2022年03月22日

ほぼ全ての戦争がメディアの嘘の結果である(続き)



ほぼ全ての戦争がメディアの嘘の結果である」の続き

認知バイアスから戦争は始まる。認知バイアスとは、人が行う意思決定や判断に影響を与える思考の誤りを指す。認知バイアスとは、人間が「こうした方がうまくいく」という経験知を行動傾向にして獲得したもの(ヒューリスティクス)が、裏目にでたもの。または、認知バイアスを利用し人間の意思決定・行動に影響を与えること。この影響力を最大行使し得るのがマスメディアである。以下、認知バイアスをメディアの報道に照らしてみると良い。「戦争の報道(事実を伝える)」が「戦争への報道(正義を語る)」となっていないか

正義と正義のぶつかり合いが言葉ではなく武力(軍事侵攻・経済)に拠る場合、戦争への正義(ロシア)戦争での正義(ウクライナ)を区別して考える必要がある。

国連憲章のルールを無視し現状変更のためにウクライナに軍事侵攻したロシアに、ロシアなりのいかなる正当理由があろうと「正義」(戦争への正義)を語ることはできない。

他方、ウクライナの「正義」(戦争での正義)とは生命や財産の防衛の意味での「正義」であり、なされた行為(侵攻)を正すのに必要以上の力を行使してはならない。しかし、ウクライナが国際社会に呼びかけている対露経済・金融制裁も過ぎれば、ロシアの人々を貧困に陥れ、飢餓の苦しみから暴動さえ誘発し多分に暴力的であることに変わりはない。ゼレンスキー大統領は「交渉が失敗したら第3次世界大戦になる」旨の発言をし、国際社会をも自らの「盾」とし、アメリカおよびNATO諸国の参戦を含め、あらゆる制裁をロシアに下すよう呼びかけている。また、その結果が国際社会でのロシア人全般に向けたヘイトスクラム(スポーツ・芸能文化でのロシア人排斥)となることも構わないとするのなら、ウクライナも「正義」(戦争での正義)を捨てようとしているようだ。

結局、戦争の当事者のいずれにも「正義」を被せることは正しくなく、況して勝てば「正義」(勝てば官軍)は偽善である。だから戦争はすべきではない。また、メディアはそんな戦争に「正義」を語ってはならない。

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[社会的比較バイアス Social comparison bias]
自分の相対的な優位性を確保しようとする傾向。SNS=社会的比較増幅メディア

[作話 Confabulation]
騙す意図がないのに、偽の、あるいは誤った記憶を作り出すことで、「正直な嘘」と呼ばれることもある。純粋に真実の記憶を伝えていると信じている人が、記憶を改ざんする場合もある。自分自身や世界について捏造、歪曲、または誤った解釈をした記憶を作り出すと定義される記憶障害のことである。作話を起こす人は「微妙な改変から奇妙な捏造まで」不正確な記憶を示し、矛盾する証拠があるにもかかわらず、一般に自分の記憶について非常に自信を持っている。
関連記事:それでも「白い嘘」なのか?(ワクチン)

[動機に訴える論証 Appeal to motive]
状況対人論証(circumstantial ad hominem)の一種。 主張の動機を問題視し、主張を偽であるとする。「〇〇の手先だから」(外発的動機付け)、「〇〇主義者だから」(達成動機付け)、「人でなしだから」(内発的動機付け・人格攻撃)。

[バルヴァー主義 Bulverism]
論敵の主張を偽と仮定した上で、その根拠を人格に求めてその言説を否定するという循環論証を伴う対人論証を行う。相手がとてもばかげている理由を指摘することによってその言説を否定する。

[中庸に訴える論証 Argument to moderation]
中庸に訴える論証、あるいは偽の妥協(false compromise)、中間からの主張(rgument from middle ground)、中道の誤謬(golden mean fallacy)は、真実とは2つの対立する立場の間の妥協点にあるものだという誤謬である。中庸に訴える論証は二つの相反する主張に対して用いられる。例えば、ある人が空は青色だといい、またある人は空は黄色だと主張したとする。ここで真実の空の色は緑色だと主張するのがこの誤謬である。緑は青と黄色の混色であり2つの位置の妥協点ではあるが、空は明らかに緑ではない。この比喩のように、2つの位置の中間に立つことは必ずしも真実につながるとは限らないのである。ウラジーミル・ブコフスキーは、ソ連のプロパガンダの大きな嘘と真実の中間を取ったとしてもそれもまた嘘に過ぎず、情報と偽情報の中間を探るべきではないと主張した。

[人身攻撃 Ad hominem]
人身攻撃(ad hominem、argumentum ad hominem)は、ある論証や事実の主張に対して、その主張自体に具体的に反論するのではなく、主張した人の個性や信念を攻撃すること、またそのような論法。

[二つの間違いは正しくならない論法 Two wrongs make a right]
「二つの間違いは正しいことをする」は、関連性の誤謬。「二つの間違いは正しいことではない」というアンチテーゼは、他人の違反への対応として、不法行為を叱責または放棄するために使用される。例 A:トランプ大統領は議会への証言で嘘をついた。彼はそれをすべきではありません。B:しかし、あなたはオバマ大統領が議会の証言で嘘をついたという事実を無視しています!

