2021年06月09日

COVID-19 ワクチン接種への異論 - 続き2



新型コロナウイルス感染対策は言うまでもなく、集団の健康の分析に基づく地域全体の健康への脅威を扱う「公衆衛生」上の対策である。本来であれば個人水準の臨床試験・疫学研究から得られたエビデンス(医学的証拠)に基づいて公衆衛生的介入が行われるべきところ、公衆衛生的介入それ自体が「遺伝子ワクチン」の実質臨床試験という逆順が罷り通っている。意思を排した強制に近い接種であればそれは人体実験(犯罪)となる(医療従事者への接種は半ば強制ではないか?)

拙稿:COVID-19 ワクチン接種への異論 から

----

集団接種の動きが加速している。学内接種(慶應大学)、職場接種(経団連加盟1500社企業)等々。

" 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は8日の理事会後の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチン接種の対象について約7万人の大会ボランティア、国内メディアを含めての拡大を検討していることを明らかにした。ただし、追加のワクチンや打ち手となる医療従事者の確保も必要なことから「接種の体制が取れるかどうか、どこまで対象にするかは検討段階」と述べるにとどめた。国際オリンピック委員会(IOC)は米製薬大手ファイザーの協力を得て、日本向けに選手団のほか、審判や通訳ら国内の大会関係者ら計約2万人分のワクチンを無償提供する方針。しかし、ボランティアは選手と接触する可能性のある誘導役など一部に限られ、感染への不安などから約1万人が辞退する事態となり、大きな課題だった。武藤氏は「(ファイザーの)特別枠をさらに増やしてもらう交渉を今やっているが、可能性は十分あると考えている」と語った。大会関係者によると、21日から始まる職域接種や、既に開始された大規模接種会場の活用案も浮上している。丸川珠代五輪担当相も8日の参院文教科学委員会でボランティア全員へのワクチン接種について「その方向で進んでいきましょうということで合意している」と述べた。" (毎日新聞 2021年6月8日付記事引用)

----

ボランティア7万人全員のワクチン接種。「全員」はワクチン提供枠(接種対象枠)なのだろうが、事実上接種しなければボランティアとして参加できないことになるのだろう。つまり接種が必須要件となっていると言って良い。

ボランティア全員へのワクチン接種について「その方向で進んでいきましょう」と、枠から要件化への流れは、接種を躊躇する・拒否する人々を一括りにして<ネガティブな>レッテル貼りを行う報道に繋がりつつある。

----

" 「世の中は狂ってる」ある看護師が“反ワクチン”の陰謀論に染まるまで "というBuzzFeed Japanの記事は、「打たない」という自由意志に対して、一括りに「陰謀論、左派、反政府、トランプ支持者」といったレッテルを被せる悪質なステマ記事である。事情(身体的事情含む)や考えがあってワクチン接種を希望しない人たちまでも一括りにして「陰謀論者」とネガなレッテルを貼って社会にその人たちへの白眼視をそそのかし、ワクチン接種に乗り遅れてはならないと嗾けるバンドワゴンは頂けない。

関連記事:テレビCM(国民投票法改正案)なるバンドワゴン

----

Pfizer-BioNTech コロナウイルス ワクチン:
米などでの臨床試験(健康な個人における COVID-19 に対する RNA ワクチン候補の安全性、忍容性、免疫原性、および有効性を説明するための研究)
試験主体者:BioNTech SE(Pfizer協力)
参加者:43998人
開始日:2020年4月29日
推定研究完了日:2023 年 5月 2 日
ClinicalTrials.gov

Moderna コロナウイルス ワクチン:
米国内での臨床試験(COVID-19 を予防するための 18 歳以上の成人における mRNA-1273 ワクチンの有効性、安全性、免疫原性を評価するための研究)
試験主体者:ModernaTX, Inc.
参加者: 30420人
開始日:2020年7月27日
推定研究完了日:2022 年 10月 27 日
(ClinicalTrials.gov)

----

「特にワクチンは効果があると思っていることと、自分が予防接種を受けることで他者も守るという思いがあることは他の要因よりも強い関連性が有り、予防接種を受けるかどうか判断する上で重要な要素になっていることが明らかになりました。」(東京医科大学 website

「思い」を接種の判断要素としている。しかし、上述の通り、BioNTech SE(Pfizer協力)およびModernaTX, Inc.からの治験結果報告待ち(治験期間中)のワクチンについて未だエビデンス(医学的証拠)が揃っていない状況では科学的判断要素がない。少なくとも科学に従事する立場であれば「思い」などという主観的・心理的要素を「予防接種を受けるかどうか判断する上で重要な要素」などと持ち出すべきではなかろう。

科学的知見が揃わなければ少なくとも安全とは言えないし、新型コロナウイルスのワクチン接種により、副反応などで死亡した場合、国の予防接種健康被害救済制度で一時金4420万円が支払われるとしても、接種と死亡との因果関係は科学的知見が揃わなければ所詮「評価不能」だから補償される可能性は極めて低い。ゆえに不安が募るばかりである。(拙稿:安全は科学・安心は補償

