2019年04月26日

大問題:スポンサーに対するオリンピック関連商標使用許諾は商標法違反(続き2)




(「最近よく見るあのタクシーは、何?」NHK News Web引用)


(トヨタ プレスリリース「トヨタ自動車、IOC TOPパートナーに決定」から引用)

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東京が2020オリンピック競技大会の開催都市に決定した際に、東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、国際オリンピック委員会(IOC)の3者で締結した契約がある。「開催都市契約」といい、各当事者が大会開催に向けて遵守すべき合意書である。

その開催都市契約第5条に、政府およびその他の当局が行ったコミットメントの遵守の保証(開催都市契約p11)がある。政府(...)が行ったコミットメントには、2020オリンピック競技大会立候補都市にIOCが提示した2020立候補受付手順書(2012年5月)の第115頁に書かれたQ7.3「アンブッシュ・マーケティング防止のための方策」で要求されている、遅くとも2018年1月1日までに必要な法を成立させることを確認する政府機関の書面=政府保証が含まれている。

アンブッシュ・マーケティング【ambush marketing】
オリンピックやワールド━カップなどのイベントにおいて、公式スポンサー契約を結んでいないものが無断でロゴなどを使用したり、会場内や周辺で便乗して行う宣伝活動。

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「公式スポンサー契約を結んでいないものが無断でロゴなどを使用したり、会場内や周辺で便乗して行う宣伝活動」は裏返せば、オリンピックに関連したロゴ(オリンピックに関連した商標)の使用は「公式スポンサー契約」が要件となっている。しかし、そもそも、そのオリンピックに関連した登録商標(商標法第4条第2項に拠って登録された商標)を使用する権利(通常使用権)を商標権者は第三者に許諾できない、と商標法第31条第1項但書きにはっきり書かれている

商標法第31条 「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。ただし、第4条第2項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない

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オリンピックに関連したロゴ(オリンピックに関連した商標)の使用は「公式スポンサー契約」が要件となっている。が、スポンサー(第三者)の使用は商標法によって認められない。いくら契約上、使用できることを当事者同士で合意しようと、商標法上は、使用権原を有しない者による商標の使用となる。つまり、商標権をスポンサー(例えばトヨタ)は侵害することになる。商標権侵害を含むアンブッシュ・マーケティングをIOCをはじめ、開催都市契約を交わした関係者が自ら斡旋していることに他ならない。違法ライセンス活動を自ら行っておきながら、「公式スポンサー契約」外での使用は厳しく取り締まろうとする(たとえば、町内会がオリンピックを応援するために「五輪」という言葉を使って大売り出しをすることなどは、IOCの登録商標「五輪」から許されない)。このアンバランス、 利益衡量の観点からも全くおかしい。オリンピックの憲章に謳われている「公益性」は全く形骸化している。

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とにかく、現行の法制度(商標法)では、オリンピック関連商標の使用によるライセンス活動は違法ということになる。後述の参議院法務委員会での質疑応答、その後の東京新聞での報道などによって、ライセンス活動の違法性が公となった上でもなおも違法行為をIOCなどオリンピック関係者が野放しにすることは、不作為→不法行為となり、商標法以外の法律(刑法、いわゆる共謀罪を含む組織的犯罪処罰法など)にも触れる犯罪行為でもある。

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上述の政府保証に立ち返ると、商標法に違反するライセンス活動については、究極的には政府の不作為が問われることである。すなわち、権利侵害を回避するために日本政府には特別な作為義務が課されていた(2020立候補受付手順書(2012年5月)第115頁Q7.3に対応し遅くとも2018年1月1日までに必要な法を成立させることを確認する政府機関の書面=政府保証)ことを鑑みれば、作為義務の存在にも拘わらず、その時限までに必要な法を成立させることもせず、今になって商標法第31条第1項但書きを削除するための商標法改正を以って合法化を図っている(経済産業省『「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。』の3.その他「公益団体等(自治体、大学等)が自身を表示する著名な商標権のライセンスを認める等の措置を講じます。」)

しかし、たとえ改正法が国会で承認され公布施行されようとも、「法令不遡及の原則」によって改正法以前に出願登録された商標には及ばず、結果、違法ライセンス状態は続くことになる。

しかも、その法改正は「オリンピックを念頭においたものではない」と政府は答弁している(2019年3月20日参議院第4回法務委員会での小川敏夫議員の質問に対する政府参考人の答弁(議事録から)。

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商標法改正がオリンピックを念頭においたものではないと答弁し、さらにライセンス活動の違法性についてはは答弁をはぐらかす政府。これは不作為を決めこむことでもある。政府自身が不法行為を働いていることに他ならない。つまり、IOCに政府保証を以って負っている作為義務を果たさず、未だに不作為を決めこむことは政府自身が不法行為を働いていることになる。

不作為→不法行為、は「不法行為における外形標準説」だけで簡単に説明がつく話ゆえ、当事者同士の契約がどうとか、民法が著作権がどうこうなどと、その外で曖昧に政府がはぐらかして済むことでは到底ない。

この義務履行違反は、開催都市契約p72から記載のあるIOCとの契約上の問題(XI.解除 66.契約の解除)に発展しかねない。

政府およびその他の当局が行ったコミットメントの遵守の保証(開催都市契約p11)に記載の政府の誓約事項が尊重されない場合、IOCは契約を解除し、開催都市における大会を中止する権利を有しているからだ

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国会では、IOCに具体的にいかなる文言で何を誓約したのか、IOCに提出した政府保証の開示を求め(未だに開示されていない)、その書面の内容と鑑みて、IOCに政府が誓約した行為義務(積極義務)を明らかにする必要がある。

開催都市契約のp72から記載されているIOCとの契約上の問題に発展するのであれば、政府の責任は極めて重大ということになる。

国会でも取り上げられた程の大問題にもかかわらず、東京新聞以外、メディアは一切沈黙している。当事者たるIOCなどオリンピック関係者、トヨタなどスポンサー企業もダンマリを決め込む。彼らは、すでに「違法」「違法ライセンス活動」たることを知っているのである。

オリンピックを開催すること=国益。国益のためであれば法を犯すことも吝かでない。国益のためであれば、報道すべきことも報道しない。立憲主義・法治国家のレッドカードまで切って行うオリンピック。何が国益なのだろうか?「令和」とはこういう時代の始まりなのか?暗澹たる気分である。

(おわり)

posted by ihagee at 02:17| 東京オリンピック