銀塩プリントの代替手段としてサイアノタイプの可能性を本稿ではテーマとしている。
アナログのデータソース(アナログフィルム・乾板)に記録されている情報をそのまま紙に焼き付けること、一般的なコンタクトプリントでは難しい階調や細部の表現にチャレンジすること、その過程はシンプルで且つ費用がかからないこと、そして過去の資源(フィルムなど記録媒体・引き伸ばし機など暗室用品)を再利用できることに理があると勝手に思っている。
感光剤を紙に塗布する段階でいくつか工夫を施すことでプリントに深みと奥行きを与えることができるということも次第に判ってきた。
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前回に引き続き由来のある写真乾板(4x5インチ)でプリントを行った。
カンザス・ジャクソンシティーを本拠に活動した写真家 Joseph J. Pennell (1866-1923)の乾板である。1891年から没年の1923年迄に撮影された約30,000枚の写真乾板はカンザス大学に遺贈されているが、この一枚は個人の蒐集家が売りに出した一枚を私が購入したものである。
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昭和11年(1936)製乾板用ハンザ特許引き伸ばし機(Anastigmat F=125, 1:6.3)の手札判サイズ(8×10.5cm)原板枠を使わず、直接枠穴に乾板を差し込んでバストアップのプリントを作製した。
(Cotman Water Colour Paper (B5/ Smooth)に約五時間露光しジャスミン茶でトーニング)
(モーフィング:写真乾板→プリント)
写真乾板はフィルムよりも俄然平面性に優れ銀の含有量も多いので、本稿の引き伸ばし機でのプリントに好適である。
さらにサイアノタイプ 液剤(Potassium Ferricyanide & Ferric Ammonium Citrate)を豆乳(無調整)で希釈し紙に塗布したプリント例:
タンパク質(豆乳)が紙の繊維に絡んでプリントに深みを与える(繊細さは損なわれるが)。
(おわり)
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