2018年06月23日

サイアノタイプ - その37(引き伸ばし機)



サイアノタイプのプルシアンブルーは美しいが、紙の上に表わそうしている画像と時にアンマッチな場合がある。また、本稿のように引き伸ばし機とUV LED(弱い紫外線光)で長時間緩慢に焼いたプリントは印画紙に塗布した薬剤が完全に感光し切っていないのか、薄く仕上がる場合が多い。

全体の印象を変えたり、コントラストを付けたい場合、トーニングという処理を行う。

もともとのプルシアンブルーにこそ価値があるとする向きには邪道とされるが、私は積極的に用いている。太陽光の下でしっかり焼いたプリントでは強くその結果は出るが、本稿のプリントでもだいぶ印象が変わるものだ。

拙稿「Flexaret IV - 薔薇の花束ほか(モノクローム)」でのフィルム写真を使って様々トーニングを試みた。元の写真はフレクサレットIV(Flexaret IV)にKodak TRI-X400を詰めて2016年12月24日に撮影。レンズは80mmのBelar。

Meopta Flexaret IV (Belar F=80mm), Kodak TRI-X 400 partly transfer processed, Location: in my home (Asaka-shi, Saitama, Japan), December 23, 2016


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以下は、いずれもNIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で引き伸ばした。

先ずは、トーニングをせず、水洗オキシドール漬のみしたもの:

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing


水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニングしたもの:

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing


水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶とコーヒーでトーニングしたもの:

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing


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さて、タイマーを設定し十時間焼いてみた。太陽光の下で二、三分焼いたと同じ焼き目がついて、仕上がりの具合もコンタクトプリントと似ている。太陽光ではうっかり焼き過ぎて失敗ということが多かったが、本稿のプリントではその具合が緩慢なので焼き目を直接視認しつつコントロールできる点が良い。

その結果:

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing


1950年代の北海道積丹美国の夏模様を写したブローニーのネガフィルムが元。水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニングした。その方が昔の写真には合っているような気がする。vif Art (B5 H.P. surface) に細部まで絵をのせることができた。この細部の再現性はデジタルネガであれば省略される情報の差だろう。なお、小穴式ピーク・引伸用ピント・ルーぺI型で印画紙面上のピントを合わせた。

(おわり)

posted by ihagee at 06:11| サイアノタイプ

2018年06月21日

一対一対応 vs. 藪の中



「物事を処理するにあたっては、丼勘定で捉えるのではなく、一つ一つ明確に対応させて処理することが大切です。たとえば、伝票なしで現金やものを動かしたり、現金やものの動きを確認せずに伝票のみで処理したりするようなことがあってはなりません。売掛金の入金チェックにしても、どの売り上げ分をどの入金分で受け取ったのかを個々に対応させながら一対一で消し込むことが必要です。また、生産活動や営業活動においても、[総生産]や[総収益]といった、いわゆる収益とそれを生み出すために要した経費を正確に対応させ、厳密な採算を行うことが必要です。」

京セラの経営理念ではこのように述べられている。稲盛氏の経営理念の底に「一対一対応」がある。それができない相手とは取引しないという。信用関係が築けないからだ。

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「一対一対応」から安倍政権の諸政策・国会での受け答え・国民への説明などを見てみると良い。
一つとして「一対一対応」をしていない。それどころか、対応させることすら不可能にしようと、物事を粉飾・虚飾・改竄し、嘘に嘘を重ねて相手を煙に巻く。今治の腹心の友も全く同じだと昨日の会見?で判った。

全く信用が置けない。それどころか、信用なるものを鼻で笑っている。

安倍政権および与党は本来国民から不信任をつきつけられるべき存在であり、私の周辺でも批判・非難の声の方が多い。しかし、さっぱり民意が反映される気配がない。官公庁の公文書を改竄してもそれは改竄ではない、とするが如く監督責任の一つも負わない政権、歴史を修正改竄したり憲法を恣意的に解釈したりと、思いのままである。

選挙制度という民主主義の根幹までは侵されていないと信じたい。しかし、ここまでめちゃくちゃをしても開き直り存在し続ける政権の姿を見続けていると、次第に疑問が湧いてくるのも仕方あるまい。この根幹を改竄されたらもうこの国は終いであるが、その点検はできない仕組みとなっているようだ。ブラックボックス化・神聖不可侵ということらしい。(拙稿「<蟻の一穴・アキレスの踵> 選挙の公正」)

スクリーンショット 2018-06-21 3.25.53.png

(一対一対応=投じた一票が正しく民意として反映されているか、点検すべきことである)

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「一対一対応」の一つ見ることができないこの国の今の有様(特に政治)は「藪の中」なのかもしれない(拙稿『「藪の中」考』)。神道政治連盟神道政治連盟国会議員懇談会(「神道の精神を以て、日本国国政の基礎を確立せんことを期す」と謳い、自民党を中心に国会議員283名が参加し、その一人が安倍晋三氏である)およびそれを裏で支える日本会議は、明確な論理や科学的に考察可能な思想体系を一切持たない宗教的な呪術・祭祀を元にする精神主義集団でもある。「藪の中」の住人であることも段々世の中に知れてきた。住んでいる世界が我々と異なる。「一対一対応」など全く必要としない彼らなりの原始的な神の国に住んでいるのだろう。この原始的「神国」説が今も政治教義として息づいていることは「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知して戴く」<森喜朗元首相の神の国発言>からも明らかである。

