スライドプロジェクター(Minolta Mini 35)を利用したホームメイドの引き伸ばし機の続き。
銀塩写真用引き伸ばし機と組み合わせて光源として使っていた中華製懐中電灯タイプのブラックライト(FOCUSPET 100 LED)から取り外したユニットは、引き伸ばし機の巨大なコンデンサーレンズとその先のレンズを介し印画紙を照らしてくれたが、その光路で紫外線が減衰し感光に数時間を要した。その長時間のライティングで砲弾型LEDの劣化が著しかった(PC用の空冷ファンで熱対策を施したが)。元々安物のブラックライトなのでLEDの品質も悪く耐久性は値段相応である。
パーティ演出用UVブラックライトも中華製の安物だが、長時間のライティングを元々想定した商品なのでチップオンボード(COB)LEDは耐久性に優れる(熱対策も施されている)。銀塩写真用の引き伸ばし機との組み合わせではレンズ群が邪魔して印画紙まで紫外線が全く届かなかったが、スライドプロジェクター(Minolta Mini 35)を利用したホームメイドの引き伸ばし機ではまるで素通しのように印画紙に届く。
スライドプロジェクターの元々の用途と設計を考えてみれば当然のことだが、ポジスライドの画像を壁に投射するだけだから引き伸ばし機並のピントの精度は不要、且つ光源とスライドの距離が短いため熱対策として暗めの白熱球でも投射できるように光学系が単純であることが幸いしている。パーティ演出用UVブラックライトは11個のCOBが正方形に爪先程の面積に配置された光源であるが、このブラックライトをスライドプロジェクター(Minolta Mini 35)のランプハウスにぽん載せするだけで、光源が小さなコンデンサーレンズに正対し好ましく光束が入射している。これは寸法上の全くの偶然だった。
1950年代のネガフィルム(ブローニー・1950年代積丹美国)を使い、B5の印画紙((vif Art (B5 H.P. surface) )にスパイレンズを介して鉛直に光を投下し何枚かプリントしてみた。室内灯下、焼き目を視認しながら焼くこと概ね10〜30分で仕上がった。
ジャスミン茶でトーニング。
ネガフィルムのスキャン画像と比較:
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銀塩写真用引き伸ばし機(光源は上述の中華製ユニット)での過去の作例と比較:
いずれも焼き付けに5時間程度要した。中華製のユニットを借用した光源はなにぶんにも安定していないので焼きムラが生じるものの、銀塩写真用引き伸ばし機は腐っても鯛、ピントは正しく合わせることができる。
(サイアノタイプ - その51(引き伸ばし機)より)
素材や表現の仕方に応じて、ホームメイドの引き伸ばし機と銀塩写真用引き伸ばし機を使い分ければ良いということだろう。前者は可搬性に優れるので外部のサークルなどで手軽に実演できそうだ。
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さて、ホームメイドの引き伸ばし機についてはひとまず終わり。科学実験用のスペクトロライトSPL-100-CCが届いた。実装可能なφ5mm砲弾型LEDもナイトライド製の指向性など正しく調整されたものを揃えて、銀塩写真用引き伸ばし機の光源に組み込むつもり。
デジタルネガを使った従来のコンタクトプリントよりもグラデーションが有り細部の表現に優れるプリントが得られる本稿の試みは続く。
(おわり)
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