2021年06月13日

「もちろん、あなたを支持する」など言っていない。



Cornwall, England, June 12 (Jiji Press)--U.S. President Joe Biden threw his support on Saturday behind Japan's plans to hold the Tokyo Olympic and Paralympic Games this summer as planned. At 10-minute talks with Biden on the sidelines of the three-day Group of Seven summit meeting in a seaside resort in Cornwall, southwestern England, Japanese Prime Minister Yoshihide Suga said his government plans to hold the Tokyo Games as scheduled after a one-year postponement caused by the novel coronavirus pandemic. Biden said, "Off course, I support you," according to Japanese officials. The two leaders met in person for the first time since they held a bilateral summit meeting in Washington in April. On the G-7 leaders' declaration to sum up their discussions at the summit, Suga said the leaders should issue a strong message in line with the results of the Japan-U.S. summit, adding that he hopes to work closely with Biden. (Jijicom English 2021年6月13日付記事引用)

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(外国メディアから "Off course"を指摘されいずれJijicom Englishは内容を更新するだろうから、元記事を魚拓した。)

英国コーンウォール 6月12日(時事通信)--ジョー・バイデン米大統領は12日、今夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を予定通り開催する日本の計画に支持を表明した。日本の菅義偉首相は、英国南西部コーンウォールの海辺のリゾート地で開催された3日間のG7首脳会議に合わせてバイデン氏と10分間話し合い、新型コロナウイルスの大流行により1年間延期された東京大会を予定通り開催することを明らかにした。日本政府関係者によると、バイデン氏は「外れているね??、あなたを支持します」と述べたとのこと。両首脳が直接会ったのは、4月にワシントンで二国間首脳会談を行って以来のことである。菅氏は、G7首脳がサミットでの議論を総括する宣言を行うことについて、「日米首脳会談の成果に沿った強いメッセージを出すべきだ」と述べ、バイデン氏と緊密に協力していきたいと述べた。(拙者翻訳)

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【コーンウォール時事】菅義偉首相は12日(日本時間同日)、英南西部コーンウォールの先進7カ国首脳会議(G7サミット)会場で、バイデン米大統領と断続的に計約10分間協議した。首相が東京五輪・パラリンピックを開催する考えを示したのに対し、バイデン氏は「もちろん、あなたを支持します(オフコース・アイ・サポート・ユー)」と伝えた。菅、バイデン両氏が直接会話を交わすのは4月にワシントンで行った首脳会談以来。首相はサミット首脳宣言の取りまとめに向け「先の首脳会談の成果を踏まえ力強いメッセージを発揮すべきであり、日米両首脳間で緊密に連携していきたい」と呼び掛け、バイデン氏は「完全に同じ立場であり、首相と共に議論をリードしていきたい」と応じた。中国の軍事的、経済的な影響力拡大に関し、首相は「自由で開かれたインド太平洋」構想と東南アジア諸国連合(ASEAN)の役割の重要性を強調。バイデン氏は「同感であり、日米が共同して取り組んでいきたい」と述べた。(時事通信社2021年6月13日記事引用)

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英語を日本語に置き換えると、日本語に付随するニュアンスにとかく捕らわれてしまう。

talk with は漠然と話し合うという意味だから、慎重に検討して結論を出す必要があるような場面では使わない。真面目に議論するのなら「協議(discuss)」だが、時事通信社の日本語での報道では元の talk with (話し合い)が「協議(discuss)」と置き換わっている。10分程度の話し合いを日本語でも「協議」とは言わないから明らかに時事通信社のミスリードである

threw his support on (〜に支持を表明した)については、慣用句が throw ones support behind (支持する側に回る)なので、この英文記事を書いた人はネイティブではないだろう。〈人が〉〈人・ものを〉〔体の一部で〕支えるの意味(例えば、support on the technical issues 「技術サポート」とか)でのsupport on を「〜の支持にまわる、〜の賛成にまわる」の意味の throw ones support behindと混同している。

この英文記事を書いた人はネイティブではないのは、"Off course, I support you," でも言える。Off course は「もちろん=Of course」の意味はない。"Off course, I support you," は日本政府関係者から伝わるバイデン氏の発言のようだが(元の英文記事では日本政府関係者からの伝聞であるのに、日本語の時事通信報ではそうなっていない)、そんな変な英語をバイデン氏が使う筈がない。“off course”=「進路から外れる・進行通りではない」だからだ。"Off course, I support you," はゆえに「外れているね??、あなたを支持します」と何を言っているのかわからなくなる。

"I support you," についても同様で、日本語では「あなたを支持します」となるが、英語での意味は何かにチャレンジしている相手に応援するニュアンスである。日本語で表現すれば「あなたを応援します」ということで、相手の立場を「支持」したことには必ずしもならない。"Thank you for your support." が「お世話になります」の意味だから、「応援・支援」の類である。明確に相手の立場を支持するのであれば、"I stand by you," と言う。この場合、相手の立場の側にまわって支持するのであれば、"I stand behind you," と言うだろう。

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「東京オリンピック・パラリンピックでありますけれども、今年の夏、人類がコロナとの戦いに打ち勝った証として、安全・安心の大会を実現したい、そうしたことを私から発言いたしまして、G7首脳全員の支持を得ることができました。大変心強い、このように思っています。」(2021年2月19日付「G7首脳テレビ会議についての会見」ら抜粋引用・首相官邸HPより)について、拙稿「G7ステートメントの牽強付会(日本)」で述べたと同様、英文から読み取れないニュアンスを日本語に含ませて、開催するという日本の立場をバイデン氏が支持したかの時事通信の報道は正しくない(国内メディアがこぞって時事通信報を引用しているが)。

(おわり)

posted by ihagee at 13:02| 東京オリンピック