2019年05月15日

「商品化権」ですから・・!?



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(拙稿「大阪・1962年ごろ」より)

スポンサーに対するオリンピック関連商標使用許諾は商標法違反、について先のブログ記事で書いたように、在京の弁理士がこの問題を国際オリンピック委員会(IOC)宛(トーマス・バッハ会長宛)公開書面で国際社会に向けて発信した(「国際オリンピック委員会への手紙」)。

誰がどう斜めに解釈しようとも、オリンピック関連商標の使用を第三者=スポンサー(企業)に許諾すること、およびスポンサー(企業)の係る使用(共に日本国内)を以ってのライセンス活動は商標法違反である。商標法上、使用権原のない者の商標権の使用は商標権侵害に当たる。たとえ、商標権者が差止請求権を契約上放棄して侵害を認めても、元々、第三者に使用許諾できない商標権であるから、商標権者自ら「アンブッシュ・マーケティング」を幇助していることになり兼ねない。

「アンブッシュ・マーケティング」対策がオリンピックのブランド保護の最大課題であるのに、それと相反するライセンスをオリンピック関係者が自ら行うということでもある。

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公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は「東京2020大会の公式ライセンス商品を製造・販売するライセンシーをご紹介します。」とライセンシー一覧を公開している。

「ライセンス」「ライセンシー」「商品」という言葉が並ぶ。

日本オリンピック委員会(JOC)は「東京2020ライセンシングプログラムのご案内」のライセンス契約の項目で「契約の可否については、商品化権使用申請書をご提出頂いた後、東京2020ライセンシング事務局と組織委員会において検討し、最終判断を組織委員会が行ないます。」と記載。つまり、「商品化権」の「使用」に係る「ライセンス」「ライセンシー」なのである。
(「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)東京2020パラリンピック競技大会 東京2020ライセンシングプログラムのご案内」)

どうやら「商品化権」とは、申請・契約によってのみ発生する「権利」のことらしい。では、「商品化権」とは一体何なのか?

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商標法で「商品化権」なる概念は存在しない。商標法含めその他の法にも定めがなく、どうやら放送・広告業界(電通・後述)から出てきた概念のようだ。それどころか「商品化権」そのものを定義した法令は世界に存在せず、その概念を保護するには著作権、商標権などの既存の法制度に依拠しなくてはならないと世界知的所有権機関(WIPO)はその法的保護の形式について述べている(「商品化権と知的財産権の関係 - 抱える課題と対策 - 牛木理一弁理士」)。

また、「がんばれ!日本!商標不使用取消事件:知財高裁平 17(行ケ)10527 平成18 年 1 月 31 日判決<棄却>事件」では、「商品化権」は商標法にその保護を依拠すべきとして、通常使用権設定契約の存在と「商品化権」の関係(同一)と判示されており、商品化権=商標法上の通常使用権と解釈される。

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オリンピック関連商標は商標法によって保護される商標権である上には、「商品化権」なる概念は商標法・商標権にその保護が依拠されなくてはならない。ところが、オリンピック関連商標の使用を第三者に許諾することを商標法は認めていない(商標法第31条第1項但書き)。

依拠する保護形式が商標法であり、その商標法が第三者=スポンサー(企業)に対するオリンピック関連商標使用許諾を認めない、ということであれば、「東京2020大会の公式ライセンス商品を製造・販売するライセンシーをご紹介します。」は何ら法に依拠しない使用権を謳い、その侵害品の製造販売を「ライセンシー」に行わせていることになる(商標法上、侵害状態にライセンシーを置いている)。

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つまり、オリンピック関連商標を使用したライセンス活動の実体は、この「商品化権」に立つオリンピック・ビジネスであるが、その依拠すべき商標法はことわが国に於いては、オリンピック関連商標について「商品化権」を保護しない。このジレンマを解消しようと、今国会では商標法改正法案(第31条第1項但書き削除)が提出されているが、法令不遡及の原則によって、たとえ法案が承認され公布施行されようと、それ以前に出願登録された商標にその効果は及ばないと解される。

ゆえに、参議院法務委員会(第4回 / 2019年3月20日)の質疑応答で、政府参考人は「著作権」がどうとか、「契約上のことだから」と「使用」が合法であることについて依拠する法律を示すことができず、答弁に窮することになった。依拠する法律は商標法であり、その法が禁ずる使用ゆえに、「使用」は違法・脱法的であると鋭く小川敏夫参議院議員(質疑者)は指摘したが、まさに正鵠を得ている。

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電通報・オリンピックビジネスをつかんだ男 服部庸一(7)」で、ロサンゼルスオリンピックを控えた1982年3月に、電通は「マーチャンダイジング発表会」を本社ビルで行った旨の記載がある。「商品化=マーチャンダイジング」そして、商標法上許諾できない通常使用権について、「商品化権」なる脱法的ビジネスモデルをオリンピックに持ち込んだのは誰であるか・・。

「株式会社電通(本社:東京都港区、社長:石井 直)は、一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会=現:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(本部:東京都新宿区、会長:森 喜朗)から、同組織委員会のマーケティング専任代理店として指名されました。(2014年4月17日 株式会社電通 プレスリリース)」

「(オリンピック関連の)登録商標を使っているスポンサー企業は、商標権侵害に問われかねない。むろん今後、法改正されても、今の違法性は消えない(法令不遡及の原則)。スポンサーには大手報道機関も名を連ねているが、この「不都合な事実」を報道するだろうか」(東京新聞デスクメモ)

そのさらに背後にある巨大な存在。この国の闇を垣間見る思いがする。

(おわり)

