2021年04月11日

サイアノタイプ - その117(引き伸ばし機)



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本ブログの「フィルム・レコーダ(デジタル⇒アナログ変換)」カテゴリーで紹介したポラロイド社のフィルムレコーダーHR 6000で作成したアナログネガ(Fuji Acros II)での作例の続き。いずれも写真プリントまたは写真製版のモノクロームのポストカードをスキャンしたもの。

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(フランクフルト中央駅 / 1930年撮影)
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(米映画女優 Marion Davies / The Patsy (1928)でのPola Negriのポーズ?)
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(仏映画舞台女優 Carmen de Raisy)

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以下はトーニングを施した作例:

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(1900年頃のオラノタイプ=Oranotypie ポストカード /Georg Gerlach & Co./Berlin)
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(独舞台女優 Josefine Wachinger)
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(米映画舞台女優 Nance O'Neil / アメリカのサラ・ベルナールと評された)

(おわり)

posted by ihagee at 09:04| サイアノタイプ

2021年04月09日

サイアノタイプ - その116(引き伸ばし機)



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本ブログの「フィルム・レコーダ(デジタル⇒アナログ変換)」カテゴリーで紹介したポラロイド社のフィルムレコーダーHR 6000でFuji Acros II(36枚撮)をサイアノタイプのアナログネガ目的に数本露光させた。

元画像はデジタル(Sigma DP2Sでのデジタル撮像およびポストカードのスキャン画像)のデジタル⇒アナログ変換を介し且つコントラスト等デジタル処理で演出を加味しているので、そのアナログネガは本来の「アナログ」ではない。プリント過程が引き伸ばし機を使ったアナログということだからとそれでも「アナログ」と言えなくはないが、アナログカメラで撮影したフィルムをネガとする本稿当初からのサイアノタイプの「アナログ」性からすれば宗旨替えである。

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コロタイプ印刷を含む写真製版のモノクロームのポストカードをスキャンし同上の過程でアナログネガを作成しサイアノタイプで数枚 Cotman Water Colour Paper B5 Fineにプリントをした(引き伸ばし機:UV光源のLucky Attache-35(EL-Nikkor 1:2.8 f=50mm)/ 露光時間約四時間)。

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(ガブリエル・レイ Gabrielle Ray のプリントと用いた135フィルム)

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以下はトーニングを施したもの
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ロンドンGaiety Theatreの舞台俳優、ガブリエル・レイは商業写真(ポストカード)にその姿を今に残している。フォトジェニック(今風に言えば「インスタ映え」)の先駆であり、世界で最初に美容整形(鼻梁修正)をした女優でもある。ファッション・フォトグラファー、セシル・ビートン(Cecil Beaton)は幼少期に実際に舞台で接した彼女(およびGaiety Girls)を元にミュージカル「マイ・フェア・レディ(My Fair Lady)」のイメージを作り上げた(拙稿「ガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)- その6(在りし日の事ども)」)。

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Sigma DP2Sでのデジタル撮像を元にした135フィルムでのプリント:
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UV光源・アナログネガでの最初のサイアノタイプ=拙稿:「
サイアノタイプ - その8(引き伸ばし機)
」の頃のプリントからすれば我ながら大進歩と勝手に自賛している。

(おわり)

posted by ihagee at 06:46| サイアノタイプ

2021年02月23日

サイアノタイプ - その115(引き伸ばし機)



前回記事では、LPL Model 7451の元にあったディフューザ・ボックス(散光箱)に代えてスポットライト用のフレネルレンズ、Aputure フレネル 2xを使い機能的にコンデンサレンズと同様の集散光となるよう7451を改造した上でのプリント例を紹介した。

しかし所詮スポットライト用のフレネルレンズであるから、集光させるとフレネル特有の同心円状の波紋が印画紙面上に薄っすらと見えるなど引き伸ばし機のコンデンサレンズ代わりにするには癖があり過ぎた。物は試しと昭和11年(1936)製乾板用ハンザ特許引き伸ばし機(Anastigmat F=125, 1:6.3)のコンデンサレンズ(直径約16cm)を転用した所、やはりコンデンサレンズの方が集光性が良い。

