2020年03月11日

サイアノタイプ - その103(引き伸ばし機)



写真乾板のプリントには、昭和11年(1936)製の乾板用ハンザ特許引き伸ばし機(Anastigmat F=125, 1:6.3)を用いる。光源をSMDのUVに代えるなど多少改造をしたが、齢84の博物館級代物はしっかり仕事をしてくれる。

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Cotman Water Colour Paper (F2とB5 / Medium)に無調整の豆乳を下引き乾燥した上にサイアノ感光剤を塗布して、印画紙を作成。焼き付け(五時間)後、水洗・オキシドール浴、ジャスミン茶と薄めのコーヒーでトーニングを行う。

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乾板に残された百年以上前のアメリカの人々が現れた。

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ワシンの水溶性つやだしニスを施すとセピア調になる。

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これらは、1880年〜1890年代に撮影された写真乾板(6.5 "x 4.25")を使ってプリント。被写体はオレイサ(Olathe / 米国カンザス州)の名士(I.O. Pickering)の一族。Issak O. Pickeringは同地の弁護士・市長を務めた。その一族の住んでいたイタリア風の建物は長らく放置されてきたが、1980年代に合衆国の歴史的建造物に認定され、現在地元の篤志家(Terry Presley)によって復元中 (2011年〜)だそうだ(ローカル紙の記事)。この篤志家はエルビス・プレスリーの親類とのこと。一時期、エルビスと音楽活動を共にしていたそうだ。

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拙稿「乾板写真の美」で紹介した乾板。

フィルムも乾板も写真(ネガ)に変わらないのに、プリントすると乾板は絵画っぽくなるから不思議。豆乳の下引きとトーニングでアンティークな感じに仕上がった。

(おわり)


posted by ihagee at 00:00| サイアノタイプ