2019年02月08日

内政は外交の延長なのか?



「地球儀を俯瞰する外交」と頻繁に外遊する首相。目の前で「やってます感」が繰り広げられているだけでその外遊の目的もその効果も未だ我々は知らない。ゆえに「スタンプラリー」と揶揄される。

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「外交は内政の延長」(ハロルド・ニコルソン)とはよく知られている定理である。




ヒゲの隊長は、この定理に安倍首相は合致していると言う。

そうなのだろうか?否、内政が思わしくない故に「外交らしきもの」を以って、さも外側で得点を重ねているかに演出しているのではないかと疑う。そもそも内政をまともに行うだけの能力がないから外見から繕っているのではないか?データの上ばかりに奢るアベノミクスもそのデータが不正とあっては看板倒れ、そして安倍首相自身の国民の信望は著しく低い。人格的に問題がある。公文書改竄・基幹データ不正が後を絶たないように、虚飾・粉飾の上に既視感として漠然と過去の時代の「政権の安定」を重ね合わせているだけである。その過去とは明治時代やら兎角に古めかしい。

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このように実際、安倍外交なるものを俯瞰すると、内政の都合(=政権への求心力)に外交を利用し続けてきた一面がはっきり判る。内政の口実や都合を外因に求め過ぎた。そのために外因まで勝手に作り上げた感がある。ホルムズ海峡の機雷を以って日本の存立が脅かされると散々に煽って憲法を政治解釈(集団的自衛権行使)、伊勢志摩サミットでは「世界経済はリーマンショックの前と似た状況」などと根拠なき認識を振りまいて、公約だった消費税増税を先延ばしにした。

北鮮の脅威・拉致問題・中国包囲網・北方領土問題・と次々に目先を変えるが、どれも裏返せば内政の都合(=政権への求心力)に転換してきた。

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「内政は外交の延長」なる彼なりの方程式はしかし破綻しかかっている。北方領土問題では、プーチン大統領と25回会談した結果、「北方領土は、我が国固有の領土」という言葉を封印してしまった。「固有の領土」と言えば、主権・領土・国民で成立する国家の三要素を表しどれも主張することであるが、「北方領土は、我が国固有の領土」に代わる「北方領土に主権がある」との言い方は、残りの「領土・国民」を捨てた事実上の領土放棄である。このままでは、領土放棄を自らした日本で最初の宰相と記録されることであろう。国辱ものである。



(政府広報 左:今年 / 右:去年 「日本固有の領土」との文字が消えている。)

「外交は内政の延長」の通り、内政として譲ることができない「固有の領土」という主張すら、外交の結果、揺らぐとなっては、内政のいい加減さが外交を経てまた内政に降りかかってきたという本末転倒な因果律にある。外交の結果、自国の領土に口ごもる。すでにロシアに内政まで押し込まれてしまって、これでは北方領土を問題化すること自体もいずれ取り下げ、ひたすら「平和条約締結」なる実の無い結果だけに甘んじることになるだろう。その結果が安倍政権の得点であっても、日本国の国益では全くないところに安倍政権の志の低さが窺える。

外交の結果、外から「押し込まれる」ことばかり。相互関税撤廃条約たるEPAにあっても、食糧など日用品の輸入に対して、日本酒だの緑茶だの嗜好品や高級品のニッチな輸出では到底拮抗できない。自動車にしてもカッティング・エッジは欧州勢にある。その追い風は脱炭素と再生可能エネルギー社会で、2050年に再生可能エネルギーの発電比率を80%に引き上げることを目標とするドイツがその先端を行く。


(独AUDI: 再生可能な電力、水、二酸化炭素から合成燃料製造・パイロット工場をスイスに建設 / わが国の水素自動車&水素ステーションがいかに分が悪いか一目瞭然である。)

それらのデファクト・スタンダードで日本は後陣に甘んじるばかりか、半世紀前のレトロレガシーたる原発(終わった技術)を安倍首相自らトップセールスするなどここでも既視感に捕らわれて、未視感にチャレンジしようとしない。その未視感たる水素社会は国際社会では笛吹けど踊らず。自動車との組み合わせでは方向性が間違っているのだろう。ビットコインとか大阪トラックとか汗の一つもかかないようなお気軽なバーチャリティには飛びつくが、見事に失敗したクールジャパン同様、リアリティがないこれらの経済施策にこの国の将来は描けない。原発廃炉技術や再生可能エネルギーというリアリティに満ちた可能性に背を向けて、やれオリンピックだ万博だカジノだと、コンクリート・土建への投資ばかり、百年前となんら変わらない既視感にどっぷり浸かったままである。全くもって先見性がない。

日米TAG(事実上FTA)でその自動車輸出すら逆に輸入枠を拡大せよと、押し込まれることになるだろう。水道事業民営化やら外国人労働者受け入れなど、制度や環境が不全であることがわかっていても開放してしまう。シンガポールのような、国ではないただの金儲けの市場に日本をしてしまいたいのではないかと勘ぐりたくなる(「構造改革の目標は日本のシンガポール化」内田樹氏)。農業自給率0%の砂上の楼閣たるマーライオンはいつ地図上から消えてもおかしくない。あるのは国ではなく市場と博打場だけ。それが安倍首相の望む「美しい国」なのだろう。

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「内政は外交の延長」でしかない安倍政権は失格である。

(おわり)



タグ:北方領土
posted by ihagee at 03:29| 政治