[嘘と欺瞞 Lying and deception]
意図的に偽情報を流したり、重要な事実を伝えない事により人々に疑問を持たせない技術。 この技術の一種として非常に重要な「事実」や「仮説の存在」を意図的に伝えない「省略による嘘」(Lying by omission)もある。

[感情に訴える論証 Appeal to emotion]
確証の検証や論証ではなく、例えば「このような主張をして恥ずかしくないのか?」(Appeal to shame)などのような「感情による理由付け」に基づいて真偽を判断する論証。 この誤謬の一種として、本来ならば検証すべき重要な前提を「感情に訴えて」当然の事として誤魔化す「前提のごまかし」(Hand-waving)もある。 「集団思考」に陥って誤った前提が「イデオロギー」として神聖化された場合、 その社会におけるその前提を用いた論証は全て無意味であり、不毛論争の原因となる。「宣伝効果のほとんどは人々の感情に訴えかけるべきであり、いわゆる知性に対して訴えかける部分は最小にしなければならない(ヒトラー)」

[大きな嘘 Big Lie]
「大衆は小さなウソについては自分でもつくので騙されないが、大きなウソは怖くてつけないので騙されやすい(ヒトラー)」

[ミリューコントロール Milieu control]
社会的同調圧力等によるマインドコントロール

[燻製ニシンの虚偽 Red herring]
意図的に論点をすり替えたり、故意に議論を発散させる行為を指した批判的な用語である。この奇妙な用語について、猟犬の訓練に燻製ニシンを使い、猟犬が燻製ニシンの臭いに惑わされないようにしたことに由来すると説明される。

[罵倒の誤謬 Abusive fallacy]
主張に反論するのではなく、相手を罵る。 この誤謬の一種として、根拠もなく「このXXXXめ」などと悪口を言う「誹謗中傷」(Name calling)もある。「集団思考」に陥った場合、 強い「われわれ感情」が現れ、 集団外部に対して「邪悪」や「間抜け」等と罵倒する傾向がある。

[身元のわかる犠牲者効果 Identifiable victim effect]
誰だかわからない人の危機よりも、誰だかわかっている人の危機に対して、より強く反応する傾向を、身元のわかる(顔のわかる)犠牲者効果と言う。「この難病で苦しんでいる子どもは翔太くんという名前で、まだ2歳になったばかりです。」一人の子供が井戸に落ちたら世界は救出のために大騒ぎするが、大気汚染で数万人が死んでも大して騒ぎにならない。

[多重質問の誤謬 Fallacy of many questions]
関係するすべての人々によって証明または受け入れられていない何かを前提とする質問を行うと、回答者はコミットしてしまう誤謬。この誤謬はしばしば修辞的に使用されるため、質問は質問者の議題に役立つものへの直接の回答を制限する。例:「あなたはまだあなたの妻を殴っていますか?」「君はもう詐欺から足を洗ったのかい?」
関連記事:マデレーン・オルブライトの後悔

[同情論証 Appeal to pity]
詭弁の一種。論者が聴衆の哀れみや罪悪感などの感情へ直接訴えかける弁論をすることにより、話題の論点を捻じ曲げ、且つ聴衆の同情による支持を受けようとする推論である。「子供たちのことを考えろ Think of the children」誤謬もその一つ。換言すれば、論者にとって聴衆から支持を受ける必要のない話題であれば、同情を買うことはしない。
関連記事:同情の度合いは目の色に応じてはならない

[偏見 Prejudice]
十分な根拠がないのに、特定の集団や個人に対して抱く信念であり、その見方を基にして取られる態度、表明される意見や暴力などの行為をいう。ステレオタイプともいい、差別と密接な関係を持つ。一般的に悪い意味として使われる。

[錯誤相関 Illusory correlation]
相関がないデータに相関があると思い込んでしまう現象。暴力をその実行者の人種に見る傾向(人種差別)

[合接の誤謬 Conjunction fallacy]
合接の誤謬(conjunction fallacy)もしくは連言錯誤とは、一般的な状況よりも、特殊な状況の方が、蓋然性(確からしさや発生確率)が高いと誤判断することである。リンダ問題としても知られている。形式的誤謬(formal fallacy)の一つである。

