2017年08月12日

Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その3)



カメラをExakta RTL1000からCanon AL-1 に変えて、虫眼鏡(単玉)レンズでのフィルム撮影の結果を前回報告した。用いたレンズは3.5倍率のビクセン製のルーペから拝借したガラスレンズだった。

CIMG4493.JPG


このビクセンのレンズを用いてExakta RTL1000で撮影した結果が良好だったので

analog-film-exakta-rtl1000-with-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-fujifilm-superia-premium-400-location-adachi-park-of-livingthings-tokyo--july-14-2017_35561550580_o.jpg


analog-film-exakta-rtl1000-with-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-fujifilm-superia-premium-400-location-adachi-park-of-livingthings-tokyo--july-14-2017_35561433510_o.jpg


exakta-rtl1000-with-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens--rollei-rpx-400-location-tokyo-national-museum-ueno-tokyo-japan-june-24-2017-httpwwwtnmjplangen_35227514520_o.jpg


exakta-rtl1000-with-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens--rollei-rpx-400-location-tokyo-national-museum-ueno-tokyo-japan-june-24-2017-httpwwwtnmjplangen_35484040391_o.jpg


(拙稿「Exakta RTL1000 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その26)」)、同じビクセン製のルーペ(3倍率のクリエールルーペPB60・日本製)を購入し、もう一組虫眼鏡(単玉)レンズを仕立てた。

CIMG4558.JPG


レンズ径は60mm。58mm→62mmステップアップリングの62mm部分に丁度収まった。

CIMG4559.JPG


ルーペ把持部に誇らしく嵌め込まれていたビクセンのロゴをレンズフードに貼付。

CIMG4560.JPG


Bushnellの望遠レンズから拝借したヘリコイドにexakta用エクステンションチューブ(32mm)を履かせてCanon Lens Mount Converter Eを介しCanon AL-1に搭載。

CIMG4561.JPG


なお、ホームセンターで売られている円形ラバー(中央に穴が開けてある)を利用して、エクステンションチューブの内部に絞り機能の為のダイアフラムを設けた。ラバーゆえに多少光沢があるので、群馬県南牧村特産の木炭の微粉末を水性糊に混ぜて面相筆にて丹念にラバー表面に艶消し処置を施した(なお、この処置はフォーカルプレーンの孔塞ぎにも使える。拙稿「Exakta Varex IIa」)。内部反射はそこそこ抑えられるだろう。

CIMG4574.JPG

(生乾きの状態で撮影ゆえ一部反射。乾けば均一にマットとなる)


ビクセンのクリエールルーペPB60はマルチコートの非球面レンズだがアクリル製。ルーペには普通表裏があって、ルーペを固定して目の位置を変えて対象物を見る場合と、ルーペの位置を変えて見る場合で表裏を使い分けるようだ。クリエールルーペのレンズ面は表裏の使い分けを要しない両面非球面の設計になっていると思われる。

Flickrでアクリル製虫眼鏡レンズで撮影した写真はわずかしか投稿されていない。同サイトで私とフォロー関係にあるフッチェンロイターさんの以下の写真ぐらいだ。

Tulpen


Lavendel


いまどきの眼鏡のレンズはほとんど光学用アクリルで作られている。従って、眼鏡が手放せない私もアクリル材を通して外界を眺めているわけだ。ルーペとはいえマルチコートで非球面のレンズであれば基本的条件としては眼鏡のレンズと同じ。フッチェンロイターさんの写真は雰囲気があるがもう少し抜けの良い写真をクリエールルーペのレンズで得たい。

CIMG4576.JPG


SONY NEX-3に搭載しての試写(フレアや後景のボケ具合などは好天下では異なるかもしれない)。フィルムではどうなることか。

DSC01176.JPG


DSC01179.JPG


DSC01174.JPG


----

次に用意したのは、P-Rokkor 2.5/75mmレンズ(Chiyoko P-Rokkor 2.5/75と同じ)。このレンズを用いて撮影した例がFlickrにいくつか掲載されており私なりにフィルム撮影で使ってみようと思い立った。

Bubble Bokeh  -  P-ROKKOR CHIYOKO 75mm f2.5


OI000001-01


P-Rokkor 2.5/75mmレンズはミノルタの昭和35年製造のスライドプロジェクターがドナーである。プロジェクター(ジャンク扱い)はヤフオクで500円で落札した。

kanon_ya2-img600x450-1500106287oke5mu20138.jpg


プロジェクターの外観はレトロ感充満でなんとも可愛らしい。しかしカバーを開くと中はマッチョだ。小さなスペースにぎっしりと機械が詰まっている。レンズユニットが繰り出す機構などギミック(からくり)は日本人の得意とする設計だ。金属とガラスの塊は小さくともモノとして強烈にその存在を主張している。

slide.jpg


そのプロジェクターの前面のレンズユニットを借用した。ユニットはヘリコイド付きのレンズボードとP-Rokkor 2.5/75mmレンズが組み込まれた鏡筒からなる。残念なことにレンズボードとヘリコイドは一体となっていて分離できない。鏡筒をベローズなどと組み合わせる手もあるが、このままユニットを使うことにした。レンズは経年の汚れが付着。マイクロファイバークロスで清掃し元の輝きを取り戻した。

