2018年07月06日

サイアノタイプ - その42(引き伸ばし機)



35mmネガフィルムを元に、銀塩プリントとサイアノタイプ・プリントを出来上がりを比較してみた。
元となるフィルムはノルマンディ・オンフルール=バトゥ(Honfleur Bateau)の景色(1953年撮影)。
半世紀以上前の風景だが今もその通り残っているようだ。このネガフィルムはフランスのeBayでスリーブとして出品されていたものを落札購入した。フィルムを見て気づいたのだが、フィルムベースが厚い。そしてこの時代の特徴だが、銀塩が多い。従って、アナログ方式の焼き付けには最適だと判る。

Honfleur Bateau (silversalt print from original 35mm negative film)

(銀塩プリント)

さて、サイアノタイプではどうなるか?NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で焼き付けた(絞り開放)。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

六時間焼き付けではあるが、十五分おきに電源を入切するタイマーで焼いてその時間ということは、実質は三時間の焼き付けということになる。もう少し長く焼いた方が色目が出たかもしれない。情報の表現力としては銀塩プリントに及ぶまでもないが、富士フィルムが市場から用材などを引き上げると発表したアナログ銀塩プリントの将来を考えると、代替手段として最も敷居が低く且つ本稿で紹介しているUV LEDを光源とすれば、引き伸ばし機も使い続けることが可能ということからも、サイアノタイプをその目的で研究する価値はあると思う。

押入れなどに放置されたフィルムを仕掛けて、紙に焼いてみせるとあっと誰もが驚く。手品のように見えるのだろう。デジタル社会だからこそ、アナログの工程は新鮮に見えるようだ。サイアノタイプの感光性の低さというデメリットは実はUV LEDを組み合わせることで、暗室不要の引き伸ばし機の活用法として見直しても良いのではないかと個人的には思う。この時代、アナログの引き伸ばし機のメカニックな外観はそれを見たことのないデジタル世代には新鮮なようだ。折角の外観だからこそ、暗室に閉じ込めるよりも、明るいところで焼き付けの過程を眺められる方が良いのではないだろうか?暗室不要な引き伸ばし機なら、使ってみたいと思う人がいるだろう。ヤフオクなどで廃物同然で売られている古い引き伸ばし機も本稿で紹介のサイアノタイプ・プリントなら将来的に活用可能と考え、興味のありそうな向きには紹介しているところだ。

乾板もいくつか所有しているので(拙稿「乾板写真の美」「乾板写真の美(続き)」)、近々、引き伸ばし機でのサイアノタイププリントを試みたい。

写真乾板を蒐集され、引き伸ばし機とともにその活用を社会啓蒙されている「名張古寫眞調査保存研究会 @nabakosya 」のブログは必見。乾板用のハンザの引き伸ばし機は個人的に大変興味を引いた。

(おわり)

posted by ihagee at 03:59| サイアノタイプ

2018年07月04日

サイアノタイプ - その41(引き伸ばし機)



1950年代のネガフィルム(ブローニー)を用いたサイアノタイプ・プリントの続き。いずれもNIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で焼き付けた。

私よりも一・二世代前の子供たちの写真だが(1950年代積丹美国)、この景色は私にとってもある部分経験しているので原風景でもある。鞠蹴り・縄跳びは女の子、三角ベース(野球)・缶蹴りは男の子の遊びだった。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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さくらの赤外線フィルムで積丹美国を撮影した一枚(1950年代)。美国小学校校舎で学童を集めて撮ったのだろう。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

なお、この写真にある校舎は旧校舎。現在は門柱を残すのみ。

スクリーンショット 2018-07-04 3.34.40.png


(おわり)

posted by ihagee at 03:44| サイアノタイプ

2018年06月30日

サイアノタイプ - その40(引き伸ばし機)



1950年代のネガフィルム(ブローニー&35mmフィルム)を用いたサイアノタイプ・プリントの続き。

1950年代の上野広小路。奥に松坂屋、手前に森永キャラメルの地球儀広告塔。そのビルに近江絹糸紡績とある。近江絹糸紡績株式会社は昭和20〜30年代初頭に<人権(絹)争議>と後に呼ばれる労使紛争で労働運動史に名を残している。三島由紀夫「絹と明察」もこの事件を元にしているそうだ(未読)。戦後、未だ女工哀史を是とする経営意識が色濃く残っていた時代、この争議が民主主義における基本的人権の重要性を国民規模で認識せしめたとされているそうだ。働き方改革関連法(実質は使用者側の「働かせ方」が動機)など労働者の人権が狭められている今はその真逆にあるのかもしれない。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(Fujinar-E75mmF4.5で七時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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さくらの赤外線フィルムで積丹美国を撮影した一枚(1950年代)。さくらの同種のフィルムは昭和10年から発売され、戦後はアマチュアでも上達者であれば使いこなせたのだろう。火星の表面のような異空間がプリントにも再現されている。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(Fujinar-E75mmF4.5で六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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同じく、積丹美国の一枚(昭和30年(1955)5月撮影)。美国ではなくニセコ辺りかもしれない。子供たちが駈けている清々しさはトーニングせずに仕上げた。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(Fujinar-E75mmF4.5で六時間焼き付け・水洗オキシドール漬)

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1950年代、大阪・堂島渡辺橋を俯瞰して撮影した一枚(35mmフィルム)。写真の橋は架け替え前の旧橋。威風堂々とした橋だったが、昭和41年に素っ気もない近代橋に架け替えられてしまった。川沿いに天ぷらの名店与太呂本店が見える。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

(おわり)

posted by ihagee at 07:20| サイアノタイプ