2021年07月18日
アコードハイブリッド(CR6)- その1
アコードハイブリッド(CR6)を駆って「道の駅おがわまち」(埼玉県小川町)まで出かけた。地物の新鮮な野菜の購入と同所に併設の埼玉伝統工芸会館見学が目当て。
36度近い炎天下、片道約2時間程そこそこ空調を効かせアクセルワークにメリハリをつけたにもかかわらず燃費は20km/L(レギュラー)と良好。小川町付近では片道一車線の国道264号は交通量も少なく秩父連山を窓にセダンならではのゆったりとしたドライブを楽しむことができた。この間FMラジオから流れる大瀧詠一の鼻にかかった歌声が耳に心地良かったので、標準装備のオーディオシステム(6スピーカー)の音質は案外素直で悪くないのだろう。
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丁度昼時となって、野菜売り場に隣り合った麺処で天ざるを食す。打ちたての蕎麦ならではのざらざらとした舌触りと腰のある食感を堪能した。
地物の野菜はどれもこれも新鮮で安い。ついつい買いすぎて余してしまうが何よりの土産である。
埼玉伝統工芸会館では小川町を中心に近郷の伝統工芸品の数々とその制作過程(工房での和紙手漉き)を見学した。歴史と伝統が都心から車で僅か二時間程の場所に今も細々と息づいている。
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同じ伝統でも工業製品となれば栄枯盛衰・生者必滅が激しい。アコードハイブリッド(CR6)も同様。
そのマイナーチェンジのCR7まで国産・埼玉産(狭山工場)であったが、現行のアコード(10代目 CV3型)は外国産・タイ製(アユタヤ工場)で日本向け仕様とのこと。タイから逆輸入し狭山工場で検品しているそうだ。「世界の亀岡ブランド」と一時期その名を馳せたシャープ(亀山工場・液晶テレビ)と同様、「アコード」という伝統のあるブランドすら、もはやmade in Japan を冠することはできなくなったことは淋しい。国内でのセダン人気の凋落ばかりが理由ではあるまい。工業製品全般においてmade in Japanを目にすることが珍しくなる時代は遠からず来るのではないか?
(おわり)
posted by ihagee at 08:48| 車
2021年07月12日
さよならマツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)
マツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)- その12の続き。
先週、愛車マツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)を手放し、アコードハイブリッド初期型(CR6)に乗り換えた。
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コンパクトカーのクリーンディーゼル車からビッグセダンのハイブリッド車になった。
全長・車幅・最小回転半径などで、アコードハイブリッドには気になる点はあったが、先日、半日程自宅(朝霞)から八王子周辺まで国道や狭い道など適当に乗り回してみた感じでは車の大きさを感じることは皆無だった。また、DJデミオの低速域でのアクセル深度に応じてドンと突き出るような出足の良さも好ましいが、ハイブリッドの同速域でのEV走行(およびハイブリッド走行)のスルスルとあっと言う間に制限速度に達してしまう走り出しの方が不思議と私の感性に合った。さらに驚いたのは燃費の良さで、外気温32度、空調を効かせ渋滞やノロノロ運転、急加速などDJデミオであれば途端に燃費が悪くなるような状況をアコードハイブリッドに同様に課してみたが、実燃費は20km/L(レギュラー)となり徹底したエネルギー回生の恩恵を感じることができた。ほぼ同じ条件での走行でDJデミオの実燃費は15km/L(軽油)程度なので互角以上の差である。
試乗時に軽いと思っていたステアリングは納車前にディーラーで何か修正をしたのかと思う程、適度な重さになっていた。ビッグマイナーチェンジの後期型(CR7)ではボタン化されて無くなったシフトノブがあるのも良い。コンソールボックスに肘を預け左手を置く場所にノブがある方が気持ち的に落ち着く。特に下り坂でB(回生ブレーキ)にシフトしてDに戻す操作はボタンよりもノブの方が直感的である。
帰路では途中、激しい雷雨に見舞われ冠水箇所を走行した。DJデミオでは天井からカンカンと響く雨粒の音も足回りのグァングァンと水しぶきを巻く音もアコードハイブリッドでは鈍い音に変わったのは当然と言えば当然。
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車幅感覚は半日運転してすっかり身についた。これはセダンならではの前後左右の見切りの良さにある。DJデミオの恐ろしく小さな後方視界がいかに運転に不利であったかあらためて知った。左右のドアミラーについても同様で、コンパクトカーではデザイン的に小さくならざるを得ないミラーもビッグセダンともなれば視界を確保するに十分な大きさで運転者に安心感を与えてくれる。
何よりも運転席周りの窮屈さが一切ないのは素晴らしい。ゆったりとおおらかな気持ちで運転することが逆に無理をしない安全運転に繋がる。多目的か否かでミニバンかセダンの違いはあるものの、共通するのは3ナンバークラスのゆとりがこの気持ちに大いに関係していると実感した。
(おわり)
posted by ihagee at 07:03| 車
2021年07月03日
マツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)- その12