CIMG4568.JPG


丁度、手元にあったihagee製のエクステンションチューブの内側にヘリコイド部分がぴったり収まった。

CIMG4569.JPG


CIMG4567.JPG


チューブを一段さらに継手してその間に前述のビクセンレンズの場合と同様絞りの為のダイアフラムを設けた(前述と同じ内部反射防止の為の処置を施してある)。スライドプロジェクター用のレンズは元々絞りはなく被写界深度が浅い。四角いスライドの外側に当たるアウトフォーカス部はスクリーンへの投影の必要がない為、収差が考慮されていない設計を考慮しなければならない(上掲の撮影例はその特性をそのまま活かしたようだが、ちょっと背景が煩すぎる感がある)。

CIMG4566.JPG


ミラーレスカメラ(SONY NEX-3)で何度か試し撮りをした結果、プロジェクターレンズの味わいを残すためにダイアフラムの開口部はもうひとまわり大きめに直した。

ihagee製のエクステンションチューブとCanon Lens Mount Converter Eを介してCanon AL-1に搭載。かなり不恰好だが35の文字が誇らしく見える。

CIMG4570.JPG


P-Rokkor 2.5/75mmレンズに手元にある46mm径のフードやフィルターを付けるための細工を施した。

CIMG4571.JPG


レンズボードが目立ってちょっと気恥ずかしいので、黒の艶消しで塗装した。ビニル樹脂ベースなのでいざとなれば剥がして元に戻せる。それでも35の文字が目立って蒸気機関車のヘッドマークのよう。

CIMG4575.JPG


SONY NEX-3に搭載しての試写(フレアや後景のボケ具合などは好天下では異なるかもしれない)。フィルムではどうなることか。

DSC01162.JPG


DSC01171.JPG


DSC01167.JPG


----

以上、新たに仕立てた二組のレンズについては、追ってフィルムでの撮影結果を報告したい。乞うご期待。

(おわり)


posted by ihagee at 20:51| Canon AL-1

2017年07月30日

Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その2)


Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その1)の続き。

AL1_2.jpg

CIMG4504.JPG

さっそく、虫眼鏡(単玉)レンズ(3.5倍率)を用いて試写(7月23日自宅 / フィルムはFujicolor100 / スキャナ:EPSON GT-X980)。被写体は街の花屋で買い求めた切り花で、ベランダ(自然光)と洗面台(ハロゲン光下)で撮影。アナログカメラにとってカメラ本体は単に暗箱で写りはあくまでもレンズの特性に依存するがどうであろうか?

比較までにCarl Zeiss Jena Flektogon 2.8/35でも撮影してみた。これは白鏡胴の第一世代でシリアル番号の前に赤い文字でTとある同世代では珍しくコーティングが中玉にされているレンズ。

----

analog-film-canon-al-1-carl-zeiss-flektogon-28--35-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_35354373803_o.jpg

analog-film-canon-al-1-carl-zeiss-flektogon-28--35-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36121098896_o.jpg

analog-film-canon-al-1-carl-zeiss-flektogon-28--35-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36161844895_o.jpg

さすがはZeissらしい鮮明な絵である。Canon Lens Mount Converter Eを介してCanon AL-1のフォーカスエイドも絞り優先AEも問題なく機能した。なお、レンズ側の絞りはF8に固定している。

----

虫眼鏡(単玉)レンズ(3.5倍率)に換装して撮影。ここでフォーカスエイドがあまりアテにならないことが判った。レンズを経てファインダに行く光はメーンミラーの透明スリット部分によって分割されその一部はサブミラーにおってミラボックスの床に設置された3つのCCDラインセンサに同じ数のビームスプリッタを経て到達し、フォーカスセンサでコントラストの強度を検出演算する。この機構の求めるレンズの設計値から虫眼鏡(単玉)レンズの特性は大きく外れているからである。緑の合焦のインディケータが点滅する位置ではファインダを通して視認する限りピントが合っていない。フォーカスエイドは無視し老眼の眼に頼って撮影することになった。

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_35322543014_o.jpg analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_35770411230_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_35322560194_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_35322714194_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_35354678443_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36028555821_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36028571281_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36028590371_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36121018026_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36028635651_o.jpg

analog-film-canon-al-1-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-is-mounted-thereon-via-canon-lens-mount-converter-e-fujicolor-100-location-my-house-asaka-saitama-japan-july-22-2017_36120924156_o.jpg

