
(Wolverine MovieMaker Pro)
Wolverine MovieMaker Proの続き。
この一ヶ月で何本かレギュラーとスーパーの8mmをデジタル化した。本体で色々設定が可能だが、まずは初期設定(ホワイトバランスと露出は0=オート、シャープネスや色味も変えず)で様子を見た。
結果は思わしくない。特に明るい背景(たとえば空)と暗い背景(山)が連続する部分では明暗のちらつきが激しい。また、映像を拡大するとディザリングで輪郭が極端にぼやけて見える。後処理でソフトウェア的に補正をしてみたが改善されなかった。 Wolverine MovieMaker ProはデータをMPEG-4 (MP4)で書き出すが、 MPEG-4 (MP4)にしては芳しくない画質である。
さらに一つ困ったことに気付いた。Wolverine MovieMaker Proのイメージセンサーは、3.53 Mega pixels (2304H x 1536V) 1/3" のCMOS 、つまり2:3(V:H)のアスペクト比となる。対するフィルムのフレーム内のアスペクト比(スクリーン縦横比)はレギュラー8で1:1.33、スーパー8で1:1.36。つまり、CMOSとフィルムのアスペクト比が同じではない。
Wolverine MovieMaker Proのフレーム調整の初期設定ではフレームは拡大してスキャンするモードとなっており(W:13前後)、その状態でスキャンを行なえばCMOS自体のアスペクト比でフレームの横方向が一部トリミングされることになる。フィルムに記録された情報を一部ではあるがデジタル変換できないということでもある。
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そこで、フレームを「縮小」調整し(W:0)フィルムのフレームを丸ごとスキャンすることにした。この場合、フレームの外側、つまり、縦方向では前後のフレームの一部、横方向ではパーフォレーションまでスキャンすることになる。この状態で何本かレギュラーとスーパーの8mmをデジタル化した。驚くべきことに、上述のちらつきはほぼ解消され、画質も大幅に改善された。パーフォレーション部分はWolverine MovieMaker Proの光源からの光が透過するので、ホワイトバランスと露出設定をオートにした状態では常に一定の閾値がイメージセンサーに働くことになる。これが幸いしたのかもしれない。
フレームの外側までスキャンしたので、ソフトウェアでトリミングする必要がある(後処理)。liquivid Video Improveなるソフトウェアをアップルストアから購入した。
iMovieを普段ビデオ編集に使っているが、トリミングの自由度が乏しく、シャープネスの機能がない上にやたらとCPUとメモリーを消費するので(処理時間も長い)、もっと使い勝手の良いソフトウェアはないものかと探した結果がliquivid Video Improveである。
liquivid Video Improveはアップルストア上でレビュー評価がないが非常に使いやすい。iMovieと比較すれば動画の演出機能(トランジットや字幕など)は欠けるものの、映像自体に係る品質改善機能は一通り揃っており、トリミング(クロップ)は任意の比率で行える。また、レベル調整は映像全体を解析し(任意の範囲の解析も可能)自動的に最適値を導き出してくれる。シャープネスの強さは3程度で十分輪郭を引き締める効果がある。
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比較動画(左:初期設定のままスキャン / 右:フレームを「縮小」調整(W:0)、liquivid Video Improveで後処理を施したもの:
この8mmフィルムは1977年に父が母と共に北海道(札幌・函館)を旅行した際に撮影したもの(レギュラー8)。
1970年代前半迄のフィルム(レギュラー8)はフィルムベースの経年劣化が程度の差こそあれ一様にあり防湿庫から出した瞬間に酢酸臭が漂う。フィルムベースが柔軟性を失っているので、Wolverine MovieMaker Proのテイクアップリールで巻き取りながらスキャンするのはお勧めしない(巻き取らずに自由落下させた方が良い・先の記事参照)。

テイクアップリールのテンション(張力=かなり強い)でスプライシングした箇所が破断する可能性がある。スプライシングについては、ヘンケルの瞬間接着剤をセメント代わりに使用できるなどと先の記事で述べた。しかし、この方法ではアセテートベースのフィルムの接合は不完全であり、事実、テイクアップリールで巻き取りながらスキャンすると悉く破断した。スプライシングで破断しなかったのは父が専用のセメントで丁寧に繋いだ箇所のみで、フィルム専用のセメントがないと無理だと気づかされた。
残念ながらもうそのようなセメントは一般に販売されておらず、やむなく、eBayを介して英国のセラーにKodakのデッドストックを注文した。さらに、歪みや劣化が起きないメタル製のリール(長尺400ft用)を蓋つきのキャニスターと共にeBayから入手し、劣化の激しい1950〜1960年代のフィルム収納に用いることにした。半世紀以上前の米国製メタルリールは頑丈で作りも良い。Wolverine MovieMaker Proのサプライとテイクアップに使った。経年劣化で撓んだプラスチックのものに比べると、安定してフィルムを搬送することも判った。

1970年代の終わりから父はスーパー8を使い始めた。フィルムベースはレギュラー8と同じアセテートだが経年劣化は少なくテイクアップリールで巻き取りながらスキャンが可能であることも判った。
(おわり)
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