少なくとも私の周辺の人々の政治意識が「またも」反映されない衆議院議員選挙結果となった。<現実感>がないバーチャリティの臭いが芬々とする。(2017年10月23日ブログ記事から)
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前回と同じ所感を繰り返さざるを得ない。その上でさらに維新の全国的な躍進という懸念材料まで生まれた。コロナ禍を利用し緊急事態条項を憲法に創設する与党補完勢力の大躍進という意味である。
「社会不安、社会危機を解消するため、個人の自由を大きく制限することがあると、国会の場で決定していくことが重要だ(吉村洋文・大阪府知事会見 / 2021年4月23日)」
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" 「コントロールのない権力が、危機の常態化を理由として、内側から立憲主義をむしばんでいったり、立憲主義的な統制がやぶれていくということを過去の歴史上、繰り返してきた。」(2016年5月2日付弁護士ドットコムニュース記事から引用 / 石川健治東京大学教授(憲法学))"
「社会不安、社会危機を解消するため」。何を以って社会不安なのか社会危機なのか、それこそ法律に定めれば無限定になるその他の法律で定める緊急事態を含むからこそ、私権制限論から発する緊急事態条項創設(憲法)はその目的(「社会不安、社会危機を解消するため」)と手段が整合せず、その目的に隠された動機があると、我々は用心しなければならない。
その目的とは緊急事態条項を以って、司法国家から行政国家への、すなわち、「国家」「国家権力」が「個人」の生存する権利を縛るという大転回(革命)である。「国家が人の人格的生存を侵すのは国家の誤作動。国家が人権に対していくらでも条件をつけることができてしまう。(小林節慶大名誉教授)」
この誤作動は2011年大震災を境にして、「私がそう思えば法律」と憲法まで閣議決定で自在に政治解釈する安倍政権で繰り返されてきた。
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そして、コロナ禍を利用したこの大転回・国家の誤作動が欧米諸国で起きている。
mRNA/DNAワクチン接種に関連し公衆衛生への公的関与を理由に「他者の選択の自由を認めないこと」から始まり、他者の生存権すら奪っても然り(ワクチンパスポート ・グリーンカードがない者の社会生活からの差別・排除)とする国家権力の台頭である。これは裏返せば、司法国家であれば問われるべき「政治家の責任放棄」も極度の行政国家ではもはや問われることはないということだ。
今般の衆院選挙の結果で、欧米で吹き荒れる上述の大転回・国家の誤作動がわが国でも愈々懸念されることになった。
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今回の衆院選挙は安倍政権下で続いた立憲主義的な統制の破れに対する国民の審判の意義が大きいが、その結果は思わしくない(<現実感>がない)。立憲主義的な統制の破れはそもそも投開票プロセスにあるのではないか?投票用紙に始まって開票・集計作業全般<選挙システム>の公正性は国民の監視に付託すべきと考える。
投開票プロセスが公正であるのか?すでにこの段階で「法の支配と秩序」がやぶれているのではないか?と疑いを持つことは重要である。なぜなら、投票用紙に始まって開票・集計作業全般<選挙システム>の公正性は国民の監視に付託されていないからだ(公職選挙法第204条に規定の選挙の効力を問うことは可能だが「門前払い」が横行し実質形骸化している)。
その<選挙システム>、特に自動開票・集計システムについて我々は全くブラックボックスに置かれている。読み取り・仕分け・集計に用いるソフトウェアのソースコードは一行たりとて開示されていない。投票所の係員の誰一人としてそのシステムの詳細を説明することはできないだろう。このように「法の支配と秩序」が主体的にこのシステムの内側を照らすことはないのである。
選挙という民主主義を支えるシステムの根本が、一民間業者(選挙機材メーカ)にほぼ寡占され(委ねられ)、且つその業者の企業秘密(ブラックボックス)は国民の知る権利よりも勝る状態であれば、そもそも、「法の支配と秩序」があるのかと疑っても当然だろう。
平たく言えば、薬局で用いる計量秤が狂っていれば、下手をすれば投薬された人の命に関わる大ごとと同じで、だから用いる計器は計量法の下で、国際的に統一された計量基準と各種計量器の正確さを維持するためのトレーサビリティの維持が義務付けられている。同じことがこと<選挙システム>には義務付けられていないのである。
選挙結果云々で開票・集計作業の公正を疑うのは負け犬の遠吠え・陰謀論(不正論)、などではなく、結果がどうであろうと、民主主義を支えるシステムの根本についてその公正性は常に我々有権者自身が問うべきだろう。投じた一票は命と同じ重さだからだ。
(おわり)
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