2020年02月02日

サイアノタイプ - その101(引き伸ばし機)



前回記事に引き続き "チバ・システム" にチャレンジしたものの失敗を重ねるばかりでムダに紙を消費してしまった。素人合点は良くない。このシステムに係る論文("千葉方式 -重クロム酸塩ゴム印画法に代わる毒性のない写真法" 小林裕幸著)をまずは読むべきなのだろう。

----

通常のサイアノタイプでプリントを行った。

用紙:Cotman Water Colour Paper B5 Medium
感光剤:Jacquard cyanotype kit (Potassium Ferricyanide & Ferric Ammonium Citrate)
引き伸ばし機:Lucky II-C (Fujinar-E75mmF4.5)
光源:50W 395nm UV LED unit (SMD=surface mounted LED modules) / レギュレータ & PC用空冷ファン
アナログネガ:120 infrared film(1950年代北海道積丹美国)
露光時間:約五時間

アナログネガは赤外線フィルムゆえハイコントラストでサイアノタイプにはとても相性が良い。

49455471678_94597a935d_k.jpg

(美国小学校・現在:https://goo.gl/maps/fAzCmcNMK9RMfcaH7
49469570623_9e2769199d_k.jpg


オキシドール浴後(トーニング無)、乾燥、ワシンの水溶性つやだしニスで仕上げた。ほぼ黒に近い変色をもたらした。

通常のフィルムの場合は以下の通り。やや青味が残るがサイアノタイプとしては最大限階調を表現していると思う。

49465422727_cab5be65cc_k.jpg


----

染色(ダイ)用のJacquard社 SolarFastキット(ブラック)でのプリントも試みる(関連記事「サイアノタイプ - その93(引き伸ばし機)」)。過去の作例では乳灰色のドロリとした液剤をスポンジ刷毛で水彩画用紙に塗って乾燥させてから露光した。Jacquard社の説明では塗った状態ですぐにネガ(OHPフィルム)を重ねて露光すべし(コンタクトプリント)とある。つまり塗布した乳剤を乾燥させると感光が悪いということ。

そこで、乾燥させずいきなり引き伸ばし機で露光を試みた。

用紙:Cotman Water Colour Paper B5 Medium
引き伸ばし機:Lucky II-C (Fujinar-E75mmF4.5)
光源:50W 395nm UV LED unit (SMD=surface mounted LED modules) / レギュレータ & PC用空冷ファン
アナログネガ:35mm (135) film (Fuji Acros 100) 、百年以上前のポストカードをデジタルスキャンし、フィルムレコーダ (Polaroid Digital Palette CI 5000S)でアナログ変換したもの
露光時間:約五時間

49465112056_0036708eae_k.jpg


SolarFastは専用のウォッシュ液(薬品臭がある)で洗浄で洗うことによって発色を安定・定着させる。ジャスミン茶などタンニンによるトーニングやワシンの水溶性つやだしニスによる変色を受け付けない。露光不全の場合は全体に黄味がかって黒くならず薄いセピア色の寝ぼけた像になる。前回同様今回もそうなった。露光時間を延ばせば乳剤がその間に乾いてしまうので、光源を強化し露光時間を短縮するしかない。コンタクトプリントを前提としたSolarFastはその通りに用いるのが無難ということか。

比較まで、同じくデジ→アナ変換して作成したアナログネガフィルム(ガブリエル・レイ)での通常のサイアノタイプは以下。ワシンの水溶性つやだしニスで仕上げた。

49475131301_49e33a6380_k.jpg


(おわり)

posted by ihagee at 10:12| サイアノタイプ