オリンピック開催是非論に於いて伝統的な左派対右派ではない新たな対立軸が鮮明になりつつある。
東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める署名を立ち上げました。新型コロナの感染拡大を鑑み、人々の命や暮らしを危険にさらしてまで開催を強行するべきでなく、一刻も早く開催中止を判断・要請するようIOCとIPC、国、都、組織委に求めます。ぜひご署名ください。https://t.co/04MhLC10rG
— 宇都宮けんじ (@utsunomiyakenji) May 5, 2021
今日を生き延びる人々の切なる願いと、明日も明後日もお金がありすぎてその使い道に困っているような人々(麻痺した金銭感覚のIOCファミリー)の唱えるあっけらかんとした自己正当性との間の恐るべきアンバランスであろう。
IOCはオリンピックの商業主義(カネ儲け)を正当化するために「オリンピズム」なる高尚な理念を掲げているが、その正当化のための手段が今日を生き延びる人々の糧(命や暮らし)をも食い潰す構図がコロナ禍で鮮明になった。貴重な医療資源までも優先的に我が物にすることは「よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重(オリンピズム)」に明らかに背くことである。
「明日の夢とか希望」がたとえ今日のことにならなくとも、そう言っている間に都民・国民の税金をこっそり収奪するエスタブリッシュメントが政治・経済の支配層に存在することも我々一般市民は認識した(拙稿:jam tomorrow / 決して起こらない良いこと)。
コロナとオリンピックの意図せぬ交叉反応によって、政治・経済で特権的な立場にある支配層が社会性の観点での目的意識を失っていることも露呈した。そんな人々がこの社会に存在する意義は(資本主義だろうと共産主義だろうとどんな社会にも支配層は存在するが)、その属する社会が危難にある時に人々の暮らしや命にいかにその立場で貢献するかで問われているにも関わらず、やっていることと言えば聖火リレーを先導するデコ車での宣伝活動であったり、コロナ禍のどさくさに乗じ火事場泥棒的に国会で採決した国民投票法改正案(憲法改正発議手段)であったりと自己目的化したことしかしない。危難に背を向け、人々の命や暮らしを危険にさらしてまでもカネ儲けや党利党略の自己目的に執着している。
左とか右の旧態然とした政治的イデオロギーの対立を煽り民意の分断・国民同士の反目(差別)を図ってきたその支配層の側の自民党にとって「左とか右ではない国民の示威活動」ほど怖いものはない。良識を失った支配層への国民の広範な良識(健全な判断力)の示威ゆえ、使い古されたイデオロギーの対立軸(たとえば、宇都宮けんじ氏=左だから)ではその分断を図ることはできない。
その怖さが現実のものとなるよう、オリンピックは開催中止に追い込み、さらに来たる国政選挙で良識を涵養するのは我々一人一人の知性であることを鮮明に示さなくてはならない。
(おわり)
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