昭和11年(1936)製乾板用ハンザ特許引き伸ばし機はM31スクリューマウント(ライカマウント)のAnastigmat F=125を木製のレンズボードを介して使っている。予備にもう一組レンズボードがあるので、通常のM42レンズを装着可能に改造してみた。

(レンズボード:左=M42用に改造したもの、右=M31、オリジナル)

元来、手札判サイズ(8×10.5cm)の乾板用の引き伸ばし機だが、120フィルム(6x6)用のFujinar-E75mmF4.5でも4" x 5"の乾板まで引き伸ばしに使える(5" x 7"も可能だが全体をプリントすることはできない)。戦前のAnastigmat よりも設計が新しくレンズ自体の造りも状態も良いのでシャープな像を得ることができる。数枚プリントを行った(印画紙はいずれもCotman Water Colour Paper (B5/ Smooth) )。
(1900年頃の5" x 7"乾板でのプリント過程と作例)
通常、五〜八時間程度かかる焼き付けが上掲の場合は二時間で済み、ジャスミン茶でトーニングを行ってほぼ理想通りのプリントが作成できた。5" x 7"ゆえ、全体をプリントすることはできないがポートレイトならバストアップで済む。
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(東京:1920年頃の4" x 5"乾板でのプリント作例)
(長野:1920年頃の手札判サイズ乾板でのプリント作例)
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乾板ではなくガラスのキャリアを使ってフィルムも試した。
(国営武蔵丘陵森林公園:Voigtländer Superb(前期型)で撮影した 120フィルム(Kodak Tri-X 400)を使う)
(1930年頃Vermont metal milk jugs:1 3/4" x 2 1/2" フィルム)
レンズを交換しただけだが、プリントの階調や鮮明さが増したように感じられる。黒みが増すなどトーニングにも良い結果をもたらしているようだ。
(おわり)
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