現実との折り合い=「緩衝(バッファー)」を受け入れることか(ウクライナ)?の続き。
ウクライナにとって「緩衝(バッファー)」つまり「緩衝国」とは「フィンランド化」を意味する。
ウクライナの「フィンランド化」がロシアばかりかアメリカにとっても規定路線であったことは以下の記事からも明らかだろう。
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『「ウクライナをフィンランドに」ブレジンスキー元米大統領補佐官が英紙に寄稿』(産経新聞2014年2月28日付記事) ロンドン=内藤泰朗】
親露派政権が崩壊したウクライナ情勢をめぐり、英紙フィナンシャル・タイムズは24日、「ロシアには、ウクライナをフィンランドにする選択肢が必要だ」と題したブレジンスキー元米大統領補佐官の寄稿を掲載した。
ブレジンスキー氏は寄稿で、ロシアのプーチン大統領は同国の歴史と深いつながりがあるウクライナ南部のクリミア半島や東部の都市などで、分離独立を求める多数派のロシア系住民を背後から操り、ウクライナで内戦を引き起こす力を持っていると指摘した。
また、プーチン氏の野望がロシア主導の「ユーラシア連合」を構築、「ロシア帝国」を復興することにあるとしながら、欧米諸国は「ウクライナ安定化のために建設的な協力関係をロシアと結ぶ必要がある」と強調した。
その上で、ウクライナが欧州とロシアどちらの軍事ブロックにも加盟しない中立的な「フィンランド型国家」になることを提案した。そして、長期的な視点からみれば、「ウクライナはいずれ民主的な欧州の一員になる。ロシアも孤立化せず、帝国主義の遺物に回帰しなければ、早晩、その後を追うことになろう」と締めくくった。
ウクライナ親露派政権の崩壊はソチ五輪の閉幕と並行して起き、ロシアは政変に身動きできなかった。プーチン氏がこの問題に今後、どう対処するか国際社会の注目が集まっている。
(以上引用終わり)
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欧州とロシアどちらの軍事ブロックにも加盟しない中立的な「フィンランド型国家」になることは「超大国に国境を接する小さい中立国は、力の現実にその政策を適合させねばならない(フィンランド化)」という現実との折り合いのつけ方なのかもしれない。
ウクライナを敢えてNATOに加盟させない、核武装をさせない、との暗黙の了解とは正反対に、ゼレンスキーはウクライナの加盟を求め、自国の核武装の可能性まで示唆している。
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過去の米民主党政権に於いて既定路線であったウクライナの「フィンランド化」が、なぜかバイデン政権下では聞かれない。
バイデンファミリー(ハンター・バイデン)とユーロマイダン革命後のウクライナ政権(現ゼレンスキー政権に繋がる)の関係は深い(バイデンファミリーを巡る所謂「ドナルド・トランプとウクライナ論争」)。
「フィンランド化」という現実との折り合いをつけてもらっては困るのは、ゼレンスキーよりもむしろバイデンなのかもしれない。
(おわり)
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