「IOCを相手取った」IOC登録商標『五輪』無効審判について、同無効審判の請求人でもある三木義一氏(弁護士、前青山学院大学学長)主宰のYouTubeチャンネル『庶民大学TV Japan』に以下最新動画がアップロードされた(ゲストは同じく請求人である柴大介弁理士)。
「これまでのIOCの言い分を考えてみようではないか」と題するこの動画では、IOCファミリー(オリンピックファミリー)の有する4条2項登録商標(公益著名商標)
例:
・「OLYMPIC」
・

・「オリンピック」、および
それらと類似する(上掲のオリンピック表示標章と類似する)
・「五輪」について、商標法上の使用権と禁止権の関係から
・IOCファミリーの商標権者(特にIOC)
・IOCファミリーの中の商標権者以外の者(開催都市、組織委員会、JOC、スポンサー企業)
・IOCファミリー以外の者(我が国の大衆=メディア、国民、事業者及びその需要者)
の各々について使用実態を詳らかにしている。
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具体的には、IOCファミリーの商標権者以外の者及びIOCファミリー以外の者は、使用権原なく登録商標を使用していることになるので商標権侵害をしていることになり(商標法第67条)、商標権侵害罪に該当する行為を行っている(商標法第78条)。
他方、IOCファミリーの商標権者(IOC)はかかる違法使用に対して過去ただの一度も差止警告をせず(「五輪」について)、剰えIOCファミリーは4条2項登録商標(公益著名商標)について広範に公然と商標法上違法となるライセンス活動をしており、その対価として4000億円に迫る協賛金を得ている。組織委員会の「大会ブランド保護基準」では、IOCが我が国の商標法に反する違法行為をしライセンシーを商標権侵害の状態に置く惧れがあることを自認してしまっている。つまり、IOCは、開催都市契約に基づき、組織委員会・JOCを通じて、大々的な商標法違反活動をしていることを自認していることである。
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これらの点はIOC登録商標『五輪』無効審判(商標登録第6118624号)の直接の無効理由とはなり得ないが、IOCが「五輪」をオリンピックに関する主な知的財産として全く認識していなかった事実を示している。
次回動画は以下の無効理由について触れていくとのこと。
理由1:商標法第3条第1項柱書違反
IOCは、本件登録商標の出願時に出願商標『五輪』を使用している又は使用意志があるとは認められない。
理由2:商標法第3条第1項第2号
『五輪』は、我が国では自他商品識別力を喪った商標法第3条第1項第2号に該当する慣用商標であり、商標法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。
理由3:商標法第4条第1項第6号
『五輪』は商標上の非営利公益事業の表示商標であるオリンピック表示標章に類似する商標であるから、商標法第4条第1項6号に基づき登録を受けることができない。
理由4:商標法第4条第1項第7号
IOCは自らが表示主体となる標章及び商標の管理及び権利行使を適切に行っておらず、請求人を含む我が国における公共性と公益性を損ない、請求人を含む我が国の需要者が不測の不利益を被ることになるため、IOCには「主体に着目した公序良俗違反」が適用されるべきである。
理由5:商標法第4条第1項第10号
『五輪』は、他人での業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である『Olympic』及び『オリンピック』に類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項10号に違反し、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきである。
(おわり)
追記:
IOCファミリー(オリンピックファミリー)も我が国の大衆も「五輪」を違法に使用し続けてきた。その違法状態を放置し続けたことは「異常と言っていいのか、到底法治国家とはいえない世界であったということができる」(動画より)。
その認識もなく性懲りも無く2030年冬季オリンピックの札幌開催招致活動が着々と行われている。札幌以外の立候補都市の地政学的条件を勘案すると札幌開催決定の可能性が高い。
法治国家たる認識に立つからこそ、「一億総懺悔」などとその違法の旗振りをした者(IOCファミリーおよび日本政府)までも一般大衆の一億に紛れて懺悔(傷を舐め合うばかりの無責任)を託つことなど許してはならず、その責任を明らかにすべく、IOC登録商標『五輪』無効審判(商標登録第6118624号)を提起した意義は大きい。
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