霊験あらたかな薬でそうなったのか、キツネ憑きのこの国の自称最高責任者は今やキツネの友達としか話をしない。そして遂に精神にも異状をきたし「狐憑きにかかるものは、狐のおらざるに常に目に狐の形を見、耳に狐の声を聞き(中略)狐憑きは、狐の夢を実現するものと心得てよろしい。」(井上円了「迷信解」より)
どうやら、世間も同じキツネに見え反対の声まで賛成の声に聞こえるらしい。油揚げで手懐けたキツネの友達を使って、あたかもキツネの見方が公論かの如く、テレビ、新聞、ネットを駆使して輿論(よろん)化するが、公論たる論考・論証もない為、言葉で論理だって説明することができない。
キツネ憑きにキツネにされる我々一般庶民。数多の犠牲の上にようやく得た戦争放棄という尊い使命を帯びた憲法である。その使命の重みをキツネ憑きにヒョイと油揚げをさらわれるように取られて良いものなのだろうか。
(以上、拙稿『キツネ憑きの話(「戦争に戦う」が「戦争で戦う」になる)』)
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キツネの憑き物を落とす法を世界で唯一持つ国が日本である。しかし、今年の5月3日が現憲法下最後の祝日となる可能性がある。残念ながら新元号の下、多くの人々はキツネになりつつある。改元の先に狐の嫁入りならぬオリンピックが控えている。
画家 富山妙子氏の「きつね物語」で描かれるキツネ。よく見たまえ、これが憑かれた者の姿なんだよ。97歳の原風景。父の心に焼きついた風景。同じ旧満州国大連の育ち。
<父の手記>
最も民族差別をしたのは日本から来た軍人でした。私が中学の低学年であった時、目の前で馬車に乗ってきた将校が、料金を払わずに馬車から下りました。中国人である車夫は馬車から遠ざかる将校の肩に手を掛けて、料金を払えと迫りました。件の将校は振り向くと「貴様は帝国軍人を侮辱する気か」といきなり日本刀を引き抜いて、袈裟がけに車夫に斬りつけました。車夫の頚動脈からは血が吹き出て、そのまま倒れました。将校は悠然と倒れている車夫の着物で刀を拭き、何事も無かったように立ち去りました。私は悔しさと、恥ずかしい気持ちで、体が震え、涙を止めることが出来ませんでした。これは平時、首都である新京の町の真ん中で起こったことです。勿論このことは新聞の何処にも出ませんでした。その将校が、車夫には家に妻や子供がいることなど、想像すら出来なかったのでしょう。彼には中国人が人間ではなく、犬や猫に見えていたに違いありません。(拙稿「殴ったことを忘れても、殴られたことは忘れないのが人間」)
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「一度だまされたら、二度とだまされまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。・・・ まず国民全体がだまされたということの意味を本当に理解し、だまされるような脆弱な自分というものを解剖し、分析し、徹底的に自己を改造する努力を始めることである。(伊丹万作「戦争責任者の問題」)」(拙稿『<家族主義の美風と大政翼賛>(自民党憲法改正草案第24条第1項)』)
(おわり)

(五輪は違法ライセンス・IOCバッハ会長への手紙=公開書面原文写し)

(五輪は違法ライセンス・IOCバッハ会長への手紙=公開書面邦訳)
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