2021年11月02日
商標登録前の『五輪』の世界はどう見えるのか
「IOCを相手取った」IOC登録商標『五輪』無効審判について、同無効審判の請求人でもある三木義一氏(弁護士、前青山学院大学学長)主宰のYouTubeチャンネル『庶民大学TV Japan』に以下最新動画がアップロードされた(ゲストは同じく請求人である柴大介弁理士)。
IOC登録商標『五輪』無効審判での無効理由を理解するには、商標制度の基礎を知る必要がある。前回動画の続き。
商標登録前の『五輪』の状況が(IOCの登録商標と使用商標『五輪』との関係、使用商標『五輪』の表示主体等)すなわち無効審判の理由となるのでこの辺りの理解は重要である。判りやすく解説されており視聴をお勧めしたい。
キーワード:
・IOCの登録商標と使用商標『五輪』は類似(観念類似)
・IOCの登録商標は公益著名商標
・公益著名商標に対する使用商標の類否判断→例外(使用商標の商品・サービスの類否に拠らない)
・使用商標『五輪』の表示主体=大衆(歴史的観点・事実)
・使用商標『五輪』の表示主体=IOC(法的観点・禁止権の範囲)
・使用商標『五輪』を大衆は違法に使用し続けた(法的観点・禁止権の範囲)
・IOCは大衆の『五輪』違法使用(商標的使用)に対して一度として禁止権(差止請求)を行使しなかった(法的観点)
・今更国民総懺悔か?→商標制度はこのような世界をどう捌くのか?(→次回動画に続く)
(おわり)
posted by ihagee at 02:26| 東京オリンピック
2021年10月23日
IOC登録商標『五輪』無効審判での無効理由を理解する
「IOCを相手取った」IOC登録商標『五輪』無効審判について、同無効審判の請求人でもある三木義一氏(弁護士、前青山学院大学学長)主宰のYouTubeチャンネル『庶民大学TV Japan』に以下最新動画がアップロードされた(ゲストは同じく請求人である柴大介弁理士)。
IOC登録商標『五輪』無効審判での無効理由を理解するには、商標制度の基礎を知る必要がある。
以下の動画(商標制度の基礎の基礎)の視聴をお勧めしたい。商標制度について全く知識がなくとも勘所が良い向きには、この「基礎の基礎」で「ああそうか!」と無効理由について膝を打つかもしれない。そうでなくとも、続編動画で合点が行くことだろう。
「商標制度の基礎の基礎」に照らせば、IOC登録商標『五輪』の問題点の幾つかをその制度に詳しくない者ですら認知できるにもかかわらず、その商標を専門とする弁理士は柴弁理士(柴弁理士は本来、特許弁理士)を除いて誰一人その問題に気付いていない(または気付いていても問題視しない)のは、それがあまりに「基礎の基礎」だからかもしれない。まさに魚の目に水見えずである。
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「商標制度の基礎の基礎」およびその続編で理解が期待される無効理由:
理由1:商標法第3条第1項柱書違反
IOCは、本件登録商標の出願時に出願商標『五輪』を使用している又は使用意志があるとは認められない。
理由2:商標法第3条第1項第2号
『五輪』は、我が国では自他商品識別力を喪った商標法第3条第1項第2号に該当する慣用商標であり、商標法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。
理由3:商標法第4条第1項第6号
『五輪』は商標上の非営利公益事業の表示商標であるオリンピック表示標章に類似する商標であるから、商標法第4条第1項6号に基づき登録を受けることができない。
理由4:商標法第4条第1項第7号
IOCは自らが表示主体となる標章及び商標の管理及び権利行使を適切に行っておらず、請求人を含む我が国における公共性と公益性を損ない、請求人を含む我が国の需要者が不測の不利益を被ることになるため、IOCには「主体に着目した公序良俗違反」が適用されるべきである。
理由5:商標法第4条第1項第10号
『五輪』は、他人での業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である『Olympic』及び『オリンピック』に類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項10号に違反し、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきである。
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直接の無効理由ではないが、『五輪』について歴史的観点から考察すれば、大衆に膾炙した文字文化であることは明白であろう。その文化を継承し誰よりも守るべき立場にある日本ペンクラブは、その文字文化をその文化圏にないIOCに奪取されても(たとえ商標権であろうと)全く意に介さないつもりらしい。
日本ペンクラブへの意見(筆者が同クラブ投稿欄に送った意見):
『五輪』なる「自分たちが作ってきた言葉」をIOCに奪われても(言論の自由、表現の自由が奪われたのです!)、その自由の砦としての貴クラブが何の問題意識も持たず剰え沈黙を続けるのであれば、貴クラブの存在意義が問われることと認識します。
「あなた方どうして自分たちの言葉を大事にしないのか(三木氏)」、重く受け止めて頂きたいと存じます。
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折り返しご連絡させていただきますので、しばらくお待ちください。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
日本ペンクラブ
info@japanpen.or.jp
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一ヶ月経っても連絡なし。
「自分たちの言葉」すら大事にできないのに、緊急シンポジウム「危機に直面する報道の自由〜アフガニスタン取材の問題点」などとは、こちらも灯台下暗し。
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歴史的観点(表示主体):
我が国では、1936年以降現在に至るまで、大衆が表示主体となって『五輪』を自由に使用してきたが、IOCが表示主体となって『五輪』を使用した形跡がない。従って、『五輪』の商標登録出願前後のおいて、現実には、『五輪』の表示主体は、IOCではなく、大衆であるということになる。
(おわり)
posted by ihagee at 05:59| 東京オリンピック
2021年10月04日
「あなたたちどうして自分たちの言葉を大事にしないんですか!(三木氏)」
「IOCを相手取った」IOC登録商標『五輪』無効審判について、同無効審判の請求人でもある三木義一氏(弁護士、前青山学院大学学長)主宰のYouTubeチャンネル『庶民大学TV Japan』に以下最新動画がアップロードされた(ゲストは同じく請求人である柴大介弁理士)。
(「五輪」無効審判)
動画の終段での三木氏の言葉は重い(以下)。
「日本語の問題をこういう形で軽々しく外国のこういう団体が商標登録するということの是非を今回問いたいわけです。これは本来は私たちがやることではなく日本のマスコミがやんなきゃいけないんですよ。自分たちが作った言葉じゃないですか!あなたたちどうして自分たちの言葉を大事にしないんですか!」
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「自分たちの言葉を大事にしないんですか!」は、マスコミだけでなく日本語(および文字文化)を共有する日本人全てに投げかけている。この問いを投げかける上でIOCを相手取って無効審判を提起した意義は大きい。
是非とも上掲の動画を視聴され問題意識の輪を周囲に広めて頂きたい。
(おわり)
参照記事:IOC登録商標『五輪』無効審判:YouTube『庶民大学TV Japan』で現状報告(2021年10月3日)
posted by ihagee at 07:29| 東京オリンピック