2016年12月16日

「水素水」


「水素を含んだ水いわゆる「水素水」について一部の商品が健康増進効果があるかのようにうたっているとして、国民生活センターが改善を求めた。この調査は国民生活センターが、容器入りの「水素水」と「水素水」を作る生成器、計19商品について調べたもの。「水素水」は有効性について信頼できる十分なデータがないのが現状だが、12の商品で「病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」「アンチエージング効果」などとうたっていたという。国民生活センターは、こうした表示が景品表示法などに抵触するおそれがあるとして、改善を求めるとともに、行政には業者を指導するよう求めている。」と報道(日本テレビ系(NNN) 12/15(木) )。

以前、その水素水生成器のトップメーカーの営業風景について触れた(「電解(還元)水素水とやら」)。その時も営業担当者は「アンチエージング効果」をプレゼンテーションで強調していた。学会で証明されているとも言っていた。

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水素社会に前のめりの安倍政権・小池都政。世界のデファクトとならないジャラパゴス。電気自動車ですでに日本は欧米の後塵に甘んじている。投資の割に経済効果が疑われる「水素」。鳴り物入りで登場したトヨタのMIRAIもlこの頃はすっかり話題にならなくなった。水素生成段階でのエネルギー消費やら、水素ステーションなどインフラ整備への莫大な投資、レシプロ車を廃車解体する際のCO2排出などネットで考えれば地球にも懐にも決して優しくない車。消費者に対してメリットが少ない割には国や都が巨額支援することで、新たな「安全・安心神話」とばかりに当てにするムラ関係者は多い。この辺りはカジノ法案(賭博法案)と構図が同じ。ムラ経済のためにまずは政治や行政で神話が形成される。「水素水」についても「神話」が形成されムラ経済がある。

どうも、我が国はこのごろ、そんな神がかった政治・経済が唯我独尊とばかりにひた走っている。「神って」勝手に歩き回って踊ってこけるのはマリオだけじゃない。それは外側に立ってこの国を眺めるとわかる(「立ち位置を知る」)。

(おわり)
posted by ihagee at 08:12| 電解水素水, 還元水素水

2016年03月13日

電解(還元)水素水とやら

世の中「水素」流行りである。

FCV(燃料電池自動車)を核としたバラ色の水素社会を現政権はアドバルーンのように掲げているようだ。電気自動車に比してFCVは国際標準になり得ない問題(技術面・経済面)を数多く抱えているにも拘らず、「この道しかない」の最高責任者である。その道の先が原発に代わる新たな利権・ムラ・神話の創造であればもう懲り懲り、願い下げである。

もう一つの「水素」流行りは、いわゆる「水素水」のようだ。

私が社会に出た今から30年程前は、ミネラルウォーターなどただの水にカネを払って買うという価値観は全くなかった。伊藤園の缶入り緑茶やウーロン茶が登場したのもその当時だったが、水よりは付加価値があると思って買ったものだった。水が悪い外国の旅行先ぐらいしかミネラルウォーターを買わざるを得ない状況はなかったと思う。ところが今や、ミネラルウォーター、ウォーターサーバー、浄水器は家庭の普及品となった。

水道水が不味い・臭いといった問題から、それらが普及したのではなく、水がらみの健康ブームが背景にあるようだ。そしてミネラルウォーター(天然水)やウォーターサーバー(処理水)ではもはや付加価値がないのだろうか、やがてアルカリ水が健康に良いかもしれないとして水を電気分解する<整水器>がブームとなった。そして、極めつきが胃腸症状改善の効果・効能という医薬品医療機器等法(旧薬事法)でのお墨付きを得た<電解水素水>整水器である。つまり、アルカリ水であり且つ電気分解により水素をたくさん含んでいる水が昨今の流行りである。