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さて、本ブログの「フィルム・レコーダ(デジタル⇒アナログ変換)」カテゴリーで紹介したポラロイド社のフィルムレコーダーHR 6000で135(35mm)フィルムを未だ露光させていないことにハタと気付いた。フィルムテーブルとデジタルカメラを使っての露光試験は「フィルム・レコーダ(デジタル⇒アナログ変換)再発見(続き2)」で報告した通り。

写真印画紙と遜色のないコロタイプ印刷をスキャンした画像データをその変換に用いた。この印刷が歓迎されていたのは今から100年前。幸いにもその当時の写真ポストカードはこの印刷を用いたものが多く、アンティークながらeBayで安価に入手可能。ポストカード自体が網点(オフセット印刷)を持たないコロタイプゆえ、スキャンにも十分耐える写真画質ということである。

ガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)- その7(ポストカード)」で紹介したポストカードの多くがこのコロタイプである。EPSON GT-X980を使い16ビットグレイスケール&35mmフィルムのアスペクト比(3:2)でスキャンした画像データをHR 6000の最大解像度Width: 4096 pixels / Height: 2732 pixelsとなるようにPowerBook G3 Wallstreet上のPhotoshopで加工した。

この際のパラメータは以下の通り。
プリントサイズ:
Width 10.834 inch
Height 7.226 inch
Resolution 148.85 pixels / inch
Pixel dimensions: 32.1 M

35mmフィルムはFuji Acros II 100(36枚撮/モノクロ・ネガ)を用意し、HR 6000のスプーラであるPolaroidデジタルパレット v4.2.1のフィルムテーブルからFuji Neopan 100HRを選択、明るさ設定は普通(0)でB露光(ワンパス)を行った。キャリブレーションされていないこのHR 6000のCRTではRGB(3パス)は画像ズレを起こす可能性があるのでRGB露光は諦めた。

このデジタル⇒アナログ変換で作成した35mmフィルムには、「サイアノタイプ - その52(引き伸ばし機)」で紹介した35mm専用のLucky Attache-35(EL-Nikkor 1:2.8 f=50mm)を使うことにする。LPL Model 7451用の100W SMD UV光源では大きすぎるので50W SMDに代えた。

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以下、作例(Cotman Water Colour Paper B5 Fine / 約五時間露光):

トーニング無:

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(比較迄、プリントに用いた35mmフィルムを並べる)
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ジャスミン茶でトーニング:

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ジャスミン茶でトーニング後、軽く漂白

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以上、いずれもガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)。

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サイアノタイプでは水から上げたばかり(濡れた状態)のプリントは実に瑞々しい。しかし、乾くとこの瑞々しさが途端に失われてしまう。そこで、艶有りニス(水性)で表面をコートしてその状態を保つ手法が一般的である。ニスはモノによってはプリントの色目を変えてしまうが、セリア(百均)の水性ニスはその心配がない。

プリントが生乾きの状態でスポンジ刷毛で薄くニスを塗布するが、紙が乾くにつれて反ってしまうことが多い。特に乾燥している今の時期は難しい。ニスの代わりにフィルムでプリントをコートしたらどうだろうかと思い付いた。Amazonからナカバヤシのラミネータ(HEL-02A4)と100μmの純正フィルム(B5/100枚)を購入。B5版のCotman Water Colour Paperは厚紙ゆえに温度は高めの150μm側設定にしてラミネートを行った。

結果は至極良好。反りなくフィルムがプリントに密着しフィルムの光沢が瑞々しさに寄与している(色目が鮮やかになり且つ均一に艶が出てニスよりも断然良い)。適度な強度および防汚・防水性があるから額に入れずともそのまま飾ることができる。

(おわり)


posted by ihagee at 18:20| サイアノタイプ