2018年04月22日

9mmフィルムムービー・その4



「0414国会前大行動」については前回ブログで触れた。

富士フィルムの連写カルディア ビュ〜ン16とKodak T-Max 400(36枚撮モノクローム)で撮影し、ネガフィルムをスキャンして9mmフィルムムービーに仕立てた。

600x399-2017080700050.jpg


以下がその動画:



Protest against Japan PM Shinzo ABE outside


モノクロームならではのドキュメンタリー性は表せたと思う。

おわり

posted by ihagee at 19:06| 9mmフィルムムービー

2018年02月14日

9mmフィルムムービー・その3



9mmフィルムムービー・その2(Taro Okamoto, Short cinematography)の続き。

川崎の生田緑地にある川崎市岡本太郎美術館では連写カルディアと共に、9眼のlomography pop9も持ち歩いて試写してみた(Fuji Superia Venus800)。このpop9は所謂トイカメラである。



pop9は連写カルディアと異なり、9個のレンズに同時にシャッターが降りる。連写カルディア同様、タイル状に被写体が並んで写ることになるが、サブフレーム間に時差がない点で異なる。

new - 1 (3).jpg

(川崎市営バス・藤子・F・不二雄ミュージアム線車内は「しずかちゃん」一色だった)

pop9の使い方は通常はこういうものらしい。しかし、レンズが並んでいるということは互いに視差があるということだから、離れたフレームを並置すればステレオ写真となる。ビューアーを用いずとも多少訓練すれば裸眼でも奥行きのある写真を見ることができる(見方についてはHow to see 3D頁参照)。

Page_1.jpg


Page_2.jpg


Page_3.jpg


Page_4.jpg


Page_5.jpg


Page_6.jpg

(岡本太郎美術館のシンボルタワー「母の塔」)


岡本かの子と共にこの川崎の地に育った太郎。その地に母の勁さを表すかのごとく聳え立つ「母の塔」は圧巻だった。所詮トイカメラと期待していなかったが、なかなかしっかりと写っている。

----

このpop9で撮影した写真は、上述のタイル写真やステレオ写真とは別に、視差のある9つのフレームを組み合わせてアニメーション(gif形式)に仕立てることができる。

new - 1 (4).jpg


gif作成にはフリーウェアのPicGIF Lite(Mac OS用)を用いた。Apple Storeからダウンロード可能。このアプリケーションはとても使いやすい。上掲の画像をCropMaster3(Mac OS用)で9つのサブフレームに切り出して、1→2→3→4→5→6→7→8→9の順番に並べて再生レートを設定しgifファイルに書き出すだけだ。Google ChromeやSafariなどウェブブラウザーで開けば再生できる。NimsloNishikaといった4眼のアナログステレオカメラ(本来、フィルムメーカーがその昔サービスしていたレンチキュラープリント用途)で試している人は多い。


(Nimsloでの1→2→3→4アニメーション例)


垂直方向にも視差の生じるpop9なら1〜9の順番を1→2→3→6→9→8→7→4(5番目のフレームは使わない)にするとwobble(グラグラ)なアニメーションとなる(Pop9 Mega Wobble)。

以下がその例。

pop1.gif


pop6.gif


pop5.gif


pop2.gif

(太陽の塔・生命の樹のミニチュア模型)


pop13.gif


pop3.gif

(岡本太郎美術館の前庭)


pop4.gif

(同美術館に向かう途中の生田緑地の池)


pop15.gif


pop14.gif

(同美術館内で数少ない撮影可能対象)


pop11.gif


pop12.gif


pop10.gif

(同美術館「母の塔」・逆光が差し込む際を狙うと効果的)


遠景はレンズ間の視差が少なくなりステレオ感やwobble(グラグラ)感は低い。近景の奥行きのある被写体で光の陰影を取り入れるとwobble(グラグラ)感が強まる。遠景でも「母の塔」の例のように逆光がレンズの一部に入り込む際なら面白いかもしれない。

(おわり)

posted by ihagee at 19:42| 9mmフィルムムービー

2018年02月10日

9mmフィルムムービー・その2(Taro Okamoto, Short cinematography)



富士フィルム社製の連写カルディア ビュ〜ン16にFuji Natura1600(36枚撮)を詰め、川崎の生田緑地にある川崎市岡本太郎美術館と東京青山にある岡本太郎記念館の二箇所で試写を行った。小田急の登戸駅と代々木上原乗り換えの千代田線の表参道駅間の移動なので一筆書きで回ることができる。

600x399-2017080700049.jpg


前者は(屋外展示物を除き)ほぼ全展示物が撮影禁止、後者は「どうぞご自由に」いうことだった。いくら館内撮影可能であってもフラッシュは他の人の迷惑ともなるので高感度フィルムを用意したわけである(屋外では中判カメラ用の大きめなNDフィルターをレンズ口に手で被せて撮影した)。しかしこの撮影自由な記念館はどちらかと言えば岡本の晩年の居宅に彼の遺徳を偲ぶ趣きで模型やレプリカが多く、やはり主たる作品は川崎の美術館に集めてある。

現像するとネガフィルムは以下のような状態となっている。

クリップ.png


フィルムスキャンにEPSON GT-X980を用いたが、スキャンソフトの小さなプレビュー画面を凝視しながら微妙なマウスさばきで1コマから8サブフレームを切り出すのは至難とすぐに諦めた。通常の35mmフィルムの1コマをスキャンして得た画像データを別ソフトでサブフレームに切り出すことにした。この用途に特化したソフトとしてはCropMaster3(Mac OS用)がある。Apple Storeから800円程度でダウンロードできるので使ってみた。連写カルディアではサブフレームの寸法は高さ9mm、幅9mm(中央部の4サブフレームは幅7mm)とばらつきがあるので、多少切り落とし部分が生じることを覚悟で切り出しのプロポーションはこのソフトにプリセットされている縦(8.5 x 11)か横(11 x 8.5)とした。

切り出したサブフレームを並べてiMovie上で並べてフレーム間の時間を0.1秒として先ずは動画(MP4)で書き出し、書き出した動画ファイルを元にさらにiMovie上で編集を加えた。半透明にしたカットアウトをわずかに時間差をつけて重ね残像効果を加えることでパラパラとした感じを軽減してみた。

なお、岡本太郎記念館の"太陽の塔 1967―2018―岡本太郎が問いかけたもの―" 企画展にちなみ、父が撮影した1970年開催大阪万博の8mmフィルムからデジタル化した映像も挿入しショートムービーに仕立ててみた。


(Taro Okamoto, Short cinematography)


重ねてある音楽はMorton Feldmanの作品の一部(パブリックドメイン)。

----

連写カルディアを試してみて判ったことは、ISO1600の高感度フィルムを使っても決して屋内撮影向きではないということ。そもそもの用途がゴルファーのスイングの解析で晴れの屋外で用いるように設計されているわけだから当然だろう。また連写モードよりも1コマシャッターでこちらが動きながら一コマづつ撮影する方が面白い絵となることも判った(被写体が動くものであれば連写モードが良いだろう)。

しかし、フレームをつなぎ合わせてみると思わぬ展開となり画像の粗さも手伝って、結果として「皆で妥協する調和なんて卑しい(岡本太郎)」は多少表現できたかもしれない。

次は動く被写体を相手に<9mmフィルムムービー>を作成するつもりである。

(おわり)


posted by ihagee at 19:35| 9mmフィルムムービー