----

Exakta RTL-1000と結果において大差はなく、それなりに雰囲気のある絵に仕上がった。ワンコインの切り花も少しばかりストーリを感じさせるモデルになってくれた。元淵江公園の一画にある足立区生物園で前回と同じ条件でさらに試し撮りをしてみたい。カメラの操作性の違いを確認する為である。

(おわり)
posted by ihagee at 11:35| Canon AL-1

2017年07月21日

Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その1)


虫眼鏡(単玉)レンズでのフィルム撮影に旧東独VEB・ペンタコン・ドレスデンのExakta RTL-1000を用いてきた。

CIMG4432.JPG


analog-film-exakta-rtl1000-with-homemade-single-lens-using-a-x35-magnifier-lens-fujifilm-superia-premium-400-location-adachi-park-of-livingthings-tokyo--july-14-2017_35561550580_o.jpg

(作例)


TTL露出計以外は全て機械式マニュアルのカメラは信頼感がある。Ihageeの嫡子ではない継子扱いのカメラであるが、Exaktaを名乗るゆえにCarl Zeiss JenaなどのExaktaマウントのレンズが使えるのも(膨大なレンズ資産を継承できる)、そうでないプラクティカ系のカメラよりも有利であり、本家Ihageeにはない設計上の利点も数多く備えている(縦走りメタルフォーカルプレーン、1/125X接点、TTLファインダーなど)。

しかし、個人的に総メタルゆえに重いのが難点だった。もう少し軽く、虫眼鏡(単玉)レンズも含めExaktaマウントのレンズ資産を継承可能なカメラはないものかと思案した。ExaktaマウントのSLRには他にトプコンRシリーズがあるがこれも総メタルで且つRTL1000よりも設計が古い。

また、絞りのない虫眼鏡(単玉)レンズを用いるのであれば絞り優先のマニュアル式カメラが欲しいところだ。そしてハタと思い当たるカメラがあった。Canonの異端児<Canon AL-1>である。「絞り優先なんか本当は作りたくなかったのに、仕方なく作らさせられた」なるこのSLRには幸いにも、Exaktaマウントレンズが装着可能な純正レンズマウント(Canon Lens Mount Converter E)が用意されている。(AL-1については、愛情をもって紹介しているサイトがあった)

折良くヤフオクで極めて程度の良いAL-1(純正のFDズームレンズ2本付き)を手に入れることができた。

AL1_2.jpg


ただでさえ人気のないCanon Aシリーズの中でさらに異端児であることが幸いして格安である。このカメラのアキレス腱は壊れやすい(必ず壊れる)電池ボックスの蓋であるが、出品者の巧みな細工によって改良されている点も気に入った。

AL1_3.jpg


そして、絞り優先AEという設計の新しさゆえに、絞り固定でシャッタースピードを自動で選択してくれる上、フォーカスエイドは老眼の進んだ眼には有るに越したことがない機能である。また、フォーカスエイドはあくまでも「エイド=補助」であって機構的にシャッター操作を邪魔しない点も良い(つまりオートフォーカスでなくマニュアル操作を尊重している)。全面マットのスクリーンはRTL1000のセンターがマイクロプリズムのスクリーンよりもコントラストがはっきりして視認性に優れる。そしてこのフォーカスエイドがレンズに依らずカメラ本体のみで完結している点はFDレンズを含めレンズ資産をそのまま活用できる。ファインダー内のインフォメーションもシャッタースピードが表示される点は安心感がある(シャッタースピード優先のSLRとは発想が逆だが、絞り固定のレンズを使う場合はむしろ有利になる)。


(80年代の雰囲気たっぷりのAL-1のCM)

AL1.gif

(AL-1のファインダー)


needle.png

(RTL1000のファインダー)


シャッター時の音やミラー振動もRTL1000より少ない。そして筐体も比較すれば小振りで何よりも軽い。上述の純正レンズマウントはEbay UKから同様に格安で手に入れることができた。

CIMG4504.JPG

(Canon Lens Mount Converter Eを介して虫眼鏡(単玉)レンズを装着したAL-1)

さっそく、虫眼鏡(単玉)レンズをマウントしてフォーカスエイドなどカメラ側の機能をチェック。いい加減なレンズでもそれなりにピントを指示し適切なシャッタースピードを割り出すことが確認できた。ExaktaマウントのZeissレンズはレンズ側の自動絞り込み機能をオフにする必要があり開放でピントを合わせることができないが、フォーカスエイドはF11程度まで頼りになることが判る。

CIMG4503.JPG


Exakta RTL1000には少し休養を与えて、Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズでフィルム撮影を試みようと思う。防湿庫で眠ったままのZeissやSchneiderのレンズも出番を待っていることだろう。

(おわり)

posted by ihagee at 05:15| Canon AL-1