2019年05月09日

サイアノタイプ - その74(引き伸ばし機)



前回記事のように、スライドプロジェクター(Fujica Birdie Kit3)でのサイアノタイプ・プリントがそこそこ完成をみたので、昭和11年(1936)製の乾板用のハンザの引き伸ばし機(ハンザ特許引き伸ばし機 / Anastigmat F=125, 1:6.3)に取り掛かった。

引き伸ばし機(Lucky II-C)にスライドプロジェクター(Fujica Birdie Kit3)を組み込んだ為、Lucky II-Cの光源としていたSMDユニット(50W)をハンザ引き伸ばし機に転用する。同時にハンザに元から付いていた巨大なコンデンサーレンズをLucky II-Cの口径の小さなコンデンサーレンズに代えた。

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早速、ガラス乾板を用いてプリントを行う。印画紙はvif Art B5 (H.P. surface) paper。焼き付けは約二時間程度、光が回らず四隅が若干欠けているが結果はまずまず。従来光源として用いていた砲弾型のLEDでは難しかったサイアノタイプらしいプルシャンブルーまで表現できた。

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乾板用のハンザの引き伸ばし機に於いてもSMD光源の組み込みによって、プリントは一応の完成をみた。

(おわり)

posted by ihagee at 03:49| サイアノタイプ

2019年04月14日

サイアノタイプ - その73(Fujica Birdie Kit3)



銀塩写真用の引き伸ばし機のように吊るせば、水平面上で小穴式ピーク・引伸用ピント・ルーぺI型(No. 2000)を使うことができるが・・と前回ブログ

そこで思い切って今まで使ってきた引き伸ばし機(Lucky II-C)を分解し、Fujica Birdie Kit3を組み合わせてみた。水平に使うスライドプロジェクターが垂直に吊るされて何とも奇妙な姿である。ネジで組み込むようなことはせず、プロジェクターの脚部にフェライト磁石を取り付けて鉄製の引き伸ばし機のアームに磁力でくっつけただけだが軽量なプロジェクターゆえにしっかりと固定された。

ネガとなるフィルムはガラスキャリアで、ガラス乾板の場合はそのまま、フェライトよりも強力なネオジム磁石を仕込んだフェルトの抑えでプロジェクターに装填可能。さっそく1910年代の古いガラス乾板をネガとして使ってプリントを試みた。元来、120フィルムまでしか掛からないプロジェクターゆえに、それよりの大きな乾板であるから一部しかプロジェクションできない。スタジオで撮影されたと思われる母娘の写真の娘の顔が中心にくるように乾板をセットした。

印画紙上でピント・ルーペで焦点合わせを行う(光源が紫外線ゆえに、ルーペにセットしたiTouchのカメラ画像を介し液晶越しに焦点を確認)。引き伸ばし機の専用レンズと比較にならないほど解像度の甘いプロジェクター用レンズなので程々にしか合わせることはできないが。

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焼き付け二時間、洗浄後オキシドール浴、乾燥後さらにジャスミン茶でトーニングを施した。

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さらにもう二枚、同じく1910年代のガラス乾板を使ってプリント。焼き時間、仕上げは上述と同じ。

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引き伸ばし機のレンズならば、以下の程度まで細部を表現できるので、このスライドプロジェクターならではの表現を少し考える必要があるかもしれない。

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(今回用いたネガを1933年製のハンザ引き伸ばし機を使ってプリントしたもの)

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(おわり)

posted by ihagee at 09:30| サイアノタイプ

2019年04月08日

サイアノタイプ - その72(Fujica Birdie Kit3)



スライドプロジェクター(Minolta Mini 35)を利用したホームメイドの引き伸ばし機(光源はパーティ演出用UVブラックライト)について検討の余地があると前回ブログで述べた(拙稿「サイアノタイプ - その71(引き伸ばし機)」)。

プロジェクターのレンズ(P-Rokkor 2.5/75mm lens)にテレコンのレンズを重ねて焦点距離を調整した為、投射した像の四隅が歪みピントが合わない。プロジェクターレンズだけだと焦点距離が1m以上となって印画紙まで紫外線が届かないという不具合であった。

