2019年03月11日

サイアノタイプ - その70(引き伸ばし機)



科学実験用のスペクトロライトSPL-100-CCが届いた。φ5mm砲弾型LED(5個から100個まで)の抜き差しが可能なソケットを配列した基板で、18mA 定電流24Vの電圧のアダプタとケーブルが付属する。さっそく、φ5mm砲弾型LEDを用意した。ナイトライド製の波長370-375nmのLEDを 6個、と残り94個は390-410nmでノーブランド。LEDの足の長さがナイトライド製とノーブランドのものは違うので外見で見分けがつく。

さて、370-375nmのLED6個は均等に方陣に配置し残りは390-410nmで埋めた。砲弾型のLEDはカソード(-)はアノード(+)よりも足が短い。極性を間違えないように基板に差し込む。ソケットに押し込むとカチッと留まる。

基板上のLEDの配列面積はほぼコンパクトディスク(CD)の円盤の大きさと一致するので、CDケースを加工して基板とPC用の空冷ファンを合体させた。ファンからの風が基板の裏面に当たるようにケースの中央を丸く抜いて風穴を作った。基板にはポツポツと熱対策用に放熱穴が空いているのでファンからの風はこの穴も通ってLEDを足元から冷やすことになる。

この新たなユニットを銀塩写真用引き伸ばし機(Lucky II-C)に組み込んだ。レンズはNikon EK-Nikkor 1:2.8 f=50mmで、ネガはおよそ100年前のガラス乾板を使った。さて、何枚もプリントするものの芳しくない。

印画紙面の焼き目を視認するが、これまで使用してきた中華製懐中電灯タイプのブラックライト(FOCUSPET 100 LED)から取り外したユニットの場合と比較しても焼き目が浅い。深い濃緑色に印画紙上に顕像して焼き上がりとなるが、従来のユニットと同じ時間(5時間程度)かけても淡い緑色にしかならない。こういう焼き目では水洗すると殆ど像が残らないので失敗ということになる。淡いながらも何とか像が残ったのが以下の一枚。

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コンデンサーレンズとの距離やコンデンサーレンズの構成を二枚から一枚に変えてみるといった試行錯誤を施すも結果は同じだった。つまりLEDが目的に合っていなかったということ。ナイトライド製の370-375nmはUVカットグラス越しに着灯状態を視認すると殆ど可視光線が出ていないせいか暗くしか見えない。ノーブランドの390-410nmは中華製懐中電灯タイプのブラックライトと同じく明るい。さて、どちらが目的に合っていなかったのだろうか?ちなみに、新たなユニットを直接印画紙に間近でかざしてみると忽ち感光した。つまり、コンデンサーレンズと引き伸ばし用レンズを介することでプリントに必要な紫外線が減衰してしまったということになる。

これまで使用してきたユニットのLEDの特性と同じであればそのような仲介物があってもプリントできた筈である。その特性と同じLEDを装着すればプリントは可能だろう。LEDの選択をし直す必要がある。

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(右下は新たなユニットでの印画紙上の顕像 / しかし水洗すると淡い像しか残らない)

無駄な投資とならないことを願うばかり。

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さて、これでは面白くないので、スライドプロジェクター(Minolta Mini 35)を利用したホームメイドの引き伸ばし機に戻った。

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こちらは快調そのもの。B5印画紙に10分〜45分以内で焼き上がる。プロジェクターレンズ(P-Rokkor 2.5/75mm lens)ゆえに、ピントが四隅で合わないのが欠点。

閉場直前の築地を2018年9月15日に撮影した35mmフィルムを使った(カメラ:Canon AL-1 / Kodak 400 Tmax / Carl Zeiss Jena, Flektogon 4/25)。フィルム撮影の結果は拙稿『「五輪」という破壊(続き6)』で報告の通り。

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各々、45分焼き付け、水洗後、ジャスミン茶でトーニング

(おわり)

posted by ihagee at 13:21| サイアノタイプ