2018年07月20日

サイアノタイプ - その46(引き伸ばし機)


Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital negative processing

(群馬県南牧村・Lucky IIc, Fujinar-E75mmF4.5=絞り開放で二時間焼き付け・水洗オキシドール漬後ジャスミン茶でトーニング・この村の特産である微粉炭色の仕上がりとなった。)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital negative processing

(同上・Lucky IIc, NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8=絞り開放で一時間焼き付け・水洗オキシドール漬トーニング無・清酒荒船の醸造元商家の遺構)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital negative processing

(同上)

南牧村については本稿でも何度か取り上げた(拙稿「Rolleiflex SL66 - Ilford Delta 400 と撮影記」)。江戸時代から昭和の初め頃まで日本の養蚕業の中心地、その絹糸は富岡で紡績され大いに外貨を稼いだ。綿布とともに絹布はその当時の日本の一大輸出産業であった。

Rolleiflex SL66 with TTL meter finder / filmed by Rollei HFT Planar2.8 / 80, Ilford Delta 400 / Yellow filter, Location: Foot of Mt. Asama, Nagano, and Nanmoku-village, Gunma, Japan, January 10, 2016


Rolleiflex SL66 with TTL meter finder / filmed by Rollei HFT Planar2.8 / 80, Ilford Delta 400 / Yellow filter, Location: Foot of Mt. Asama, Nagano, and Nanmoku-village, Gunma, Japan, January 10, 2016


Rolleiflex SL66 with TTL meter finder / filmed by Rollei HFT Planar2.8 / 80, Ilford Delta 400 / Yellow filter, Location: Foot of Mt. Asama, Nagano, and Nanmoku-village, Gunma, Japan, January 10, 2016

(Rolleiflex SL66 / Rollei HFT Planar2.8 / 80, Ilford Delta 400 / 2016年1月10日撮影)

日本を訪れる外国人にとって、ミキモトの真珠と並んで横浜や神戸のスカーフ・ハンカチーフは何よりの土産品だったようだ。

その南牧村、今は日本一の限界集落として紹介されている。TBS「噂の!東京マガジン」でもつい最近、この脈絡で取り上げられていた。無論、村としても手をこまねいてはいない。若い世帯を呼び込み定住を促す努力を続けているようだ。実際、Iターンで都会の生活者も積極的に迎え入れている(訪れると住むとは大違いと直前にキャンセルする人々もいるようだが・・)。

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南牧村は養蚕・絹糸というハードウェアをとうの昔に失った。もう復活することはないだろう。富岡の製糸工場は世界遺産となったが、だからといって工場が再び稼働することはない。

残ったのは、過去の歴史。これをどう村の将来に役立てるか?街道沿いに廃墟のように残された養蚕集落の遺構から養蚕業の最盛期を偲ぶことはできない。しかし、この村のどこかに残されている当時の写真(フィルム)があれば、ありありと歴史をたどることができよう。それをデジタルで復元するのではなく、アナログで紙に焼き付ける。それも簡単な方法で・・が本稿の趣旨である。過去のソフト(情報)をいかに活かすか。それも誰も試みたことのない方法で・・この村にも県下にも膨大な写真資源がある筈だ。石炭や石油のように過去の時代の生産活動の化石を今発掘し、役立てるべきではないか?


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弱い紫外線しか出さないUV LEDを用いる本稿の方法では、焼き付け時間が長すぎるのではないか?
つい最近、サイアノタイプの薬剤を新たに作り直した(水溶液)。昨年作り置いておいたものを今まで使っていたわけだが、新たな薬剤は感光性が高い。従来、五時間程要していた焼き付けが、二時間程度で済むようになった。上掲のうちあとの二つは一時間焼き付け(その代わり中央に集光させている)。薬剤の工夫自体ではもっと時間を短くできそうだ。また、UV LEDについてもさらに改良の余地がある。上掲の作例はその結果。


(おわり)


posted by ihagee at 09:25| サイアノタイプ