それ以外は、スライドプロジェクターの小さな口径のコンデンサーレンズは同様に小さなSMDのUV光源にはベストマッチであることが判った。さらにプロジェクターのレンズは銀塩写真の引き伸ばし機に用いるレンズと比べて構造が単純なことが幸いして紫外線が印画紙まで十分に届く。

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焦点距離が短いスライドプロジェクターは無いものかと探したところ、Fujica Birdie Kit3(レンズ:Fuji Film P-Acular/1:3/f=50mm)という大昔の卓上スライドプロジェクターが目に留まった。「富士フィルムのあゆみ」に「1955年(昭和30年)4月、コンパクトな携帯用のスクリーン内蔵機“バーディーキット”」(I型)が発売されたとあるのでその頃の製品だろう。Birdieは「小鳥」の意。

ヤフオクに幾つか出品されていた中から一台を買い求めた。当然需要もなく格安で手に入れることができた。日本が元気だった頃の手抜きのない真面目な製品である。元々あったバルブをソケットごと取り外し、その箇所にMinolta Mini 35と組み合わせて使っていたSMDをPC用のアルミクーラー(縦横5cm・奥行き2cm)を抱かせて組み込んだ。その下に5cm角のPCクーラーファンをさらに組み込んで、SMDのレギュレータはこのプロジェクターの受台の中に収容。

このスライドプロジェクターは120ポジフィルムスライドを投射するように設計されているので、スライドマウント部の口径が通常の135フィルム(35mmフィルム)用よりも大きい。これなら120フィルムも、部分的にせよガラス乾板も使用できる。プロジェクターに付属していた120ポジフィルム用のキャリアーは却って邪魔なので外した。さて、どうやって120フィルムなりガラス乾板を取り付けるか?百均で床キズ防止用のフェルトシールとネオジム磁石を買って、フェルトシールのシール面に磁石を貼ったものと、その上にさらにフェルトシールを被せてサンドイッチしたもの各々4つ作り、プロジェクターの開口部四隅に前者を取り付け(プロジェクター自体が鉄製なので磁力でピタッと貼り付く)、フェルト面に当たるようにフィルム用のガラスキャリアーまたはガラス乾板を置いて、後者で押えた。

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「コンパクトな携帯用のスクリーン内蔵機」とあるだけに、焦点距離が短く扱いが良い。さっそく、1910年代のガラス乾板を仕掛けてプリントを試みる。水彩画用vif Art (B5 H.P. surface) にPotassium Ferricyanide & Ferric Ammonium Citrateの水溶液を1:2の割合で混ぜて塗布した印画紙を使った。

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10分程度で焼き目が付き、水洗・オキシドールに浸けて完成。

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サイアノタイプらしいプルシャンブルーで緻密に100年以上前の人物が再現されている。プロジェクターレンズでこの程度まで表現できればまずまずだろう。

1950年代の古い120フィルム(北海道美国の入浜)をガラスキャリアーで挟んでプリントしてみた。キャリアーのガラス分紫外線が遮断されて焼き時間は2時間程度かかった。あまり焼き込みすぎると細部が潰れてしまう。焼き目を目視しながら仕上げる。

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同じく1950年代の古い120フィルム(北海道美国)をプリント。こちらはジャスミン茶でトーニングを施した。

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1950年代のガラス乾板。コイル巻機を製造していたどこかの町工場で撮影されたものらしい。これもジャスミン茶でトーニングを施した。

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銀塩写真用の引き伸ばし機よりもスライドプロジェクターの方が小さな口径のコンデンサーレンズゆえSMDのUV光源とは相性が良い。焼き時間も短く済み、サイアノタイプらしいプルシャンブルーまで焼き込むことができる。無論、暗めの室内灯程度下でプリントを行うことができ暗室は不要。

あとは、どう印画紙面上でピントを合わせるか、という課題。銀塩写真用の引き伸ばし機のように吊るせば、水平面上で小穴式ピーク・引伸用ピント・ルーぺI型(No. 2000)を使うことができるが・・(拙稿「サイアノタイプ - その32(引き伸ばし機)」)。

(おわり)
posted by ihagee at 04:06| サイアノタイプ