マスメディアは、市民に影響を与える主要な情報源であると共に世論を醸成する。内外情勢に対する市民の好みや見方を操作する道具にもなり得る。その出来事を記述する際に、ジャーナリストの客観性が十分でない場合、メディアの情報には偏向(バイアス)が生じる。
ネット社会となり、情報へのアクセスは格段に容易になった。一般市民でも自分の視点から物事を提示することで、世論に影響を与える市民ジャーナリズムも出現している。
しかし、それらの情報が信頼できる(客観性のある)情報源に拠っているのか、それとも書き手の偏った視点なのかを見分けるのは難しい。少なくとも、ジャーナリストはできるだけ客観的であり、自分の意見を脇に置くことが不可欠である。市民に影響を与える主要な情報源と自覚するのであれば、どんな状況でもプロフェッショナルであり続ける必要がある(「同情の度合いは目の色に応じてはならない」)。
マスメディアはその意味でのジャーナリズムを代表しているわけではない。なぜなら、「市民のために公権力の活動を監視する」ジャーナリズムの使命を、スポンサーシップのマスメディアは担っていないからだ(民放テレビ局にジャーナリズムの使命などない / 民放共々、総務省の許認可=政府支配下にあるNHKも同じである)。特定の政治思想・党派と結びついたマスメディアに、超党派の市民に向けて公平な資料を提供する使命はない。
むしろ、政治的思惑から、市民の注意を不利な事実や証拠からそらすため、マスメディアはさまざまな心理的テクニックを使い、その書き手は往々として偏った視点に立つ。自分たちの利益を追求するために、自分たちに有利なイメージを作り上げるのである。この状況は、コントロールが困難な多数のオンラインソースの出現によりさらに悪化している。
メディア・バイアスは以下に大別される。
@ 政治的思惑に拠るバイアス:特定の政治に独占的に奉仕する
A プロパガンダ・バイアス:特定の政治に不利な材料を意図的に表現する
B 無意識のバイアス:情報の切り取り方で生じる(書き手自身の無意識な偏見や情報選択の仕方に拠る)
『常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことだ。(アインシュタイン)』
偏見・偏向が「(世の)常識」というものを構成するのであれば、マスメディアはその偏見・偏向の主要な供給者とも言える。
[一辺倒な視点]・[正義 vs. 悪という単純な二値化]・[感情に過度に訴える]・[異論他論を排する] ・[共感や意見の一致を求める]が顕著な報道にはメディア・バイアスが過分に働いている場合が多い(その報道内容に客観性が疑われる)。人が行う意思決定や判断に影響を与える思考の誤り=認知バイアスを知り、この日々大量にマスメディアから供給される情報を篩にかけ「客観」とは何かをわれわれは常に意識しなければならないだろう。
以下の認知バイアスマップがその意識の一助となれば幸いである。(MindMeister)
認知バイアスマップ Cognitive bias map(Re nomor 2022

(Re nomor 2022
️)

(おわり)
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