安倍国葬儀強行は国民の分断というけれど、行列をなして菊の花を手向ける人々こそ分断を促すひとたち。
憲法の下にこそ国民の統合はあるのに、その憲法を生前散々悪様にした者のためのそのまた違憲の儀礼に恭しく首を垂れるひとたち。
人を悼む気持ちとあなたたちは口を揃えるが、その気持ちの在処を法で示そうとしない儀礼になぜ出向くのだろうか。
国の政治を行う大もとの力は国民全体にあると憲法が謳っていることを、あなたたち一人一人は忘れ、その力を憲法に縛られないという人々に貸そうとしている。
日本をよい国にし、私たちの生活を明るくするためには、何よりもわれわれ国民一人一人が、憲法はあるなりにそれを尊重しなければならない。
「1946年11月3日 曇
新憲法の発布日である。家々の軒先に日章旗が掲げてあるのが珍しく思われる。何年ぶりかだと云う気がする。
何処となく生気が満ちて来たとも云う感じだ。食糧事情も大いに影響しているのであろうが。三時半の汽車で芦屋へ帰る。父より半紙の初取引の端書が来た。こっちは何とか頑張りますからご安心下さいとある。一寸悲しい。来年は六十と云う。あの八・一五が無ければ自動車で往復していた重役さんであるのに。あれ程行きたいと思っていた学校も亦考え直して見た。(父の日誌)」
<日本は戦力を放棄する。もう二度と戦争をしない、と書かれている。なぜこんなにやさしい言葉で、一人一人の人間に愛情を注げる憲法が生まれたのか。感動したというより、未知のものを見た驚きがありました。兵学校の2、3期上は戦地に赴き、無残に死んでいった。この憲法は、戦争で死んだ人たちの遺言に思えたのです>(2018年8月14日付毎日新聞夕刊/俳優の鈴木瑞穂氏)
『戦争は兵隊の目で見る。将校ではない。政治は国民の目で見る。この信条はすべて戦争体験に根ざしているんだね。』終戦から9ヶ月後、復員する船中で、新憲法の草案を新聞で読んだ。仲間と抱き合って泣いた。「二度と戦争をしないことを宣言した世界で唯一の憲法だ。」生涯の「原点」を戦争体験の中で身に刻んだのだ。(日本経団連の元専務理事 品川正治氏)
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父も含め、その「原点」を「戦争体験の中で身に刻んだ」人々はこの世を去った。その人々に代わって、それを知らない人々がまた愚かにもあの階段を登り始めている。
立憲主義的な統制が破れていくことに手を貸し歩みを進めている。その破れ、国民の分断こそ、立憲主義へのレッドカード、<地獄の一丁目>と懸念されている「緊急事態条項」を招き入れることだ。
(おわり)
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