2020年10月16日

テープ録音(その3)


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ビデオ工房トパーズ 記事引用)

ヤフオクで入手した(800円)NATIONALのRQ-402(1968年製造のSolid State)を使って古い音源(3号テープ)を幾つか再生・デジタル化し以下の記事に用いた。

テープ録音(その1)
テープ録音(その2)
東海道新幹線・1966年/音声付
雨月物語・浅茅が宿

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雨月物語・浅茅が宿」に続けて、手持ちの国語研究の音源を記事にしようとしたところ、テープレコーダーの具合が悪い。再生スピードが不安定で到底聴くに耐えない事態となり、さっそく開腹し状況を確認することにした。

先ずエアダスターで腹の中に溜まった永年の埃を吹き飛ばし、点検すると駆動系のゴムベルト(3本)はどれも経年劣化で伸びきっている。おそらく、硬くなった部分が数十年ぶりにテンションがかかって伸びてしまったのだろう。純正のベルトは入手できるわけがなく、熱溶着型のバンコード(ポリウレタン)で自製しようとアマゾンを物色すると「オーディオ 機器 ゴムベルト Oリング セット」が目に入った。

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修理/交換用ゴムベルトで複数サイズのセット商品である。断面は正方で厚みは1mm(1mm×1mm)、直径25mmから約10mmステップで最大直径120mmまで各サイズ2本づつ入っている。伸びたベルトは断面が円で厚みは1.6mmと大分形状が異なるが使えそうだと早速注文した(399円)。届いたゴムベルトと伸びたベルトとを比較して直径が小さいものを使うことにする(伸び代とテンションを加味して)。

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ベルトを交換する為に基板を筐体から外し、プーリーやフライホイールの軸受などに付着していた古いグリスを除去し新たなグリスアップは模型用のセラグリスHG(タミヤ製)を使った。黄色が定番のグリスも昨今ではケミカルの進歩で灰色がかっている。
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モータの軸部に若干注油し、ゴムベルトを取り替えた。劣化が間違いないコンデンサー(500μF 12wv)は本来なら交換すべきところだが、代替のケミコンが入手可能かわからないので今回はパス。

基板を元に戻し開腹したままテープをかけてみるが、再生スピードの不安定さは依然解消されていない。さてはコンデンサーかと諦めかけたが、フライホイールと電磁リレーを疑ってみた。

前者はグリスを交換する際にビス留めされていた軸受を外している。
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組み直した後、軸心が僅かにずれており、後者はリレーの可動接点と固定接点との接触が不安定となっていた(可動接点が仰勢気味になっていた)。
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軸心の位置を変え、可動接点に俯勢を与えることで、再生スピードがほぼ正常になった。
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(百均の紙シールを重ねて可動接点を俯勢する)

ついでに、制振目的で手元にあった軟質スポンジを適宜貼り込み、元どおりネジで縫合し開腹手術を完了。

それら措置をした後の動作状況(動画):


(最初の動画は再生モード、二番目の動画は巻き戻しモード・若干ノイズが乗るが巻き戻しなので良しとする)

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800円のレコーダにかかったゴム代(399円)が無駄にならずに済んだなどと、我ながら貧乏人根性に呆れるが、一寸前まで息絶え絶えだったレコーダがぷつりと呟いた。「尾羽うち枯れてもNATIONALぞ、ダメ元などと思うなかれ」

(おわり)

追記:ゴムベルトの細さはテープ走行中に振動音となる。デジタル化にあたってノイズ処理をしなければ耳に障るかもしれない。
再追記:振動音源はゴムベルトに非らず電磁リレーの微振動と判明。可動接点の付け根を軟質スポンジで押さえて振動は解消した。


posted by ihagee at 17:18| 古写真・映像