----

ワクチン開発製造側が未だ治験期間中で、未だエビデンス(医学的証拠)が揃わない状況を鑑み、「(当面)接種をしない」とする個人の確たる意思があることも客観的に尊重すべきだ。集団接種なる大規模な公衆衛生的介入それ自体が「遺伝子ワクチン」の実質臨床試験となっていること=未だエビデンス(医学的証拠)が揃わない状況、自体がまさに「予防接種を受けるかどうか判断する上で重要な要素になっている」と言うべきである。

個の意思を排した同調圧力はコロナ感染以上に危険な風潮である。

(おわり)

追記:
忘れてはならないこと:
@「遺伝子ワクチン(Pfizer-BioNTech, Moderna)」は緊急時に承認審査を大幅に短縮できる医薬品医療機器等法第14 条の3に基づく「特例承認」を与えたものゆえ、事後の継続的な検証が必要であること(今もって、有効性と安全性が通常の「承認」を以って担保されていないこと、以下Dに関連)。
A 「遺伝子ワクチン(Pfizer-BioNTech, Moderna)」は米などで第V相試験(検証的試験)を実施中であること(治験中)。
B 臨床試験と製造販売後調査にて安全性と有効性に関する情報をPfizerおよびModerna社は目下収集中であること。
C 「今回の新型コロナワクチンの接種は、緊急の蔓延予防のために実施するものであり、原則としては、接種勧奨と努力義務に係る規定は適用することとした上で、必要に応じて、例外的にこれらの規定を適用しないことを可能としております。これは、ワクチンが現時点では開発中の段階であり、評価が確定できないことや、実使用実績が乏しい中で接種を実施することも想定されることから、安全性や有効性等についての情報量に制約が生じる可能性があるため、例外を設けたものです。接種の実施や勧奨、努力義務の適用は、リスクを上回る十分な効果があることが前提となることから、ワクチンの安全性や有効性等についてのデータの収集、分析を行うとともに、専門家による評価等を踏まえ、必要な対策を講じてまいります。」(第203回国会衆議院本会議(2020年11月10日)における厚生労働大臣答弁)

再追記:

(木下黄太氏「コロナ時代であからさまになる放射能回避側の劣化について」)
----
原発事故発生直後にフェイスブックに開設した同氏の「問題を考える」スレッドには当時、啓発される内容があった。「必要なものだ。だから安全(に決まっている)」は政治・行政やムラ社会が振りまく神話であることは「原発神話」がその過酷事故によって一挙に崩壊したことで我々は知っている。信仰と無思考がいかに罪であるかを知った。木下氏もそのことはわかっているだろう。「必要なものだ。だから安全(に決まっている)」なる信仰にも近い無思考性への反問と反省を「遺伝子ワクチン」についてはなぜ行わないのか?逆に聞きたい。未だエビデンス(医学的証拠)がない(乏しい)現状で(特に中長期に亘る検証は当然ながら無い)、ワクチン接種を躊躇う人々を、自己肯定のためなら陰謀論も含め否定的情報を探し回っている人々と一括りに「人として終わっている(木下氏弁)」などは過ぎた非難であり、頭から「遺伝子ワクチン」を否定し接種を拒む人たちと(木下氏の言う陰謀論に与する人々)と、エビデンス(医学的証拠)がない(乏しい)現状でワクチン接種を躊躇う人々をあたかもいっしょくたに扱うのは雑な議論である。陰謀論者だけを特定し非難すれば良い。
----
接種して死亡する確率がたとえ数十万人に一人であっても、その一人にとっての確率は100%である。その一人が接種をするかしないか自分の意思で決めることも社会が同調圧力を以って「人として終わっている(木下氏弁)」と否定するのであればこれは不条理に他ならない。
----
努力義務を伴う予防接種(結核などA類疾病に係るワクチンについては本人(保護者)に接種の努力義務がある)に用いるワクチンは第V相試験(検証的試験)まで完了し通常の「承認」を以って安全性と効果が科学的に担保されている。ゆえにその義務に従うのは重篤な疾患の予防に寄与することである。しかし、医薬品医療機器等法第14 条の3に基づく「特例承認」を受けた「遺伝子ワクチン」接種は、それと並べて論じることができない例外・特例事項が存在するからこそ例外的にこれらの規定を適用しない(上述D)と厚生労働大臣自身が述べているのである。ゆえに接種は努力義務があっても任意(本人または保護者の意思)であって強制ではない。意思を排した強制に近い接種であってはならない。この点をネグレクトしてはだめだろう。
----
「コロナ時代であからさまになる放射能回避側の劣化について」なるタイトルからしてそうだが、木下氏の口から繰り出す言葉は扇情的且つわかりづらい。原発や原子爆弾、放射能まで挙げて、なぜそれらがコロナやワクチンと絡むのか、なぜそういう話の展開になるのか?グチャグチャとして全く論旨が整理されていない。論理があるのであれば口先ではなく文章で示すべきではないのか?


posted by ihagee at 03:22| 日記