【ジュネーブ共同】国際オリンピック委員会(IOC)は10日、新型コロナウイルスの影響で今夏に1年延期となった東京五輪や五輪改革が主要テーマとなる3日間の総会の審議を開始し、バッハ会長は冒頭のあいさつで「現時点で東京五輪の開会式が7月23日に行われることを疑う理由はない。五輪が開催されるかではなく、どう開催するかが問題だ」と述べた。(共同通信 2021年3月10日付記事から引用)
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IOCの契約上の立場は「開催」。「開催」するために組織も会長も存在している。IOCの実質エージェントでもある東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会も同様。したがって、「現時点で東京五輪の開会式が7月23日に行われることを疑う理由はない。」は当然の挨拶だろう。IOCにとって開催は既定路線である。
IOC側の事情や要因で開催が中止されることはない。開催中止は、開催都市契約上、契約の相手方の事情や要因に拠る。そのような事情や要因をIOCが相手に代わって斟酌することはない。唯一斟酌するとすればWHOからのアドバイスだろうが、WHOはその立場にないかの素振りである。
中止判断は開催都市ではなくIOCの専権事項だから、開催都市が開催不能な事情や要因を明らかにしない限りはIOCは中止を決めることは一切ない。開催都市がそれらを明らかにする場合とは即ち、開催権返上を前提とするしかない。
開催権返上、即ち、契約当事者の一方からの開催都市契約および付帯契約の不履行には当然ペナルティが課されるが、現下の世界規模の事情・要因(コロナウイルス)からすれば国際世論は開催権を返上する側に付くだろう。開催都市にとってその選択は決して不利にはならない。むしろ、WHOからアドバイスがない限り立場を変えることができないIOCにとっては、頑なに開催を主張し続けるしかないというジレンマに陥っている。
IOCは開催中止を決めない。裏返せば、WHOなり開催都市(および実質介入している日本政府)が決めよ、と暗にIOCは言っていると取るは穿ち過ぎだろうか?
当事者同士の責任のなすり合いが結果として開催するしかない、という方向に進んでいる。そのお鉢(特に感染拡大)は開催の道連れにされる日本国民に回ってくると覚悟しなければならない。我々こそ、とんだトバッチリである。それほどにまで他人事に思えるオリンピックとは存在の意義があるのだろうか?
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(おわり)
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