ゆえあって、その整水器の最大手のN社の商品(家庭用整水器)説明会に立ち会う機会を得た。ペットボトルに詰められた<電解水素水>と共にその<水>で調製した弁当を食しながら営業担当者の説明を聞く段取りである。説明の主たるところは酸化還元作用の実証で、イソジン(酸化物)にその水を加えると一瞬にして色が消え、プチトマトをその水に漬けると真水に漬けるのと比して水が黄色く濁る(つまり、トマトの表面の汚れが水に溶け出す)、漬けた後のトマトの食味が改善される等々、一見マジックショーである。いかなる作用機序によってそうなるのか疑問もあったが、学術論文やら納入実績など矢継ぎ早のセールストークに巻かれてしまった。その水の中の水素溶存量については測定器や試薬を用いた確認はなく、酸化還元作用があれば結果的に水素溶存を示したことになるということらしい。

そしてその整水器の価格が十数万円でカートリッジの年一回の交換に一万円程かかること、整水器からは<電解水素水>のみならず酸性水も処理されて出てくるので、原水の全量が<電解水素水>となる訳ではないこと(酸性水として用いない限りムダになる水が発生する)が判った。

説明会を終えてトイレに立つと、尾籠な話で恐縮だが小便が白濁して出た。そんな経験は今までなかったので説明会で散々食べたり飲んだりした<電解水素水>が我が代謝に何らか影響を及ぼしたのかもしれないと、俄かに<電解水素水>に興味を抱いたのである。

そしてネットで情報を手繰り寄せると、<水素水>の括りで途方もなく多くの商品が出回っていることに気付いた。中には炭酸清涼飲料水と同じく単に水素ガスを水に圧入した商品から、マグネシウムなど触媒を化学反応させて水素ガスを水に溶かし込む商品など、鰯の頭も信心からと思いたくなるようなモノが溢れかえっていた。

ここは百聞一見であると、鰯の頭も信心からを覚悟の上、携帯型の<電解水素水>整水器を購入した。鰯の頭と同じ程度の価格で買えるものとすれば中国製である。商品名はXIAOMAOTU(小毛兎)という。米国eBayで50ドル程度で売られている。発注して一週間もせずに商品が届いた。中文・英文併記の使用説明書は案外詳しい。そして、品物も予想外にしっかりした製品であった。

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具体的にはチタン・プラチナをメッキした電極と演出用のLEDランプ、USBコネクタ(受電部)などを組み込んだボトムに着脱可能に500mlの分厚いガラスボトルが組み合わさった形状である。外装の金属部分はステンレスでボトルのガラス以外のインナーにはTritanシリコンが使われており、水に触れる全ての素材について公的機関に於いて安全性が証明されているそうである。給電は商品に同梱されていたUSBケーブルを介して、パソコン等のUSBコネクタから行う。商品にバッテリーは搭載されていないので、ケーブルなしで単体では機能しない。つまり、USBケーブルが商品のスイッチの代わりである。使用説明書に明記されているが、電子部品が配されているボトムのUSBの差し込み口には一応シールがあるが、そこから水が入ると故障の原因となるとのことなので、商品を洗浄する際はガラスボトルをボトムから取り外して洗い、ボトムと連結した後に水を入れてボトムの内側を軽く洗浄するのが良いのかもしれない。

さっそく、そのように洗浄しパソコンからUSBケーブルで給電して作動させてみた。USBケーブルを挿すや否や、LEDランプが淡い光を放ち細かな泡がボトムから立ち上り始めた。LEDについては私の過去ブログ記事に於いて功罪を述べておきながら(「LEDは<省エネ>に非ず」)、このLEDは構わないのかと問われそうだが、LED光源を用いた「EPSON GT-X980」の記事と同様、ここはご容赦願いたい。
以下、作動状態を示す動画:



電気分解のプロセスはLEDの光の変化と同時に終わる。その間の時間は約6分であった。処理の完了した水に臭気は一切なく(同種の某日本製品ではオゾン臭があるとのことだが)、水の味は主観であるが原水と比較して口当たりが柔らかになっていた。なお、原水として用いる水にウォーターサーバー(処理水)と浄水器の水の二つを試してみたら明確な違いがあった。前者では殆ど泡が出なかったのである。おそらく、ウォーターサーバーの処理水には電気分解に必要な量のミネラルが除去されているのかもしれない。まさに、雑たるが意味を為す上では「ピュアは毒なり」である。薬局で売っている純水なら泡一つ立たないだろう。