追記:
実定法に依拠しない契約上だけの概念が商品化権なのか?すなわち、知的財産権(ロゴやマークなど・商標権)の使用許諾ではなく(そもそも商標法で認められない)、実在的要素(エンブレムやマスコットなど・キャラクター)のマーチャンダイジング(商品化)がオリンピックビジネスの本質なのか?商品化権云々と言ったところで、知的財産権(ロゴやマークなど・商標権)を第三者に使用させていることに変わりはなく、つまりそのこと自体、違法ライセンスではないのか?そして、アンブッシュ・マーケティング対策などと法の支配を掲げておきながら、その裏で商品化権なる実定法に依拠しない概念を繰り出して己が違法を糊塗し法の支配を潜り抜ける=脱法行為を行なっているのではないのか?知財専門家のさらなる論考を期待したい。
posted by ihagee at 02:56| 東京オリンピック

2019年05月12日

国際オリンピック委員会への手紙(日本語訳)



国際オリンピック委員会(IOC)への手紙(2019年4月21日付で国際郵便にて発送され4月25日付でIOC本部=スイスに配達確認済)の写し(添付物共)一式がPDF形式でネット公開された(英文公開書面・拙稿「国際オリンピック委員会への手紙」)。IOC・トーマス・バッハ会長に宛てたこの手紙の差出人はIOCの登録商標「五輪」について特許庁に異議申立を行った柴大介弁理士である(拙稿『IOCの登録商標「五輪」についに異議申立』)。





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その英文の手紙の参考訳も柴弁理士によって公開された(「バッハIOC会長への手紙(参考和訳)」・)。


国際オリンピック委員会(IOC)への手紙 / 参考和訳

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「その使用について違法性や不法行為の可能性が極めて高いオリンピックに関連した登録商標に基づく日本国内でのライセンス活動について、貴殿は直ちに中断することを決定し大会パートナー/スポンサーを含む関係者にその旨指示することで、それら関係者による商標権侵害を含む不法行為が続くことを防ぎ、関係者と共に可能な解決を求めてこの問題の「深刻さ」に果敢に取り組むものと私は確信しています。 」(訳文より)

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改元、そして新たな時代の幕開けに(私にとっては何ら新たな時代ではないが)、違法・不法(作為義務を果たさず、未だに不作為を決めこむこと)を持ち込んだオリンピック関係者と政府。

2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会は国ぐるみの犯罪を前提に開催されようとしている。

このまま犯罪を見逃せば、新天皇の顔ばかりかこの国の信用に泥を塗ることになる。立憲主義・法治国家へのレッドカードが突きつけられているこの大問題。未だ知らない人々にお知らせ願いたく(以下、QRコードで和訳を呼び出すことができます・拡散希望)。


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Twitterでは以下の文章を以って国際社会にこの問題を発信していただければ尚幸甚です。

Pls. share the awareness of legal issues (licensing activities of olympic-related trademarks by the IOC family are illegal without doubt, and undermining the rule of law in Japan!) posed by Open Letter to the IOC (attn: Mr. Thomas Bach, President)! https://drive.google.com/file/d/1-b762Myg4849WtZ1tm4fDfy_G5fuvVr6/view Your retweet welcome!

(おわり)

posted by ihagee at 08:53| 東京オリンピック

2019年04月28日

国際オリンピック委員会への手紙



国際オリンピック委員会(IOC)への手紙(2019年4月21日付で国際郵便にて発送され4月25日付でIOC本部=スイスに配達確認済)の写し(添付物共)一式がPDF形式でネット公開された(公開書面)。IOC・トーマス・バッハ会長に宛てたこの手紙の差出人はIOCの登録商標「五輪」について特許庁に異議申立を行った柴大介弁理士である(拙稿『IOCの登録商標「五輪」についに異議申立』)。



An Open Letter to the International Olympic Committee

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日本国の商標法の下で保護されているオリンピック資産、すなわち、大会パートナー/スポンサーが使用しているオリンピックに関連した登録商標のその「使用」が日本国の商標法に明らかに違反している状態にあるということを詳らかに指摘した上で、係る状況にあって、その使用について違法性や不法行為の可能性が極めて高いオリンピックに関連した登録商標に基づく日本国内でのライセンス活動について、直ちに中断することを決定し大会パートナー/スポンサーを含む関係者にその旨指示することで、それら関係者による商標権侵害を含む不法行為が続くことを防ぎ、関係者と共に可能な解決を求めてこの問題の「深刻さ」に果敢に取り組むことを求める内容となっている。

この書面の写しは
Mr. John D. COATES, Chair of Legal Affairs Commission, the IOC
​竹田恆和、JOC会長
​森喜朗、OCOG会長
​小池百合子、東京都都知事
​室伏広治、東京2020スポーツディレクター
​小川敏夫、参議院議員
​清水善広、日本弁理士会会長
​東京新聞(tokuho@chunichi.co.jp)
(敬称略)にも送付されているようだ。

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東京新聞だけがこの大問題を詳しく伝えてきた。そして、こうデスクメモは綴る。

「(オリンピック関連の)登録商標を使っているスポンサー企業は、商標権侵害に問われかねない。むろん今後、法改正されても、今の違法性は消えない(法令不遡及の原則)。スポンサーには大手報道機関も名を連ねているが、この「不都合な事実」を報道するだろうか

東京新聞に続いてこの「不都合な事実」を報道する者は誰一人いない。しかし、今般、国際社会に「不都合な事実」が発信された(公開書面)。この問題は枯野に放たれた火のように国際社会にまで広まり、いずれ日本政府に責任が及ぶだろう。立憲主義・法治国家へのレッドカードが突きつけられているこの大問題。憲法記念日も間近。この記事を是非拡散し、未だ知らない人々にお知らせ願いたく。

(おわり)

posted by ihagee at 08:15| 東京オリンピック