2018年09月16日

サイアノタイプ - その56(引き伸ばし機)



Lucky Attache-35(35mmフィルム専用)とNikon EL-NIKKOR/1:4/f=50mmを使って、また一枚サイアノタイプ・プリント。ノルマンディ・オンフルール=バトゥ(Honfleur Bateau)の景色(1953年撮影の35mmフィルム)。B5の水彩用紙(vif Art B5 H.P. surface)を用いた。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital negative processing


Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital negative processing

(五時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

暗部の多いごちゃごちゃした構図も弱い紫外線でゆっくり焼けば表すことができる。

オンフルール=バトゥの半世紀以上前の景色だが、今もさほど変わっていない。おそらく将来も変わらないだろう。





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さて、昨日は築地の場外市場に足を運んだ。

Tsukiji Market (築地市場, Tsukiji Shijō)

(Casio Exilimによるデジタル写真)

雨天にもかかわらず閉場まであと僅かの市場は内外の見学者で賑わっていた。魚の匂い以上に昭和の空気が充満する。三和土を流れる海水、錆びた柱、空間に鋤き込まれた小間物のような仕事場、薄暗い中に集魚灯のように並ぶ裸球、縦横に走り回る人々と声、これが時代が培った築地の姿である。その雑たる全てが築地という言葉に集約されている。

言葉ごと時代まで消し去ろうとするのも、ここが老朽化し不便・不潔だからということらしい。本ブログ(拙稿『「五輪」という破壊(続き)』)でも取り上げたが、「老朽化し不便・不潔」だろうと人間臭いマイノリティに小池都知事はとても冷たい。新自由主義に染まった彼女。われわれの心象風景までも奪い取って、次々と人間を阻害する構造物に作り変えていく。ガラス越しに見学させることに何の違和感も感じないのだろう。

ともあれ、Canon AL-1 にKodak 400 Tmaxを詰め、広角のCarl Zeiss Jena, Flektogon 4/25で最後の姿をフィルムに収めてきた。その結果は追って報告したい(サイアノタイプ・プリントも試みるつもりだ)。

(おわり)

追記:
昭和30年代前半の北海道積丹・美国の子供たちを写した35mmフィルムをLucky Attache-35でさらにプリントしてみた。少し焼きが足らなかったかもしれない。鞠蹴りに興じる子どもの姿も今は昔となった。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital negative processing

(四時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

posted by ihagee at 09:37| サイアノタイプ