財政・経済・環境において本当はズタズタボロボロの日本を粉飾・虚飾して見せなければならないのだろう。『原発は国家ぐるみの壮大な「粉飾決算」』(城南信用金庫の前理事長・吉原毅氏)の言葉にあるように、その代表格が原発であり原発事故である。「粉飾決算」がこの国の代名詞であってはならない。

(Exakta RTL1000 / Carl Zeiss Flektogon 2.8 / 35, Ilford Delta 400)
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拙稿『国家ぐるみの壮大な「粉飾決算」』でそう書いた。
政府基幹統計データの無数の不正。厚労省の毎月勤労統計データ不正に始まり、ついにGDPの算出方法における「その他追加」分の不明性にも疑惑が及びつつある(2019年2月4日衆院予算委で立憲民主の小川淳也議員質問)。
データ不正の程度は「アベノミクスの成果」の喧伝と呼応する関係で増大しており、統計官のマンパワー不足による長年の不正体質だけが原因ではなく、行政が政権の経済政策の結果に都合するように鉛筆を舐めて数字を捻り出した感が強い。口先ばかりの牽強付会の主張を繰り返してきた安倍政権。「牽強付会」=自分の都合に合わせ、道理に合わない理屈を無理にこじつけること、を繰り返せば、官邸に人事権を握られている官僚や行政組織がその都合に道理に合わない理屈たる数字を無理にでも捻り出す(拙稿「牽強付会とは」)。「忖度」などという曖昧な下からの斟酌関係ではなく、上からの「教唆」が強く疑われる。こんなことは一般社会に照らせば誰もが経験していることだ。法に背き悪い事だと認識していても、会社の上層部の命令として下の者は従わざるを得ない。下っ端の者が自己都合で不正を働く場合よりも、会社ぐるみの粉飾の場合が多い。その場合、逆らえば処分されるとなれば不正に現場が手を染めることは、民間企業では日常茶飯事であり、永田町と霞が関との関係も同じである。「そんな関係などない」などと言うこと自体に無理がある。
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「徳なき恐怖は忌まわしく、恐怖なき徳は無力である」(ロベスピエール)
後者が旧民主党政権、前者が現政権であろう。「恐怖」とは直接指示を出さずとも、暗示してそそのかす心理的圧迫であり実質は「教唆」である。従わなければ人事で処分する怖さを伴う。政治権力は「権力」である限り、多少なりとも「恐怖」を必要とし「恐怖」は必要悪である。政権の施策に官僚を従わせなければ動くものも動かない(旧民主党政権はこの力点と作用点の扱いがあまりに未熟だった)。しかし、過ぎれば、「徳なき」背徳=不正に陥る。それが現在の有様である。あまりに過ぎた。
行政が嘘をつけば(官僚は法に従うから嘘をつく筈がない)国家として体を為さない=無法国家の烙印を国際社会から押される。「行政が嘘をつく、不正を働く」と言い募って責任逃れをする政権与党の側にそうさせた<力点☟>があることも同時に明らかにしなくてはならない。NHKを含めマスコミはどこもかしこも<力点☟>のことを言わない。行政・官僚の作用点↑ばかり、あたかも自律的に不正を働いたとしたいらしい。どうやら、政権とマスコミとの関係にも梃子が存在するようだ。これら「狂った梃子」はいっさいがっさい丸ごと交換しなくてはならない。

(梃子 / 作用点↑・力点☟)
「徳なき恐怖は忌まわしく」が安倍政権の有り体。今年、平成の世が終わるが、同時に「忌まわしさ」も終わらせたい。皇太子徳仁親王の「徳仁」の御名にふさわしい「徳」を新たな元号と共に政治に取り戻さなければならないだろう。
(おわり)
追記:
<力点☟>
平成27年9月総裁再選の直後に安倍首相は「GDP600兆円」宣言
<作用点 ↑>
「経済統計の改善」が成長戦略??に位置づけられ / これをきっかけに官僚が辻褄合わせに動き、結果、政府基幹統計データ不正
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<力点☟>
「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」(平成29年2月17日の衆議院予算委員会)
<作用点 ↑>
佐川前理財局長の国会答弁と辻褄を合わせるために財務省決済原本改竄が行われた
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そして極めつけ(ここから全てが始まった)
<力点☟>
「アンダーコントロール」
<作用点 ↑>
すべてが藪の中(拙稿『「行政文書管理の在り方」なる奇問』・『「藪の中」考』「一対一対応 vs. 藪の中」)
この☟と↑の繰り返し。☟が先に来て↑が後に続く。脅し文句的な☟が不正のトリガーであること明々白々。
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