「『日本を取り戻す』ことは『大麻を取り戻す』こと」=「大麻=神宮大麻」=「神国」即ち、国家至上主義を理想と言って憚らない安倍昭恵夫人、この夫妻と取り巻きによる国家の私物化だろう(拙稿『「自由に反する恥ずべき考え方」=「美しい国(安倍首相)」』。

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「立憲主義を否定する国家観を持つ人が多い。戦争に負けた時に、間違った考え方を清算せず、害虫駆除しなかった。日本会議や青年会議所が害虫が増殖する巣になっている。「日本会議をゴキブリ扱い」と産経新聞に言われそうですが、構いませんよ私は。」(前川喜平氏)

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安倍政権の唯一の功績は、我々国民に「藪の中」を垣間見せてくれたことだろう。これが「美しい国」の実相であると。日陰者だったゴキブリが「藪の中」からごそごそと明るみに出ててきた。我々国民はその「藪の中」とゴキブリの姿を一匹づつ見ることができるようになった。安倍政権に感謝する。あとは、どうまるごと退治するかである。

(おわり)

posted by ihagee at 04:04| 政治

2018年06月20日

サイアノタイプ - その36(引き伸ばし機)



中華製のUV LED球(砲弾型) 100個(冷却フィン・ファンを組み込んだもの)を光源に引き伸ばし機でサイアノタイプ・プリントを行ってきたが、ここ数日、顕著に光が弱くなってきた。六時間程度で焼きあがったのがそれ以上時間を要するようになった。元はアマゾンで二、三千円程度で売られているUV 懐中電灯(ブラックライト)なので(UV LEDユニットだけ利用)、これで一ヶ月プリントが楽しめるのならタバコ代と思えばまぁ許容できる出費だろう(私はタバコは吸わないが)。しかし、やはり非効率でもあるし省資源でもない。近日、米国から届く予定の電球型のローパワーの観葉植物のUV照射用(UV LED球(砲弾型) 60個使用)に期待したい。

弱くなった光で半日かけて焼いてみた(タイマーで電源管理)。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing


積丹・美国の夏景色・子供たちが海辺で遊んでいる(1957年7月撮影/NeoPanSS 120フィルム)。NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で引き伸ばした(絞りは開放)。印画紙に用いたのはvif Art (B5 H.P. surface) paper。水洗・オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニングした。元のネガフィルムに記録されている情報をそのままサイアノタイプで再現すればこの辺りまで狙うことができる。再現(コピー)よりも再構成/創作を目的とするデジタルネガとコンタクトプリンタとは方向性が異なる。本稿のプリントはその意味では面白くはない。しかし、近い将来、銀塩印画紙が手に入らなくなれば、引き伸ばし機で印画紙に焼き付けるというアナログ写真のアナログたる最後の工程が消えることになる。市販されていると同じ銀塩印画紙を個人が作成するのは不可能だろう。その代替として個人レベルで作成可能な印画紙はいくつか種類がある(超古典的なアルビューメンプリントやプラチナプリントなど)。薬剤の調合やら前後処理の工程の複雑さなどを考えると、もっとも敷居が低いのがサイアノタイプということだろう。

アナログたる最後の工程とは、デジタル処理を介在させないこと、つまりパソコンで情報を加工しデジタルネガを作らず、オリジナルのアナログフィルムを引き伸ばし機で焼くことである。サイアノタイプの極めて低い感光性から不可能とされてきたこの工程もUV LEDを光源とすれば可能となる。暗室も要らない。焼き上がりの過程を部屋の明かりの下で視認できる。焼き付けるのに数時間かかるが私のスローライフな趣味時間にはむしろ忙しくなくて良い。その間、他の趣味に時間を充てることができる。これが本稿のテーマである。

スキャン(EPSON GT-X980)した画像でしか紹介できないが、やはり紙の実物で鑑賞すべきものなのだろうと思う程、リアリティは紙の方が優れる。

(おわり)

追記:
「米国から届く予定の電球型のローパワーの観葉植物のUV照射用(UV LED球(砲弾型) 60個使用)に期待したい。」と書いて、その品物が届いた。
さっそく引き伸ばし機のライトハウスに組み込んで焼き付けを試したものの、さっぱり印画紙が感光せず。つまり、感光に必要な紫外線がない。観葉植物用だが念のためセラーに目的を知らせて大丈夫だとの返事で購入したのだが・・。また無駄に費用をかけて勉強したことになる。一応セラーに駄目だったことを知らせた。返金などしないだろうが。
仕方なく、またアマゾンに上述の中華製UV LED 懐中電灯(ブラックライト)を一つ注文した。紫外線防護用のメガネ(おまけ)が一組み増えてしまうが(これで三組目)、このメガネ、おまけにしてはしっかりした出来なので気に入っている(メガネ単体でも売れそうだ)。さて、印画紙とフィルムを引き伸ばし機にかけたままなので、ついでとばかりに光が弱くなった中華製UV LEDを再度引っ張り出した。もうダメかと思ったら不思議なもので少し明るさが戻っている。印画紙もすぐに感光し始めた。交換させられると思って頑張っているのかもしれない。

posted by ihagee at 04:09| サイアノタイプ