいが、露光時間は三十分〜四十分程度で済んだ。サイアノタイプで部分だけを表現し残りはぼかしたい場合は、この手段なら良いだろう。三脚に設置可能なので、本格的な引き伸ばし機と異なり持ち運びもできる。このホームメイドの引き伸ばし機でもプリントを続けてみたい。

スクリーンショット 2018-05-03 5.07.24.png


Cyanotype prints (test prints) made on my home-made enlarger >> directly from 35mm negative films <<.  Those were made without conventional contact printing and digital processing.

(スライド・プロジェクターを利用した引き伸ばし機での作例・露光時間:約三十分)

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なお、今回、ジャスミン茶を用いたトーニングを試みたが、これはネット上で得た情報を元にしている。このトーニングによって、鮮やかなペルジャンブルーは落ち着いた色調になり深みが増した。これも何を表すかによって使い分けたら良いだろう。爽やかな感じを出すのであれば上述の例のように浅葱色が相応しいと私は思う。

水道水の代わりにジャスミン茶で水洗を行うか、それとも水道水で水洗し乾かした後にジャスミン茶に浸してトーニングするか・・方法があるようだ。ロシア製のイースターエッグの置物の作例(前掲)では水道水の代わりにジャスミン茶で洗って乾かした。それ以外の例は水道水で水洗しオキシドール浴させ乾かした後にジャスミン茶に浸してトーニングした。前者はジャスミン茶に感光剤が溶け出し真っ黒になる(そのまま液は捨てるしかない)が、後者であれば、何枚も同じ液でトーニングできる。したがって、経済的には後者の方が良いだろう。

(おわり)
posted by ihagee at 09:05| サイアノタイプ

2018年05月04日

サイアノタイプ - その12(引き伸ばし機)


前回からの続き。

DSC01688.JPG


UV LED (100球)を光源として組み込んだ引き伸ばし機(Lucky II-C)を用いた、サイアノタイプ・プリントを試みている。用いているネガフィルムはいずれも1950年代のもの。

前回の報告の通り、最適な焼き時間は三時間半辺りだということが判った。以下はその例。

Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.

(120フィルム・ハーフ版 / 1950年代室蘭)


印画紙に届くUV光がそれだけ微弱なのだろう。

以下は、同じく三時間半焼いたものだが、もう少し濃く焼きたい。しかし、これ以上の時間は引き伸ばし機に付き合えない。

Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 35mm negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.

(35mmフィルム / 1950年代積丹美国)


では、睡眠時間中焼いたらどうだろうか?と思った。それでは焼き過ぎるのか、実際に試してみた。以下がその例である。幸い私も昨日今日と連休なので、普段よりも睡眠時間は長めの7時間として、その間ずっと焼くことにした。結果は以下の通り。

Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.

(120フィルム・ハーフ版 / 1950年代室蘭)


焼き過ぎることもなく、程よいグラデーションが出ている。天沢小学校から見下ろす背景の先の室蘭港湾の工場のノコギリ屋根まで写り込んでいる。つまり、微弱な紫外線ゆえに感光も緩やかなのだろう。最初の一時間半までは時間と比例して焼き目がつくが、それを過ぎると緩やかな焼き目となる。おそらく塗布した感光材の表面が先に変化し光をある程度遮ってその下の感光材が徐々に光に感応するからかもしれない。強烈な紫外線を含む太陽光の下のように時間に比例してどんどん焼き目がついてしまうのとは異なり、その感応のカーブが一時間半を過ぎると緩やかになる。一つの発見であった。今晩も仕掛けてみよう。

(おわり)


posted by ihagee at 07:24| サイアノタイプ

2018年05月03日

サイアノタイプ - その11(引き伸ばし機)



前回からの続き。

UV LED (100球)を光源として組み込んだ引き伸ばし機(Lucky II-C)を用いた、サイアノタイプ・プリントを試みている。用いているネガフィルムはいずれも1950年代のもの。

焼き時間に応じて結果の色味が変わってくる。一時間〜一時間半だとやはり焼き足りていない。淡い色合いのプリントであればこれで良いと思うが、オキシドールに浸しても変化が少ないところをみると、塗布した感光材が感応し足りていなかったのだろう。

以下はその時間での出来具合:

Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


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思い切って、焼き付け時間を三時間半としてみた。水洗する前の印画紙の焼き目はコンタクトプリンターで目にしていたと同じ濃いオリーブ色となっている。水洗しオキシドールに浸すと藍色が鮮やかに出た。やはり、この時間辺りが最適なのだろう。

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Cyanotype print successfully made on an old enlarger (Lucky II-C ) >> directly from a 120 negative film <<. This was made without conventional contact printing and digital processing.


グラデーションも豊かで満足のいく仕上りとなった。コンタクトプリンターに最適化したデジタルネガを作成する時間を考えば(最適化は案外難しい)、オリジナルのネガフィルムを引き伸ばし機に装填するだけのこの方式なら手間としてはずっと楽である。三時間半という時間をどう考えるかだが、引き伸ばし機を用いながら暗室を必要とせず、減光した室内光下であれば時折焼き目を視認しながら、他の用事を並行して行えるのだからまぁ許容範囲だと言えるだろう。

中古で購入したこの引き伸ばし機には元々フィルムキャリアーが付いていなかったので、それなりに厚みのあるガラス(二枚)にネガフィルムを挟んで装填しているが、このガラスで光量が損じているのかもしれない。フィルムキャリアーはさらに考慮の余地がある。

いずれにせよ、これでデジタルネガを作成したりコンタクトプリンターを使う理由がなくなった。
数分でサイアノタイプの印画紙を焼いてしまうだけの紫外線が太陽から降り注いでいるということだ。焼き加減を調整するにも分秒単位と慌ただしい(ちょっと目を外すと焼き過ぎたりする)。UV LED球ではそれが三時間半ということであれば、かなり弱い紫外線だとも言え(光源を直視さえしなければ、目を痛めることはないだろう)、却って気長に焼き加減を調整することもでき精神的にも良い。また、それなりに高価なOHPフィルムを買わなくて済むし、インクジェットプリンターのインク代もかからない(デジタルネガは黒色をカラーインクで出力する。ブラック以外のインクに遮光性があるからだそうだ。だから、ブラックインクだけ消費するわけではない)。

そして、繰り返すようだが、何よりもアナログで出力(印画紙に焼き付け)ができる点はその過程にデジタル処理を介在させるコンタクトプリンターより真性な「アナログ写真」である。

安定した光源ゆえに天気にも左右されないから、事前に焼き時間さえ決められるのであればタイマーでオフ設定することも可能だろう。

さらに続きを報告したい。

(おわり)
posted by ihagee at 16:48| サイアノタイプ