2019年10月22日

サイアノタイプ - その95(引き伸ばし機)



前回までSolarFast dyeを加えたサイアノタイプによる作例を紹介してきた。

従来のサイアノ感光剤だけで何枚かプリントを行う。
用紙:Cotman Water Colour Paper F2 Medium
感光剤:Jacquard cyanotype kit (Potassium Ferricyanide & Ferric Ammonium Citrate)
引き伸ばし機:Lucky II-C (Nikon EL-NIKKOR/1:4/f=50mm)
アナログネガ:35mm (135) film (Fuji Acros 100) 、フィルムレコーダ (Polaroid Digital Palette CI 5000S)で作成したもの
露光時間:約五時間
トーニング:ジャスミン茶

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以上、ガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)

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以上、百年以上前のアンティークポストカード

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フィルムレコーダ (Polaroid Digital Palette CI 5000S)で作成したアナログネガは、カメラで実際に撮影したネガ(以下、プリント掲載)と比べれば階調が低いのでそのままプリントに表れてしまう(眠い感じになる)。

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フィルムレコーダ のドライバーソフトに登録のフィルムテーブルについては検証をしているので(拙稿『フィルム・レコーダ(デジタル⇒アナログ変換)再発見(続き2)』)、次にアナログフィルムを作成する際は階調についてはもう少し改善されるかもしれない。

最近のプリントは以下の通り。
screenshot


(おわり)


posted by ihagee at 18:06| サイアノタイプ

2019年10月06日

サイアノタイプ - その94(引き伸ばし機)



前回の続き。

最初からSolarFast dyeをサイアノタイプ感光剤に混ぜ合わした場合はどうなるかと、二剤を等量溶いて水彩画用紙(Cotman Water Colour Paper F2 Medium)に塗布・乾燥後、プリントを行った。サイアノタイプ剤だけの場合と比べ見る間に像が顕れ(一時間)これは!と思ったが、洗浄すると本来白く抜けるべきところもボツボツと青く色染み全体に汚れた感じに上がった。サイアノタイプ剤は鉄塩、SolarFastはアンモニア系の顔料なので、前者は定着、後者は染着と紙繊維への作用機序に違いがあるからだろう。

したがって、前回同様、先にサイアノタイプ剤を一様に塗布しその上からSolarFast(ブラック)を重ね乾燥させて印画紙を作成するのが今のところベストという結論となった。その上でさらに一枚プリントを行う。

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35mmアナログネガ(1960年代撮影・ワシントン郊外・化学工場構内の作業用タンク)を引き伸ばし機(Lucky II-C(50w SMD UV光源)・Nikon EL-NIKKOR/1:4/f=50mm)にセットし露光(五時間)、SolarFast専用の洗浄液を使わず水洗のみで仕上げた(トーニング無)。

前回と同様、発色がブルーブラックになり細部のディテールも上がっているのでSolarFast(ブラック)が何らか貢献していることは間違いない。なお、SolarFastはどの色もイエローを含んでおり、イエローが最も感光性が高いので本項の条件下でSolarFastが働いているとすればイエローかセピア(ブラックが不完全に感光すると)ということになるのだろう。

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SolarFast単体で不完全に露光した場合(セピア)


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1950年代の120フィルム(室蘭)を使ってさらに一枚プリント(五時間露光・トーニング無)。

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比較:
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(おわり)

posted by ihagee at 06:44| サイアノタイプ

2019年10月03日

サイアノタイプ - その93(引き伸ばし機)



サイアノタイプではJacquard社のキット(クエン酸アンモニウム鉄(III)&フェリシアン化カリウム)を使用しているが、この二剤は1842年来(英国で技法が発明)の古典的組み合わせである。

それに代わって、同社の染色(ダイ)用のSolarFastキットが本項の目的に使えないか試してみることにした。係るキットはOHPフィルムで作成したデジタルネガをTシャツなど繊維に密着させ太陽光を使ってポジ像をプリントすることを目的とし、シルクスクリーンのインクとしても使うことができる。ゆえに各色があるようだ。

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SolarFastのブラックをeBayを通じてオーストラリアから取り寄せた(国内未発売)。水洗だけでも色は定着するが、専用のウォッシュ液も併せて入手した。

太陽光下では約十分で露光が完了するので、サイアノタイプとほぼ同じ感光度だろう。UV光源下でサイアノタイプの場合、約五時間かかるので同程度とみて早速プリントしてみた。

SolarFastのボトルから乳灰色のドロリとした液剤をスポイトで平皿に拾ってスポンジ刷毛で水彩画用紙(Cotman Water Colour Paper F2 Medium)に塗布。乾燥させた後、35mmアナログネガ(1966年撮影)をセットした引き伸ばし機で約五時間露光後ウォッシュ液(薬品臭がある)で洗浄。結果は以下の通り。

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黒くならず薄いセピア色の寝ぼけた像となった。失敗である。露光が足らない以前に薬剤の使用方法が間違っていたことに気づいた。塗布したら乾燥させずにすぐに光に当てる方がより発色するようだ。しかし、未乾燥の濡れた状態では露光中に紙が反ってしまうのでコンタクトプリンター(ガラスで紙を挟む)で反らないようにする必要がある。引き伸ばし機の露光面でのピント合わせをコンタクトプリンターにセットした(=ガラスに挟んだ)紙に行うのは至難。そもそも密着焼きの為の薬剤だから、引き伸ばし機を使ったプリントには不適なのだろう。

そこで、サイアノタイプの薬剤を紙に塗布しその上からさらにSolarFastを重ね塗りし乾燥させてプリント。つまり、二つの用途の違う薬剤を組み合わせてみた。

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結果は良好。サイアノタイプ薬剤のみの場合よりも発色がブルーブラックになった。サイアノタイプ薬剤だけの場合、黒味を出すにはジャスミン茶などによるトーニングを要するが、この組み合わせなら配合の仕方次第でトーニングを要せず黒味を出すことができるかもしれない。階調も増した感がある。さらに試す価値はありそうだ。

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(おわり)


posted by ihagee at 03:24| サイアノタイプ