
(Wolverine MovieMaker Pro)
Wolverine MovieMaker Proの続き。何本かデジタル化して気づいた点を述べたい。
半世紀以上前の8mmフィルムを優先に同機でデジタル化を図る。経年劣化で変形したフィルムを閊えずに送るにはテイクアップリールで巻き取るよりも自由落下させた方が良い。

この自由落下はまさにフィルムを「自由」に落下させること。落ちた状態はすなわち拾う状態ゆえ、落下したフィルムを下手にいじると、後で巻き取る際に絡み合って大変なことになる。なお、巻き取りは8mm編集機(手回し)を使う。フィルムは経年で曲がり癖が付いているので自由落下させる際、Wolverine MovieMaker Proのテイクアップ側のピンチローラから捩れて浮き上がり結果外れ易い。そこで、ピンチローラにメタルクリップで腕を付けてフィルムに捩れの遊びを持たせた。

1958年の最も古いフィルムを収容していたリールはプラスチック製だった。プラスチックのリールはこの当時から普及していたのだろう。しかしフィルム同様劣化変形しておりWolverine MovieMaker Proのサプライリールとするとフィルムを円滑に送り出すことができない。
海外出張した際に撮影したフィルムを父は大切に保管していたのだろう、そのリールだけはメタルリールだった(Canon Auto Reel Made in Japan)。このリールは大変精巧な作りで変形一つない。重心バランスが良いのか絶妙なタイミングでフィルムをソロリと送り出すのでプラスチックリールの場合のよう手を添えてフィルムを余分に繰り出しておく必要がなく円滑にフィルムを送り出してくれた。リールの重さが幸いしてはずみ車効果(慣性モーメント)が働いている。

このメタルリールは7号 (18cm)。父が残したフィルムの長尺フィルムは全てこの範囲内ゆえサプライリールとして拝借することにした。巻きついていたフィルムは空いたプラスチックリールに巻き取り、一連のデジタル処理が終わったらまたこのリールに戻す予定である。
さて、フィルムは先の記事で述べたように、デジタル化作業を行う前に手回しのフィルム編集機(富士フィルム製)でまき直しと清掃を行う(その際に上述のメタルリールに巻き取る)。半世紀以上前のフィルムの編集接合箇所はフィルム同様劣化しており、この作業過程でフィルムが係る箇所で切れることがある。切れ端同士、パーフォレーションの位置を合わせて正確に接合するには専用のスプライサーが必要となる。マイネッテ製セメントスプライサーは父が断捨離の際に捨ててしまったので(父はセメントを信頼しテープは使わなかった)ヤフオクで程度の良いものを探すことにした。簡易接合のテープ式スプライサーであれば安価でいくつも見つかるものの(しかし肝心のテープはもう発売されていない)、レギュラーとスーパーの両形式に対応し且つセメント接合形式のスプライサーはなかなか見つからない。手頃な価格の新古品を運良く見つけ購入できた購入した(LPL製の3way セメントスプライサー)。
購入早々、清掃過程でフィルムが断裂しスプライサーの出番となった。セメントは現在販売されておらず、代用として(独)ヘンケルのブラシ付瞬間接着剤を使用した。フィルムを揃えてカットし接合面の乳剤層をスプライサーに付属するヤスリで慎重に削り取り、削り取った面に針先程度(極少量)同剤を塗ってプレートで挟み込んで待つこと1分で接合完了。有機溶剤の臭いがしない点を除けば、父が行ったと同じ作業である。

オールメタルの頑丈さに信頼性が満ち溢れた半世紀以上前のスプライサーは日の丸を一身に背負って外貨獲得の尖兵となったのだろう。Made in Japanの銘板も誇らしく英独仏伊の使用書が付いていた。安価・簡単にモールド成型できるからとなんでもかんでも樹脂製になり身近な品から精密金属加工品が消えて久しい。今、メタルで同等品を作ろうものならとんでもない価格の高級品になるだろう。

(昔ならありふれたフィルム缶・今はコレクターズアイテム)
(おわり)
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