2018年09月15日

サイアノタイプ - その55(UV コンタクトプリンタ)



eBayから巨大なガラス乾板を入手した。
8" x 10"(インチ)つまり、20cm x 25cm(約)というからスタジオ用のフィールドカメラで撮影したのだろう。

代替テキスト

(8" x 10" 用カメラ・一例)

この大きさだとさすがに引き伸ばし機(乾板用のハンザの引き伸ばし機)では手に余る。そこで、拙稿「サイアノタイプ - その7(サイアノタイプ・ムービー)」で使用した中華製のUV露光ユニットを使うことにした。

Cyanotype print made on an UV contact printer and a photographic huge dry plate (glass plate) without using digital negative processing


乾板の大きさはB5にほぼ相当するので、B5のサイアノタイプ印画紙(vif Art B5 H.P. surface)に密着させて、ユニットに平置きし露光した(時間:10分)。上掲の乾板と像が逆になっているが、乾板の乳剤面を印画紙と直接接触させた為である。感光剤(乾燥しているとはいえ)で乾板が汚れまいかと気になったが、大丈夫だった。引き伸ばし機とは比較にならない短時間で焼きあがる。しかし、焼き目は視認できないので勘が頼りである。

Cyanotype print made on an UV contact printer and a photographic huge dry plate (glass plate) without using digital negative processing

(水洗後オキシドール浴)

結果は以上の通り。サイアノタイプらしいプルシャンブルーとなるが、かなりコントラストが強い。引き伸ばし機の場合よりも強い紫外線を短い時間に当てるのでこうなるのだろう。なお、UV光に代えて自然の太陽光を使うことはお勧めしない。OHPフィルムで作成したデジタルネガであれば構わないが、オリジナルのガラス乾板は熱線を含む太陽光に晒すことはダメージとなるからだ。

さらに、ジャスミン茶でトーニングを施してみた。

Cyanotype print made on an UV contact printer and a photographic large dry plate (glass plate) without using digital negative processing


だいぶ印象が変わる。プルシャンブルー(紺青)が本命のサイアノタイプではトーニングは邪道だとされるが、個人的にはトーニングした方が深みが出るので好きだ。

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なお、写っている女の子はオハイオ州アクロンのマリアン・デールス(Marian Dales)(1912年生)とのこと(出品者情報)。

おなじ出品者が出品していたガラス乾板にこの女の子の父親が写っていた。

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スクリーンショット 2018-09-15 8.25.08.png


スクリーンショット 2018-09-15 8.37.01.png


George S. Dales といい、アクトンで宝石商を営んでいたようだ。1920年当時、アクトンには45もの宝飾店があり、128 Main St にデールスは大きな店を構えていた。女性用の宝飾品と陶磁器(中国)、ガラス製品を扱っていたということがネット上の情報で判った。裕福な家庭に生まれた女の子なのだろう。その宝飾店も女の子のその後も、ネットで辿ることはできなかった。遺品を販売するエステートセールでまとめて出された写真を出品者(ペンシルベニア在)が買い取ってeBayに出品したのだろう。その一枚を私が入手したわけだが、とある家族の歴史が切り売りされたと思うと少し悲しい気にもなる。


(おわり)

posted by ihagee at 08:41| サイアノタイプ