2021年06月13日

オリンピックライセンス基礎の基礎編



三木義一・青山学院大前学長(東京新聞「本音のコラム」でも活躍中)主催の「庶民大学TV Japan(YouTube)」の「オリンピックライセンス基礎の基礎編ym」と題する以下の動画を紹介したい。「IOCファミリーによるオリンピック商標の違法ライセンス問題を考える」を著した弁理士 柴大介氏がゲストとして参加し同書籍で取り上げている諸問題を商標法の観点から三木氏相手にとてもわかりやすく解説している。

誰もが親しんで使っていた日本語である「五輪」をIOCが突然商標登録しその権利を専有したことについては、大手紙を中心にメディアでも取り上げられ、日本語文字文化をその文化圏にないIOCが奪い取ったことに対して 商標に詳しくない一般の人々までも "強烈な違和感" を抱いた社会事件であった(拙稿:商標「五輪」はIOCのもの?(思考停止した特許庁))。同動画では続編に亘ってこの点についても解説予定とのこと。関心のある方は視聴をお勧めしたい。



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(おわり)

追記(私見):
コロナ禍で開催是非は医療資源にばかり語られているが、上掲の書籍に綴られているように商業主義オリンピックの主柱たるオリンピック関連商標とそれに基づくライセンス契約に違法性(商標法)があることは世間では全く知られていない。東京大会は開催要件に法律上の重大な瑕疵がありそもそも開催できなかったということでもある。たとえ開催したとしても違法なライセンス契約およびライセンス活動は帳消になるわけでもない。コロナに打ち勝った証どころか、商標法という思わぬ伏兵にコロナ以前にIOCファミリーは寝首を掻かれていたわけだが、それにもかかわらず開催するということは商標制度の破壊(信用秩序の崩壊)を招くことである。上掲の続編動画にその辺りの解説を期待したい。
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商標の上に化体した「業務上の信用」を保護し、需要者が商品や役務を混同することを防止することが商標制度。商標とは会社の製品やサービスに化体した信用の標示であり、他人にやたらとその商標を使わせ使用料を取るようなことは普通しない(使わせるとしても実質的に支配関係にある子会社や代理店迄)。すなわち、商標の「業務上の信用」が顧客吸引力となって製品やサービスを会社は売って利益にするのであって、ライセンス(使用許諾)そのものをビジネスとはしない。ゆえに商標=信用の標示を、使用料目当てに安易に他人に使わせたりはしないのである(使われ方によっては信用に傷が付く虞がある)。喩えれば、実印を他人に貸し出して使用料を取るようなことをしないのと同じ。ところが、オリンピック関連商標については、IOCファミリー(IOC, JOC, 大会組織委員会)は実質的支配関係にない不特定多数の他人=企業に商標(権利)を使わせ使用料(ライセンス料)や協賛金を取ることが目的化している(使用許諾)。IOCファミリーはいずれも公益財団法人ゆえ、その公益目的事業は税制上の様々な優遇を受け、さらに多額の税金が投入されている。その納付者たる都民・国民がオリンピックを応援しようとオリンピック関連商標を使おうものなら(商店街でオリンピックエンブレムを掲げてセールスをする等)、IOCファミリーは商標権を侵害するとして対抗措置を講ずることも辞さない(アンブッシュ=マーケティング対策)。スポンサー企業には商標権侵害を実質黙認し(後述)、それ以外の一般市民には商標権侵害を殊更にIOCファミリーは言い立てるのである。
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たとえ改正商標法(商31条)でその公益著名商標(=オリンピック関連商標)について通常使用権許諾が可能となっても使用権料を事業の目的化(目当て)としたり剰余金をIOCファミリーの間で分け合ったりすることは商標(特に公益著名商標)の元々の制度趣旨に照らせば問題であろう。また、商標法改正前に登録された公益著名商標(=全てのオリンピック関連商標)には改正商標法(商31条)が遡及して適用されず、それらを客体とする使用許諾はたとえ自由契約(禁止権不行使型契約・非係争型契約・侵害黙認契約)であっても、許諾自体は依然商標法上、違法である(合法化できない)問題も存在する(=違法ライセンス問題)。

関連記事:違法ライセンス問題こそ「アルマゲドン」


posted by ihagee at 07:41| 東京オリンピック