上述のN社の高価な製品のように、電極のプラス側とマイナス側を隔てて(二槽)、電解水素水と酸性水を分離する仕組みではない。それらが混ざり合った電解水がその安価な中国製整水器から出来上がった水となる。したがって、酸素と水素が酸化作用と還元作用と共に不安定に混ざり合って存在していると思われる。pHも中性のままだろう。水素溶存量については高価な測定器を用いれば計測可能だが、そのようなモノは持っていない。メチレンブルーの試薬(滴定試薬)があるそうだが、不安定な状態の試料には不向きだそうだ。イソジン(酸化還元作用の確認)も同じようである。この商品の電極板は使い続けるうちにいずれカルシウム等が付着して泡の立ち方が悪くなるだろう。クエン酸で洗うと良いそうなのでそうなったら試してみるつもりである。

この水を飲んでそれなりに気分は良い。飼っている老齢のセキセイインコにも与えたが、ゴクゴクと美味そうに飲むところを見るとまんざら悪い水でもなさそうである。ついでに花瓶の水も取り替えた。信じる者は救われる程度に眉に唾して受け止めることにしたい。

追記:
先日、「水素水」について独立行政法人 国民生活センターから「活性酸素の一種を抑制する水をつくるとうたった装置−飲用による効果を表したものではありません」と発表があった。「人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」ということだ。

上述の大手N社の十数万円の商品や安物の小毛兎も<電解(還元)水素水>としては「人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」の範疇だろう。電気分解水機器で作られる<アルカリイオン水>について「(人体への)効果を期待するには現実的ではない」とその国民生活センターの報告(平成4年)をきっかけに、<アルカリイオン水>が科学的装いを伴って<電解水素水>と業界で言い換えられてきた経緯を考えると、国民生活センターが再度そんな言い換え商品の<電解(還元)水素水>にも駄目押しをした形になる。

N社の商品(家庭用整水器)説明会は今思い出すと、「人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」とは反対の「関連付け」を示唆する内容であった。ストレス・煙草、飲酒、果ては放射能といった文言がゾロゾロとスクリーンに映し出されていたからである。N社の社員はその整水器のおかげで医療費がかからない(健康である)旨、数値を出して説明していたが、これなども「関連付け」に思えてくる。そしてその「関連」の機序も<アルカリイオン水>によるものなのか<電解水素水>によるものなのか、模糊として解らなかった。

N社の説明によると、その<整水器>は1966年に旧厚生省から家庭用医療機器として承認され、現在は医薬品医療機器等法(旧薬事法)において胃腸症状改善の効果・効能が認められている旨、飲用水生成器では唯一効果・効能が認められている機器で、その使用目的は「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」とある。つまり、<アルカリ性電解水>として<胃腸症状改善>をその効果・効能として説明するのが限界であって、<電解水素水>もひっくるめて上述のような「人体への効果と関連付け」を示唆することは、業者側(又は業界団体)の都合解釈でしかないように思える。実際、業界団体の説明では「水素の形態や生体内の活性酸素に対してどのように作用するかなどについては未だ明確な結論に至っておらず」とある。明確な結論に至っていないにも関わらず、家庭用電解水素整水器が「人体への効果と関連付け」を示唆して売られているのであろう。

US50$の小毛兎の価値は電飾程度と諦めもつくが、N社の十数万円の商品価値はアルカリイオン水としての料理面での一定の効果(弱酸性物質はアルカリ性にするとイオン化するので水溶性が増大し、昆布の旨味成分がダシ汁に出やすくなる)程度しかないのか?いずれその使用者が溜息をつくような結果が国民生活センターから報告されるかもしれない。

前述の白濁した小便も昆布のダシ汁と同じだとすれば、今となっては我が身がダシ殻になった気分である。

(おわり)
posted by ihagee at 17:28| 電解水素水, 還元水素水