2020年01月17日

サイアノタイプ - その98(引き伸ばし機)


”一旦乾燥させて、スポンジ刷毛でニスがけした(ワシンの水溶性つやだしニス)。セリアの百均ニスと異なり、このニスはサイアノプリントに顕著な変色をもたらす。ジャスミン茶であらかじめトーニングしたプリントはセピア色に(以下の通り)、トーニングしていないプリントはブルーブラックっぽくなる(以下の通り)。”

先の記事(サイアノタイプ - その97(引き伸ばし機))から引用

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フィルムレコーダ (Polaroid Digital Palette CI 5000S)で作成したアナログネガ(35mm フィルム)は普通のアナログネガ(アナログカメラによる)よりも抜けの悪い(コントラストが低い)ネガとなるので、それを元に引き伸ばし機でサイアノタイププリントを作成すると(オキシドール水溶液でリンスするがトーニングはしない)発色未了=ターコイズ・ブルー(緑がかった青色)になる。完全なプルシャン・ブルーとはならない。

ターコイズ・ブルーのプリントにワシンの水溶性つやだしニスをスポンジ刷毛で塗布すると、ブルーブラック(青みがかった黒)に顕著に変色する。

では、普通の35mm フィルムのアナログネガ(アナログカメラによる)である程度完全に発色した(プルシャン・ブルー)プリント(オキシドール水溶液でリンス / トーニングはしない)にワシンの水溶性つやだしニスをスポンジ刷毛で塗布するとどうなるか?1966年撮影のアナログネガ(NCB (National Coal Board) 構内作業用タンクを撮影)で試した。

用紙:Cotman Water Colour Paper F2 Medium
感光剤:Jacquard cyanotype kit (Potassium Ferricyanide & Ferric Ammonium Citrate)
引き伸ばし機:Lucky II-C (Nikon EL-NIKKOR/1:4/f=50mm)
光源:50W 395nm UV LED unit (SMD=surface mounted LED modules) / レギュレータ & PC用空冷ファン
アナログネガ:35mm (135) film
露光時間:約五時間
トーニング:なし(オキシドール浴のみ)

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(ニス塗布前)
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(ニス塗布後)

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ブルーブラック(青みがかった黒)になると思っていたが、驚くべきことに黒色になった。この結果をFlickrに投稿したところ反響があり、さっそく返事をしておいた。

スクリーンショット 2020-01-17 2.35.12.png


ジャスミン茶やコーヒー等を用いた従来のトーニングは、青みを消して銀塩プリントの色味(黒白)に近づけることが目的だが、

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(ジャスミン茶で銀塩プリントの色味(黒白)に近付けたプリント例)

トーニングをせずともニスがけ(ワシンの水溶性つやだしニス)で容易に達成できることが判った。ジャスミン茶の場合はタンニン成分でプリント全体を染色することになるので白抜けが悪い(全体が汚れた感じになる・余白が薄っすら黄味がかっていることからも判る)。しかし、ニスがけの場合は染色ではない為(ニス自体は透明・余白に色味はない)、黒くしまって白抜けも良い傾向にある。再現性があるか、また別のプリントで試すことにする。

(おわり)


posted by ihagee at 02:42| サイアノタイプ