2020年09月15日

東海道新幹線・1966年



古映像の続き(Kodak Ektachrome Super 8フィルム / 訪日外国人が撮影したと思われるが、撮影者氏名不明のオーファンワーク)。200 ftのフィルムをWolverine MovieMaker Proとliquivid Video Improveでデジタル化した(それら機材とソフトについては本ブログ「8mmフィルム」カテゴリーに記載)。



NHKの童謡に歌われたこの0系新幹線で子どもの頃一人名古屋と東京を何度も往復した。東京駅で祖母に「またおいで」と見送られ、大名古屋ビルヂングの丸帽子が見えて間もなく、プラットフォームに手を振って迎える母を見つけたものだった。このフィルムとほぼ同じ頃の話である。

あの頃、新幹線の中はミシン油にタバコが混ざったような独特の臭いがした。大宮の鉄道博物館に展示している0系にも残っている。否、国鉄時代の車両はどれも機械の臭いがしたように思う。遠い時代の趣に感じるゆえに「匂い」と表現するのが正しいのかもしれない。添い寝してくれた母の匂いは今も記憶するが、それと同じ郷愁なのだろう。

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車掌室(最後部乗務員室)の風防越しに飛び去る景色が撮られている。保安上、一般人が運行中の乗務員室に入るなど今は許されないが、当時は寛容だったのだろう。時速250kmを訪日外国人を介して世界にアピールしたかったのかもしれない。東京駅を出て同駅に戻るフィルム構成は、世界最速の鉄道を撮るためだけに乗ったことを示しているようで興味深い。

(おわり)



posted by ihagee at 18:37| 古写真・映像