2019年10月06日

サイアノタイプ - その94(引き伸ばし機)



前回の続き。

最初からSolarFast dyeをサイアノタイプ感光剤に混ぜ合わした場合はどうなるかと、二剤を等量溶いて水彩画用紙(Cotman Water Colour Paper F2 Medium)に塗布・乾燥後、プリントを行った。サイアノタイプ剤だけの場合と比べ見る間に像が顕れ(一時間)これは!と思ったが、洗浄すると本来白く抜けるべきところもボツボツと青く色染み全体に汚れた感じに上がった。サイアノタイプ剤は鉄塩、SolarFastはアンモニア系の顔料なので、前者は定着、後者は染着と紙繊維への作用機序に違いがあるからだろう。

したがって、前回同様、先にサイアノタイプ剤を一様に塗布しその上からSolarFast(ブラック)を重ね乾燥させて印画紙を作成するのが今のところベストという結論となった。その上でさらに一枚プリントを行う。

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35mmアナログネガ(1960年代撮影・ワシントン郊外・化学工場構内の作業用タンク)を引き伸ばし機(Lucky II-C(50w SMD UV光源)・Nikon EL-NIKKOR/1:4/f=50mm)にセットし露光(五時間)、SolarFast専用の洗浄液を使わず水洗のみで仕上げた(トーニング無)。

前回と同様、発色がブルーブラックになり細部のディテールも上がっているのでSolarFast(ブラック)が何らか貢献していることは間違いない。なお、SolarFastはどの色もイエローを含んでおり、イエローが最も感光性が高いので本項の条件下でSolarFastが働いているとすればイエローかセピア(ブラックが不完全に感光すると)ということになるのだろう。

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SolarFast単体で不完全に露光した場合(セピア)


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1950年代の120フィルム(室蘭)を使ってさらに一枚プリント(五時間露光・トーニング無)。

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比較:
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(おわり)

posted by ihagee at 06:44| サイアノタイプ