「IOCを相手取った」IOC登録商標『五輪』無効審判について、同無効審判の請求人でもある三木義一氏(弁護士、前青山学院大学学長)主宰のYouTubeチャンネル『庶民大学TV Japan』に以下最新動画がアップロードされた(ゲストは同じく請求人である柴大介弁理士)。
(オリンピック商標の「使用意思」を特許庁はどう判断するか)
(五輪についてIOCは使用意思を有していなかった)
(五輪は既に慣用商標だった)
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IOC登録商標『五輪』無効審判(商標登録第6118624号)の以下の無効理由の内、理由1(使用意思)および理由2(慣用商標)について上掲動画では解説がなされている。
理由1:商標法第3条第1項柱書違反
IOCは、本件登録商標の出願時に出願商標『五輪』を使用している又は使用意志があるとは認められない。
理由2:商標法第3条第1項第2号
『五輪』は、我が国では自他商品識別力を喪った商標法第3条第1項第2号に該当する慣用商標であり、商標法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。
理由3:商標法第4条第1項第6号
『五輪』は商標上の非営利公益事業の表示商標であるオリンピック表示標章に類似する商標であるから、商標法第4条第1項6号に基づき登録を受けることができない。
理由4:商標法第4条第1項第7号
IOCは自らが表示主体となる標章及び商標の管理及び権利行使を適切に行っておらず、請求人を含む我が国における公共性と公益性を損ない、請求人を含む我が国の需要者が不測の不利益を被ることになるため、IOCには「主体に着目した公序良俗違反」が適用されるべきである。
理由5:商標法第4条第1項第10号
『五輪』は、他人での業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である『Olympic』及び『オリンピック』に類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項10号に違反し、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきである。
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使用意思(無効理由1):
IOCは『五輪』の商標登録前に、『五輪』を「自ら使用していた」痕跡がなく、使用意思も表明していないので、IOCの登録商標『五輪』は商標法第3条第1項柱書に違反する無効理由1を有しており、無効にされるべきである。
慣用商標(無効理由2):
『五輪』は、我が国では、特別顕著性を喪失した商標法第3条第1項2号に該当する慣用商標であるから無効にされるべきである。
IOC登録商標『五輪』無効審判(商標登録第6118624号)は、「請求人」と「被請求人」とが当事者として対立する構造の当事者系審判ゆえ、「請求人」が無効とする理由(1、2)については「被請求人」たるIOCは、
@ 商標登録前に「自ら使用していた」痕跡があったこと、または、使用意思の表明がなされたことを立証しなければならない。
A 大衆が『五輪』を何人のものとも認識せず使用してきたことについて、係る認識を改めるに至る商標管理(IOCが使用主体である旨)を商標登録前に行ってきたことを立証しなければならない。
果たしてIOCはこれらを立証できるのであろうか?
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『五輪』今さら商標登録、異議あり 無効求め弁理士ら審判請求(中日新聞2021年9月29日付web記事)、の「今さら」に『五輪』商標管理の「過去80余年に亘る」懈怠を棚に上げて「今さら」登録したIOCに対する違和感が市民感覚としても良く表現されている。
(おわり)
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