2021年12月31日

ヴァンダイク - その6(引き伸ばし機)



引き伸ばし機(UV光源)でのヴァンダイク・プリントの続き(Polaroid Digital Palette HR 6000で作成したアナログネガ=35mmフィルム & Lucky Attache-35 (EL-Nikkor 1:2.8 f=50mm))。露光時間:約1時間(トーニング無)

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Gladys Cooper / Cotman Water Colour Paper Postcard Smooth)


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ダイカッティング/エンボッサー(Gemini die-cutting machine by Crafter's Companion)でフレーミングを施してある。

使用した型:
スクリーンショット 2021-12-31 11.06.33.png

(【ALTENEW アルテニュー】3Dエンボスホルダー Simple Frame 3D)


Yahooショッピングモールのpaper craft tommy suzyさんから購入。手書きのメッセージカードと共にカットやエンボスした見本を多数サンプルとして頂いた。

凹凸がかなりある型なので紙を挟んでずれないようにテープで数カ所留めてからGeminiにかけることが必要。作例は留めていなかったので、フレームの一部に綻びが生じてしまった。 Cotman Water Colour Paper Postcard Smoothは紙の厚さが270g/m2なので、その注意さえ怠らなければ美しいエンボスを施工することができる。paper craft tommy suzyさんから頂いたエンボスサンプルはハガキ用紙で同様に美しいエンボスとなっていた。官製はがきの厚さは209.5 g/ m2のようだから、これよりも薄いとエンボスで紙が破れてしまうかもしれない。百均の折り紙(81.4 g/ m2程度)で試してみたが、破れはしなかったものの紙面に縒れが生じた。

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Gabrielle Ray・手彩色が施されている)


百年以上前の写真プリントやフォトポストカードにはエンボスフレームが施されたものが多い。Garbrielle Rayはエドワード朝当時、世界で最も多くプロの写真家たちに撮られた舞台女優だったが、屋外での商用写真は僅かしかない。その僅かなフォトポストカード(筆者所有)はエンボスで飾られている。

(おわり)


posted by ihagee at 11:48| ヴァンダイク

2021年12月27日

ヴァンダイク - その5(引き伸ばし機)



引き伸ばし機(UV光源)でのヴァンダイク・プリントの続き(Polaroid Digital Palette HR 6000で作成したアナログネガ=35mmフィルム & Lucky Attache-35 (EL-Nikkor 1:2.8 f=50mm))。

およそ百年前のリアルフォトカードを元に HR 6000を介してFuji AcrosIIに焼き付けたアナログネガをUV光源の引き伸ばし機(Lucky Attache-35 (EL-Nikkor 1:2.8 f=50mm))でCotman Water Colour Paper B5 (fine)にダイレクトプリントした作例(露光時間約2〜3時間):

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(少女)

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(露光直後)

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(いずれもGladys Cooper

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(Effir Hamilton)


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トーニングを試みたくなって、米Bostick & Sullivanからゴールド=チオ尿素トナーキットを購入した。

以下作例:
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ヴァンダイクプリントの金調色(ゴールドトーニング)は難しい。

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ヴァンダイクのプリントプロセスではコントラストを実質的に制御できないため、プロセスとUV光源に正確に一致するようにコンタクトプリンタに用いるデジタルネガのコントラストをあらかじめ調整しておく必要がある(調整した画像をOHPフィルムにインクジェットプリンタで印刷しデジタルネガを作成する)。本稿はアナログネガ(35mm ネガフィルム)を用いるが元はデジタルデータなのでPhotoshop上で同様の調整を行うべきであった。次回の課題としたい。

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この点、サイアノタイプの方がプリントプロセスでコントラストを制御し易いのかもしれない。しかしヴァンダイク程のプリント階調はないので奥行き感に於いて若干劣る。
以下作例(露光時間は5〜7時間 / ジャスミン茶でトーニング):

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(いずれもGladys Cooper

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Gladys Cooperと言えば、オードリー・ヘプバーン主演のミュージカル映画『マイ・フェア・レディ』(1964年)でヒギンズ教授の母親役(アカデミー助演女優賞ノミネート)として知られているが、作例は若い頃のポートレイトである。そして同映画の舞台版でイライザを演じた神田沙也加さんが先般惜しくも亡くなられた。

イライザの華やかなコスチュームはセシル・ビートンが「英連邦で最も美しい女性」ガブリエル・レイをイメージして作り上げたことを知る人は少ないだろう(ガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)- その6(在りし日の事ども))。

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Gabrielle Ray / ヴァンダイクプリント)


(おわり)


posted by ihagee at 20:39| ヴァンダイク

2021年12月04日

ヴァンダイク - その4(引き伸ばし機)


引き伸ばし機(UV光源)でのヴァンダイク・プリントの続き(Polaroid Digital Palette HR 6000で作成したアナログネガ=35mmフィルム & Lucky Attache-35 (EL-Nikkor 1:2.8 f=50mm))。

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(左:露光中の引き伸ばし機、中:印画紙の様子、右:露光直後)


ガラスロッド(昔の温度計代用)での薬液(ソリューション)引きにもコツがいるようだ。水彩画紙(Cotman Water Colour Paper B5 Fine)上、線状に3箇所スポイトで液を滴下しロッドを紙の長手方向に往復して引くのだが、ロッドの引きの折り返しで薬液が溜まったまま乾かすと露光後にその跡が残る。

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上掲の作例では線状にうっすらと跡が残っている。

そこで溜まりが生じたらすぐにティッシュペーパーで拭き取ってさらに一枚作成した。

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露光時間は約2時間。サイアノタイプが4〜6時間程度なので半分以下の時間で仕上がる。サイアノタイプの場合、露光を始めてすぐに(5分程度で)像が紙に顕れその後は徐(おもむろ)に焼き目がつくが、ヴァンダイクは始めてから30分程経ってから像が顕れその後は急速に焼き目がつく。露光時間を多少オーバーしても結果に大差がないサイアノタイプとは異なり、ヴァンダイクでは最終濃度の半分になるよう目視で露光を加減する必要があり、電源管理をタイマーに任せ寝ている間に仕上がるサイアノタイプのようなズボラは許されないようだ。

比較例(サイアノタイプ/トーニング無):
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同じアナログネガを使いながらヴァンダイクとサイアノタイプとの間では随分と結果に違いがある。サイアノタイプには明暗のコントラストがあるように見え、ヴァンダイクには奥行きが感じられる。この奥行き感はトーニング(特に、ゴールド=チオ尿素トナー)を施すことによって写真らしさに変わる。


(トーニングの模様/YouTubeから引用)


ヴァンダイクはトーニングによって表現力を増すということ。いよいよトーニング(特に、ゴールド=チオ尿素トナー)を試したくなる。

(おわり)









posted by ihagee at 21:37| ヴァンダイク