2020年02月19日

「科学の樹」のないこの国の暗愚・続き2



何一つ根拠もないのに「アンダーコントロール」と唱える暗愚な政治が罷り通っている。<哲学>に拠って立つ<科学=Science>の精神(「科学の樹」)の不在が、クルーズ船を「第二の感染源」に変えた。(拙稿『「科学の樹」のないこの国の暗愚』)

感染症を専門とする岩田健太郎・神戸大教授。その専門家が検疫中の船内から追い出された。18日「ダイヤモンド・プリンセス」の船内に入り検疫の現場を観察するも、即日、追い出された。検疫が全く機能していないばかりか(検疫から感染防止のフェーズにあったのに感染症の専門家の現場不在)、船内感染を助長するばかりの杜撰極まりない体制と環境(カオス)であったことを岩田教授は内部告発した。

岩田教授を船外に追い出したのは橋本岳厚生労働副大臣とされる。政治が科学を放逐する。2011年(平成23年)3月11日の東北地方太平洋沖地震による地震動と津波の影響で発生した東京電力福島第一原子力発電所の大事故。今なお地下水系を介して環境中に放射性物質を垂れ流している事故原発に、何の科学的確証もなく安倍首相が「アンダーコントロール」と言い放つように、経済的成果物を受け取るためには不都合な事実はことごとく隠蔽する政権ゆえの結果となっている。放射能と異なりウィルスは直ちに人体に影響を及ぼした。国籍の異なる人々が乗り合わせるクルーズ船なる国際社会まで政治的に「アンダーコントロール」しようとした。しかし、その実、科学的には「アンコントール」に等しい不都合な事実が次々と明るみに出ている。

この岩田教授の内部告発を受けて、加藤厚労相は「船内の感染管理は適切」と発言。適切でないことも政治家の口を経ればただちに適切となる。「適切か否か科学的に検証し説明する」となぜ言えないのか?「科学の樹」のないこの国の暗愚に他ならない。根や幹への関心よりも枝に実る果実にばかりにこだわり、乗員乗客の命を無用に危険に曝した。「必要だから安全・安心」と進めた原発政策然り。その逆はない。政治経済的な必要性が科学に勝る。加藤厚労相は岩田教授を放逐した政治経済的な必要性に「適切」と言葉を添えたに過ぎない。

「科学の樹」のないこの国の暗愚の根源を我々は糾さなくてはならない。それは誰か言うまでもない。放逐されるべきはその者である。

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(おわり)

posted by ihagee at 19:14| 原発