2019年06月09日

サイアノタイプ - その78(引き伸ばし機)



SMDのUV光源を使ったサイアノタイプの続き(引き伸ばし機:昭和11年(1936)製の乾板用ハンザ特許引き伸ばし機 / Anastigmat F=125, 1:6.3)。

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今回使った写真乾板(6.5 "x 4.25")はいずれも1880年〜1890年代に撮影されたもので、被写体はオレイサ(Olathe / 米国カンザス州)の名士(I.O. Pickering)の一族のようだ。Issak O. Pickeringは同地の弁護士・市長を務めた。その一族の住んでいたイタリア風の建物は長らく放置されてきたが、1980年代に合衆国の歴史的建造物に認定され、現在地元の篤志家(Terry Presley)によって復元中 (2011年〜)だそうだ(地元紙の記事より)。

手に入れた数枚の乾板は一族の末裔がエステートセールで処分した物なのだろう。流石に名士の一族だけあって身なりも写りも良い。乾板の状態もまずまずだった。vif Art (B5 H.P. surface) paperで約二時間ほど露光した。

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いずれもオキシドール浴のみ(トーニング無)。最初のプリントはプルシャンブルーが再現されているが、二枚目は薄くなった。露光時間を延ばせば良いのかもしれない。

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いずれもジャスミン茶でトーニングを施した。

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一世紀以上前の被写体が紙の上に徐々に現れる過程に心を動かされる。アナログネガ、低感度の感光剤と引き伸ばし機の組み合わせは室内光の下でその過程をゆっくり視認できる(デジタルネガを使った密着焼きでは不可能)。記録された情報がありのまま再現され、再現するだけの情報を世紀を超えて保存する媒体(銀塩乾板)の素晴らしさを再認識する。まだ数枚未プリントの乾板があるので、続きは追って報告。

(おわり)

posted by ihagee at 09:50| サイアノタイプ