[可能性に訴える論証 Appeal to probability]
可能性に訴える論証とは「ある言説の出来事(事象)が起こる可能性が存在する」を「ある言説の出来事(事象)が起こる可能性が高い」と混同して結論を導くもの。「可能性の有無」と「可能性の程度」とは異なる概念だが、「不可能性の証明」(Proof of impossibility, Negative proof)が極めて困難である事を利用し、前提を意図的に解釈することで自分にとって好都合な結論を導くこと。

[すべり坂論法 Slippery slope(ex. ドミノ理論)]
比較的小さな最初のステップが関連する一連の出来事につながり、最終的に何らかの重大な(通常は否定的な)効果をもたらすと当事者が主張する議論。例:「脅迫に屈すれば日本国民はいたる所でテロリストのターゲットとなり、 際限のない譲歩を余儀なくされてしまう(テロリストの脅迫に屈すれば(産経新聞社説)。」

[内集団バイアス In-group bias]
自分のグループに属している人を無意識のうちにひいきしてしまうという心理現象。自分の集団のメンバーを集団外のメンバーより優遇するパターン。これは、他者への評価、資源の配分、その他多くの方法で表現されることがある。

[妥当性の錯覚 Illusion of validity(ex. バーナム効果)]
妥当性の錯覚とは、あるデータを分析する際、特に分析したデータが非常に一貫したパターンを示している場合、つまりデータが首尾一貫したストーリーを「語っている」場合に、結果を正確に解釈し予測する能力を過大評価する認知バイアスのことである。例:イラク戦争ではサダム・フセインの「大量破壊兵器」のストーリーから戦争が始まった(実際には発見されなかった)。

[道徳主義の誤謬 Moralistic fallacy]
なぜ戦争は起こるのか?に係る。
社会的に問題のある結論を偽とする論証。 社会常識に訴えるが、ある社会における常識が別の社会でも常識であるとは限らない。 何が道徳であるかは、証明する必要のないアプリオリとされる。 道徳主義的誤謬は、実在する社会活動が自然でない事を批判するために使われる。 「集団思考」に陥った場合、 「代替案を充分に精査しない」という現象が現れ、社会的に問題のある仮説が検討されない傾向がある。
関連記事:国連での民族的不寛容非難決議に唯一反対票を投じた米国とウクライナ(2020年)

[論点先取 Begging the question]
論点先取とは、証明すべき命題が暗黙または明示的に前提の1つとして使われるという誤謬の一種。論点先取の虚偽とも言われる。論点先取は、循環論法の誤謬と関連している。「私にとっての"真実"とは、あなたにとっての"真実"とは異なる」と主張する者は、「"客観的真実"という概念は存在しない」、即ち「無矛盾律は成立しない」という主張を暗黙の前提としている。戦争の当事者同士は論点先取を行う。

[プープーの誤謬 Pooh-pooh(ex. 嫌悪の知恵 Wisdom of repugnance、悪魔への制裁 Sanctioning the devil)]
「主張自体に議論するべき価値が無い」、「俗説は相手にしても仕方がない」などとして論証しない。 ダーウィンが「種の起源」を発表した時に社会に蔓延したのがこのプープーだった。 生理的に受け付けない主張や証拠に接した時の拒否反応を「嫌悪の知恵」(Wisdom of repugnance)と呼ぶ。 この「嫌悪の知恵」が生じた時に人間が犯しやすい誤謬がこのプープーである。 「pooh」は元々「嫌気がさす」という意味があった言葉で、現在の「pooh-pooh」は「鼻であしらう、蔑む」という動詞である。この誤謬の一種として、議論する事自体が論敵に対して承認を与える行為として議論しない「悪魔への制裁」(Sanctioning the devil)もある。「集団思考」に陥った場合、 「自己検閲」という現象が現れ、 波風を立てるような仮説は話題にしなくなる傾向がある。

[敵を悪魔化する Demonizing the enemy]
敵が破壊的な目的のみを持つ脅威的で邪悪な侵略者であるという考えを促進するプロパガンダ手法。悪魔化は、敵をより簡単に傷つけ、味方を維持して動員し、敵の士気をくじくために必要な敵への憎悪を刺激することを目的とした最も古いプロパガンダ手法。

・・・等々。

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以下の認知バイアスマップを以ってメディアの報道を照らす一助となれば幸いである。(MindMeister

認知バイアスマップ Cognitive bias map(Re nomor 2022 コピーライトマーク️ ver.1.0):


(Re nomor 2022 コピーライトマーク️)


(おわり)









posted by ihagee at 03:06| 政治