昨日(2020年3月6日)、文化放送(ラジオ)大竹まこと ゴールデンラジオ!「大竹紳士交遊録」を聴いた。金曜日は金子勝氏(立教大学特任教授、慶応大学名誉教授、経済学者)がゲスト。その内容はポッドキャストで聴くことができる。
"なんかあたし怖いと思うんだが、海外の報道と日本の報道違くなってきたんだけど"(室井佑月氏)
怖いと感じるのは室井氏だけではなく私も同じ。原発事故後現在に至るまでの、内外の報道内容の格差(視点差)にも同様の怖さを感じている。その怖さは「アンダーコントロール」(安倍首相)に集約されるのではないだろうか?COVID-19(新型コロナウィルス)禍でも、専門家よりも政治が口をきく。その口に合わせるかに専門家が現れ、間違ってはいないとなる。表向き帳尻や辻褄が自然に合っていく「アンダーコントロール」の怖さである。
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観光立国を標榜し「おもてなし」とオリンピックやらカジノやら、サービス業がアベノミクスの第三の矢の実質となり、代わりにこの国が地力としてきた研究開発・製造など、ひと昔前であればこの国の経済成長のエンジンとなっていた基幹産業があっと言う間に衰退した。今や、マスク一つその需要を自国で賄うことができず、中国本土に頭を下げなければ手に入れることすらできない現実をCOVID-19はあからさまにしている。中国が当面マスクを輸出しないと決めるや、我々は "使い捨て用" マスクを洗って使うという惨めに甘んじなければならないが、マスク一つ国内で賄えない自国経済の凋落ぶりに驚かされる。内閣府は2020年2月20日、2月の月例経済報告を発表し、国内景気の判断を「緩やかに回復している」と据え置いたが、現実はあまりに違うと大多数の国民はあらためて肌身で実感したのではないか(COVID-19禍以前に消費増税ですでに一般庶民は実感していたが)?
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オリンピックやカジノ、それらを目当てにしたインバウンドの経済は水物商売、つまり、”外的環境の変化の影響を受けやすく中長期的な先の見通しが立ちにくく、収入が不確定な業種”であり、その水物商売を経済政策の柱と据えるゆえに、政治も経済も目先の算段ばかりをし、将来を不確定さに投げやるゆえに「今さえ・自分さえ・カネさえ」の社会風潮となるは然り。そして、水物商売的経済施策の脆弱さ・浅薄さをCOVID-19は同様にあからさまにした。
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その目先の算段が狂うと、負けを負けと認めず、さらにその先に勝ちがあると盲信し挙句自己破滅する麻薬性がある。
”安倍晋三首相は6日の参院本会議で、夏の東京五輪・パラリンピックについて「予定通りの開催に向けて準備を進めている」と述べ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を否定した。”(時事ドットコムニュース 2020年3月6日記事引用)
阻害性を否定するという思考停止。ギャンブル依存症や麻薬患者と何の変わりもない。
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”フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。”(2013年9月7日 ブエノスアイレスでのIOC総会での安倍首相発言)

”新型コロナウィルスについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京オリンピックには、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。”
「状況は、統制されています・・・いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」と、阻害性を否定するという思考停止はCOVID-19についても、上述のように言い換えを可能にする。すなわちこの先も「アンダーコントロール」即ち、不都合な事実は隠蔽・虚飾・改ざんするという、安倍政権の常套手段を示唆している(その先には「緊急事態条項」)。それが怖さの本源であろう。
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"なんかあたし怖いと思うんだが、海外の報道と日本の報道違くなってきたんだけど"(室井佑月氏)
YahooやGoogleのポータルニュースに目を通すと同時に、外電にも目を通して欲しい。Googleの自動翻訳を使えば、それなりに日本語で外側から見た我が国の有様が見えてくる。立ち位置を変えて自らを客観視する習慣をつけなくてはならない。(拙稿「立ち位置を知ること」「立ち位置を知ること(続き2)」)
「アンダーコントロール」されている私に気づくことだろう。COVID-19感染に政官民が一体になって対策を行っている台湾の報道を私は毎日チェックしているが、親日感がとりわけ強いとされる同国でも「日本が今や世界の感染源」と中国本土や韓国に対するよりも強い口調で、日本の対応の遅れを懸念する論調が強まっている。「アンダーコントロール」なる日本国の基礎疾患を薄々感じ取っていることは間違いない。
YouTube上では台湾メディア(Live TV)の報道の様子をリアルタイムで知ることができる。日本の地上メディアのお笑い芸人を集めたバラエティショーの世間話とは大違いの真剣さだけでもその「違い」は実感できることだろう。
(おわり)
追記:
「世界がどうなっているのか、世界が日本をどう見ているのかというのを知っていただきたく・・」
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早晩、感染者数が多すぎて測定不能になる・病床不足ゆえに検査をしても仕方ない・・国民の大半が感染した時点でウィルス禍は自然に収束するだろう・・が、万一「アンダーコントロール」の中身であるとすれば、感染弱者の人知れぬ犠牲を前提とする(人倫に悖る優生学的思想)ばかりか、ウィルス禍が収束する以前(この先2年以上は続くとされる)にこの国の経済・社会が崩壊するだろう。長期政権の国家的粉飾決算たる「アンダーコントロール」はこの国の経済の基礎体力を奪い取り、ウィルス禍に見舞われる以前にこの国自体が重篤な基礎疾患に罹っているからだ。
もはや「アンダーコントロール」などと成り行きに任せるのではなく、「弱毒化した抗原の人体投与、すなわち、ワクチン接種(開発急務)で意図的計画的に国民の大半に抗体を持たせるしか手はありません。接種による副作用は否定できません。他方、真に医療を必要とする感染弱者の万一の感染に応じる分の医療資源が確保できます。この積極対策によって生じるリスクについては臨床試験の結果を含め包み隠さず国民に開示致します。その上で、政府の責任で官民上げて開発を加速させます。開発が遅滞するのであれば、諸外国からの知見や成果を躊躇なく積極的に採り入れます」と安倍首相は正直に国民に告げ、オリンピック開催は速やかに中止とし、そのために集めた金銭的資源も用いて(スポンサー企業の協力を得て)、国際社会と連携しワクチン開発を急務とすべきことは言うまでもない。2020年大会について、IOCはスポーツではなく全人類の生命に貢献する行動を率先して取ることを切に願う。無観客での開催は商業主義のみの公益性なき大会としてオリンピック・パラリンピックの歴史に大きな汚点を残すことになる。
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