2019年09月26日

サイアノタイプ - その91(引き伸ばし機)



ポラロイド Digital Palette CI-5000S(デジタル・フィルム・レコーダ)で作成したアナログネガ(Kodak TMAX 100 / 35mm フィルム)の続き

エドワード朝の伝説的女優ガブリエル・レイをプリントした。100年前のポストカードをスキャンしたデータが元だが、ポストカード自体が網点(オフセット印刷)を持たないコロタイプゆえ、スキャンにも十分耐える写真画質ということである。コロタイプは今や殆ど行われていない複雑高度な写真製版技法だが、アンティーク・ポストカードであれば容易に手に入る。そのクオリティは驚くべきものがある。モノクロームの写真製版については100年前にすでに今でも十分通用する画質を獲得していたわけだ。ポストカードという商品で言えばむしろ時代が下るほど品質は落ちていると思う(手間やコストをかけられない為)。それはポストカードに記録されている100年前の衣装についても言えるだろう。

滞英中、パントマイム劇に興じた漱石。その同じ時期、パントマイム劇とミュージカルにレイがいた。「漱石がギャビィを舞台に発見していたなら英国一美しい赤頭巾少女のステテコ踊りに一筆を献上したことだろう。(「ガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)- その2(下積み時代)」)そんな時代考証をしてみるのも楽しい。

引き伸ばし機:Lucky II-C(50w SMD UV光源)
レンズ:Nikon EL-NIKKOR/1:4/f=50mm
用紙:Cotman Water Colour Paper F2 Medium

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スキャナー(EPSON GT-X980)で読み取らず、Foveon X3撮像素子のSigma DP2Sで撮影してみた。カメラで空間を介して撮影する方が見た感に近い。

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いずれも焼き付けに五時間かかり(就寝時間で仕上がるようタイマーをセット)、ジャスミン茶でトーニングしニスがけした。35mmフィルム一本で36枚アナログネガを作成できるわけだから、高価なOHPフィルムにインクをかなり消費するデジタルネガよりもコストがかかっていないと思う。デジタルネガがプリント寸で、プリントの大きさに合わせて都度作成する必要があるが、アナログネガならば引き伸ばし機の恩恵を受けられる点もメリットである。

(おわり)



posted by ihagee at 18:15| サイアノタイプ