2021年07月03日

マツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)- その12



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昨年から続くコロナ禍は車にも影響が及んでいる。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置でクリーンディーゼルが得意とする長距離巡航の機会が減った。街乗り中心の短距離走行を繰り返せば煤が溜まりやすくなる。そのせいで年初来DPF再生の頻度が高まった。DPF再生が不完全なままエンジンを切ることはDPF再生を頻出させることになるので、数十分の街乗りの煤払いに二速でエンジンに負荷をかけた走行を同じ時間強いられることも多くなった。DPF再生時には燃料を多く消費しその頻度も多くなれば、軽油の燃費の良さも相殺されてしまう。

来年も同様にコロナ禍が続くかもしれない。6ヶ月点検を終えて車の乗り換えを検討した。

一昔前の合言葉「いつかはクラウン」ではないが、シニア(自分)にふさわしく国産のミドルセダンに乗りたくなった。スバルB4やトヨタ・ヴェロッサ以来、久しぶりのセダン回帰となる。それらの車の乗り味には満足したものの燃費の悪さには全く閉口したから同じ思いはしたくない。

SUVやミニバンなど多目的車が流行りの今、四角四面のセダンは全く不人気で中古であれば値ごろに型落ちした国産車も見つかる。コンパクトカーにない静粛性や後席のゆとりは元来セダンの取り柄だから、あとは燃費の良さ(特に街乗りでの)が選択要件となる。

6ヶ月点検時にディーラーにマツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)の下取り価格を見積もらせたが、それよりも高い価格で下取りしてくれるディーラー直結の中古車販売店で物件を当たった。結果、最寄りの大型ショッピングセンターに併設されたホンダ直営中古車販売店でホンダ・アコードハイブリッド初期型(2015年登録・ワンオーナー・無事故車)を見つけた。

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ボディは全長、4,915mm;全幅 1.850mmと大きい。明るいシャンパンプラチナメタリックのボディだからか余計大きく見える(明らかにビッグセダン)。このサイズはトヨタのアルファードと同じだが、全高は約50cm程低いのでアルファード並みの威圧感はない。北米仕様のアコード(向こうではミドルセダン扱い)をベースに、EV走行、シリーズハイブリッド、エンジン直結の3モードを自動的に切り替えるスポーツハイブリッドi-MMDを搭載し、走行JC08モードで30km/L(レギュラーガソリン)を稼ぐという。爆発危険なリチウム電池を搭載していることもあって乗員共々衝突時のキャビン内の安全性にセダンの形状と大きさ(クラッシュゾーンの大きさ)が貢献しているのだろう。2013年度自動車アセスメントの 新・安全性能総合評価においてJNCAPファイブスター賞を受賞している。ライバルはクラウンではなくカムリのようである。

紹介動画:



実走行距離3万キロ程度で内外装共に良く、数十分程店舗の周辺を試乗したが、中速度(70km)までカバーするEV走行の出足の良さと静粛性および乗り味は全く新鮮だった。街乗りならばほぼEV走行が可能でバッテリーが足らなくなると逐次ハイブリッドモードに切り替わるもののエンジンが駆動していることは気付かない。アクセルを戻す瞬間に回生ブレーキが働き小まめにチャージする。大きな車だが左右の見切りは良く運転はし易い(但しハンドルの軽さは好みではない)。なお、最小回転半径は大きいので隘路や駐車スペースでの回頭・取り回しには注意が必要になるだろう。EVという上級クラスゆえ安全装備は全て備わっており、後席は人を乗せるためのコンフォー​タビリティを備えていることがバックミラー越しの家内の顔でわかった。開閉時のドアの重さに驚くが側面衝突時の安全性を配慮し大きなサイドドアビームが配置されているからだ。電動シートポジション機能はB4以来で助手席にまで備わり、空調までも運転席助手席で独立制御できる点は高級車であることを認識させる。運転席周りのレイアウトは同クラスのマツダ・アテンザ(Mazda 6)と比べるとケチも付けたくなるが、そもそもホンダはデザインの趣味性に拘っていないのでこれで良いのかもしれない。

マツダ・デミオ XD Touring (2WD/AT 2016年改良モデル)に十万円近く高い下取り価格を提示してくれたので、ホンダセダンi-MMDのフラッグシップだったこのアコードハイブリッドがいまどきの軽自動車の中古価格以下で手に入れる算段がついた。セダン人気の凋落が中古車価格に反映している。このアコード、安く買ったとしても次は下取り価格が付かないだろう。しかし、今に続くスポーツハイブリッドi-MMDの先駆けとなったフラッグシップモデルであり先進且つ独創的な発明の塊たるこの車に強く惹かれた。

内燃機関を捨てたEV車には航続可能距離の短さ(充電の頻度)という技術課題が未だ解決していない。リチウムバッテリーを多く積めば車体も大きくまた販売価格も高くなる。従って、今のところ普及価格帯のEV車は実質コミューター目的にしか使えない。長い距離を走ろうとすればチャージ残量を常に気にし道程で充電ポイントを探し回る。これではドライブも楽しくないだろう。

Honda eの問題点について:



街乗りでほぼEV走行を可能にする2モーターシステムのスポーツハイブリッドi-MMDは数多のハイブリッドシステムの中で基本は燃料電池(=EV走行・低中速域)でありながら高速域や上り坂ではモータと協働(パラレル)又はモータと切り離してガソリンエンジンと直結駆動のメリットを生かしている点、EVへの過渡期における一つの最適解なのではないだろうか?これはリチウムイオン電池にもっぱら依存するEVに対する一抹の不安への答えにもなっている。




(おわり)


posted by ihagee at 10:29|