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昨年から続くコロナ禍は車にも影響が及んでいる。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置でクリーンディーゼルが得意とする長距離巡航の機会が減った。街乗り中心の短距離走行を繰り返せば煤が溜まりやすくなる。そのせいで年初来DPF再生の頻度が高まった。DPF再生が不完全なままエンジンを切ることはDPF再生を頻出させることになるので、数十分の街乗りの煤払いに二速でエンジンに負荷をかけた走行を同じ時間強いられることも多くなった。DPF再生時には燃料を多く消費しその頻度も多くなれば、軽油の燃費の良さも相殺されてしまう。
来年も同様にコロナ禍が続くかもしれない。6ヶ月点検を終えて車の乗り換えを検討した。
一昔前の合言葉「いつかはクラウン」ではないが、シニア(自分)にふさわしく国産のミドルセダンに乗りたくなった。スバルB4やトヨタ・ヴェロッサ以来、久しぶりのセダン回帰となる。それらの車の乗り味には満足したものの燃費の悪さには全く閉口したから同じ思いはしたくない。
SUVやミニバンなど多目的車が流行りの今、四角四面のセダンは全く不人気で中古であれば値ごろに型落ちした国産車も見つかる。コンパクトカーにない静粛性や後席のゆとりは元来セダンの取り柄だから、あとは燃費の良さ(特に街乗りでの)が選択要件となる。
6ヶ月点検時にディーラーにマツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)の下取り価格を見積もらせたが、それよりも高い価格で下取りしてくれるディーラー直結の中古車販売店で物件を当たった。結果、最寄りの大型ショッピングセンターに併設されたホンダ直営中古車販売店でホンダ・アコードハイブリッド初期型(2015年登録・ワンオーナー・無事故車)を見つけた。

ボディは全長、4,915mm;全幅 1.850mmと大きい。明るいシャンパンプラチナメタリックのボディだからか余計大きく見える(明らかにビッグセダン)。このサイズはトヨタのアルファードと同じだが、全高は約50cm程低いのでアルファード並みの威圧感はない。北米仕様のアコード(向こうではミドルセダン扱い)をベースに、EV走行、シリーズハイブリッド、エンジン直結の3モードを自動的に切り替えるスポーツハイブリッドi-MMDを搭載し、走行JC08モードで30km/L(レギュラーガソリン)を稼ぐという。爆発危険なリチウム電池を搭載していることもあって乗員共々衝突時のキャビン内の安全性にセダンの形状と大きさ(クラッシュゾーンの大きさ)が貢献しているのだろう。2013年度自動車アセスメントの新・安全性能総合評価においてJNCAPファイブスター賞を受賞している。ライバルはクラウンではなくカムリのようである。
紹介動画:
実走行距離3万キロ程度で内外装共に良く、数十分程店舗の周辺を試乗したが、中速度(70km)までカバーするEV走行の出足の良さと静粛性および乗り味は全く新鮮だった。街乗りならばほぼEV走行が可能でバッテリーが足らなくなると逐次ハイブリッドモードに切り替わるもののエンジンが駆動していることは気付かない。アクセルを戻す瞬間に回生ブレーキが働き小まめにチャージする。大きな車だが左右の見切りは良く運転はし易い(但しハンドルの軽さは好みではない)。なお、最小回転半径は大きいので隘路や駐車スペースでの回頭・取り回しには注意が必要になるだろう。EVという上級クラスゆえ安全装備は全て備わっており、後席は人を乗せるためのコンフォータビリティを備えていることがバックミラー越しの家内の顔でわかった。開閉時のドアの重さに驚くが側面衝突時の安全性を配慮し大きなサイドドアビームが配置されているからだ。電動シートポジション機能はB4以来で助手席にまで備わり、空調までも運転席助手席で独立制御できる点は高級車であることを認識させる。運転席周りのレイアウトは同クラスのマツダ・アテンザ(Mazda 6)と比べるとケチも付けたくなるが、そもそもホンダはデザインの趣味性に拘っていないのでこれで良いのかもしれない。
マツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)に十万円近く高い下取り価格を提示してくれたので、ホンダセダンi-MMDのフラッグシップだったこのアコードハイブリッドがいまどきの軽自動車の中古価格以下で手に入れる算段がついた。セダン人気の凋落が中古車価格に反映している。このアコード、安く買ったとしても次は下取り価格が付かないだろう。しかし、今に続くスポーツハイブリッドi-MMDの先駆けとなったフラッグシップモデルであり先進且つ独創的な発明の塊たるこの車に強く惹かれた。
内燃機関を捨てたEV車には航続可能距離の短さ(充電の頻度)という技術課題が未だ解決していない。リチウムバッテリーを多く積めば車体も大きくまた販売価格も高くなる。従って、今のところ普及価格帯のEV車は実質コミューター目的にしか使えない。長い距離を走ろうとすればチャージ残量を常に気にし道程で充電ポイントを探し回る。これではドライブも楽しくないだろう。
Honda eの問題点について:
街乗りでほぼEV走行を可能にする2モーターシステムのスポーツハイブリッドi-MMDは数多のハイブリッドシステムの中で基本は燃料電池(=EV走行・低中速域)でありながら高速域や上り坂ではモータと協働(パラレル)又はモータと切り離してガソリンエンジンと直結駆動のメリットを生かしている点、EVへの過渡期における一つの最適解なのではないだろうか?これはリチウムイオン電池にもっぱら依存するEVに対する一抹の不安への答えにもなっている。
(おわり)
posted by ihagee at 10:29| 車