2019年04月24日

原発からは温かい大河が流れている



2010/03/26、福島で原発事故が発生する一年前の記事。優れた洞察ゆえ一読をお薦めしたい。小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教:当時)が筆者。
原発温廃水が海を壊す 原発からは温かい大河が流れている」((C)イミダス・集英社)




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たとえ事故を起こさなくとも、原子力発電の環境負荷は計り知れないものがあるということだ。『日本には、1秒間に70tの流量を超える川は30筋もない。原子力発電所を作るということは、その敷地に忽然として「温かい大河」を出現させることになる。』(記事から引用)

既存原発再稼働とは、その30筋もない川に50筋余の温かい大河が人工的に加えられること。「温められた海水からは、溶け込んでいた二酸化炭素(CO2)が大量に放出される。もし、二酸化炭素が地球温暖化の原因だとするなら、その効果も無視できない。」(引用)

地球温暖化解決の鍵は原子力発電なのだろうか?否、温暖化の原因を作っているのが原子力発電所ではないのか?「CO2を排出しない_CO2排出抑制効果が大きい」(電気事業連合会)と存在理由を喧伝する原子力発電であるが、その発電所からは「温かい大河」が流れ出て「温められた海水からは、溶け込んでいた二酸化炭素(CO2)が大量に放出される。」

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経団連は8日、電力システムの再構築に向けた提言を正式に発表した。日本は電源の8割を二酸化炭素(CO2)を排出する火力発電に頼り、国際的に見ると電気料金も高い。温暖化ガスを削減する政府目標の達成に向け、再生可能エネルギーを伸ばすための送電網の整備や、原子力発電所の再稼働を提言の柱に据えた。中西宏明会長は同日記者会見し「日本は資源を持たない。このままでは電力の安定供給を保障できなくなる」と述べた。エネルギー政策の先行きが読みにくい現状を改め、「電力事業に投資できる環境をつくるべきだ」とも訴えた。(日本経済新聞電子版 2019/4/8 記事引用)

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「温暖化ガスを削減」が削減どころかその発生要因であれば、「電気料金」云々が「今だけ・自分だけ良ければ」と廃炉まで含めた原発にかかる天文学的費用の将来世代への付け回しであれば、「(エネルギー)資源を持たない」が環境系を破壊してまでの調達であれば、「電力の安定供給」が「熱、化学物質、放射能の三位一体の毒物」の安定供給であれば、それでも原子力発電が正しいとすることは、社会倫理に問うべきことかもしれない。人倫に悖ることかもしれないと我々は胸に手を当てて考えるべき時に来ている。

経済活動と引き換えのリスク=「公害」が当たり前であった半世紀前の経済感に捕らわれたままの原子力発電。そのオワコンな原子力発電をベースロードとするこの国のエネルギー政策。再生可能エネルギー・原発廃炉技術のデファクトをドイツに譲り、はるか昔の高度経済成長時代(高代謝社会)のレガシーの殻に閉じこもる。このままでは世界から取り残されるガラパゴスの島となる。ゴミ屋敷にゴミが何気に投げ込まれると同じく、原発(そしてその事故)に極めて寛容なこの国に、世界中から核廃棄物が投げ込まれることになるだろう。原発事故すら風評被害と過小化し(「実害」という言葉は死語である)、剰え除染で発生した高汚染土を公共事業で利用しようとし、さらに事故原発で処理済みとされた福島原発放射性廃液(約3400兆ベクレルのトリチウムと他の核種も残存する)を計画的に海洋に投棄しようとする国であれば(「トリチウムを含む福島原発放射性廃液の海洋投棄に反対する決議」参照 )、世界中に溜まった放射性廃棄物の格好の捨て場になるのは必至であろう(拙稿『「リニア中央新幹線」が「オンカロ」になる日』『中村敦夫氏「原発はやってはいけない」』『100,000年後の安全』)。「日本製食品の安全」をWTOから否定されても「安全」に決まっていると「食べて(原子力発電を)応援」する国民性。ゴミ捨て場と化しても原発がこの上なく好きでならない国=日本国としか国際社会では映らない。

ピカドン・レベル7でも懲りない国民性とは一体何なのか?


(おわり)

posted by ihagee at 02:59| 原発